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<18/09/18>歴史の証言(6)-2

歴史の証言(6)-2
~弁理士に対する「侵害訴訟代理権」について~
   -司法制度改革審議会の中間報告は失望の一語に
   尽きる!-

 弁理士に対する「侵害訴訟代理権」の付与は、反対勢力の抵抗に遭い、残念ながら順風満帆という訳にはいかなかった。その旨は前号で伝えた。

 平成12年11月20日付で公表された司法制度改革審議会の「中間報告」を読む限り、我が国の産業経済の復興を願い、国家戦略としての“知的財産制度の強化”に深い関心と期待を寄せる、弁理士の立場から言わせれば、失望の一語に尽きた。
1)司法制度改革審議会は、司法制度の利用者である国民の視点に立って、「21世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにし、国民がより利用しやすい司法制度の実現、国民の司法制度への関与、法曹の在り方と機能の充実強化、その他の司法制度の改革と基盤の整備に関し、必要な基本政策について調査審議する(司法制度改革審議会設置法第2条第1項)ことを目的に平成11年7月に設置された。
2)今般の司法制度改革の基本理念と方向に関し、司法制度改革審議会は“自由で公正な社会と個性の実現”を掲げ、(1)「公共性の空間」の再構築と司法の役割、(2)国民の社会生活上の医師としての役割、とを司法に期待される役割とし、「国民が支える司法」の実現を目指すことを謳っている。そして、(1)人的基盤の拡充、(2)制度的基盤の整備、(3)国民的基盤の確立、を改革の三つの柱と位置付けている。
3)私は、そのこと自体に異論を挟む気持ちは更々ないが、「中間報告」の前に公表された「論点整理」の中で、「法の担い手として、法曹だけでなく、隣接法律専門職種等も視野に入れつつ、総合的に人的基盤の強化について検討する必要がある」旨の指摘を行い、ヒヤリングまで行っておきながら、結局のところ、審議会での結論を先延ばしされたことに虚しさを禁じ得なかった。
4)司法制度改革審議会の中間報告では、第48ページ14行目から29行目において、「ウ 専門的知見を要する事件への対応強化」の項目を設け、“科学技術の革新、社会・経済関係の高度化、国際化に伴って、民事紛争のうちにも、その解決のために専門的知見を要する事件(知的財産権関係事件、医療過誤事件、建築瑕疵事件、労働関係事件)が、増加の一途を辿っている。これらの紛争に関わる民事訴訟においては、専門家の適切な協力を得なければ適正な判断を下すことが出来ないばかりか、往々にして手続の遅滞が生じ、そのことが一般事件の迅速・適正な解決を妨げることになる。また、裁判外紛争解決手続においても専門家の適切な関与が不可
欠である。様々な形態における専門家の紛争解決手続への関与を確保し、充実した審理と迅速な手続をもって、これらの事件に対処することは、現代の民事司法の重要かつ喫緊の課題である。
 とりわけ、知的財産権関係事件に対する訴訟の充実・迅速化は、各国とも知的財産をめぐる国際的戦略の一部であり、訴訟手続に関する制度的整備と併せて、裁判所の執務体制の整備・強化、専門化した裁判官、弁護士等の人材の育成・強化など、知的財産権関係訴訟に関わる人的基盤の強化等をもって対応すべき課題である。”と述べて、正確な現状分析をされているにも拘わらず、弁理士に対する侵害訴訟代理権の付与についての踏み込んだ言及がない。
5)この司法制度改革審議会で結論を出さずに、誰が何処で結論を出すのかと糾したい。司法制度改革審議会は、21世紀の司法制度の在り方について、国民の利用し易さと国際的な国家戦略の見地から、大胆な提言をするところではないのか。
 司法制度改革審議会は、平成13年7月に最終報告を出す予定と側聞する。問題解決の先送りをせずに、はっきりと結論を示して頂きたい。

※この文章は、平成12年12月25日発行の「弁政連フォーラム」に寄稿したものであるが、敢えて弊所のブログに再掲載させていただくことにした。

古谷 史旺

<18/09/04>歴史の証言(6)-1

歴史の証言(6)-1
~弁理士に対する「侵害訴訟代理権」について~

1)約80年の時を経て、漸く上程された弁理士法の抜本的改正案は、参議院先議で平成12年3月30日に本会議で可決された。次いで、平成12年4月18日という記念すべき発明の日に衆議院本会議で可決成立した。
2)参議院本会議に先立ち開催された経済・産業委員会では、付帯決議が全会一致で出されたが、その第3項において『特許に係る裁判および弁理士の侵害訴訟代理に関する制度については、司法制度改革審議会による検討も踏まえつつ紛争の迅速かつ実行ある救済が図られるよう柔軟に対応すること。』が指摘された。
 また、衆議院の商工委員会でも付帯決議が出され、その第6項において『司法制度改革審議会の動向等を参酌しつつ、引き続き弁理士への知的財産権侵害訴訟代理権の付与を含む知的財産権訴訟のあり方等について広範な論議を進めること。』が指摘された。
3)さらに、平成12年5月9日付で公表された経済活動と司法制度に関する企業法制研究会 (通商産業省産業政策局 所轄)の報告書では、21世紀を目前にして、我が国の経済環境はボーダレス化、グローバル化によって、大きく急速に変化しつつあり、企業は国際競争に直面しているが、現在の司法制度では、こうした経済活動の変化に対応することができなくなっていることから、主として経済活動を支える面から司法制度の改革提言がまとめられた。
 殊に《隣接法律専門職種へのリーガルサービスの量の充実》に関する記述では、『弁護士の法律業務独占に関しては、弁理士、税理士、司法書士などの隣接法律専門職種については、利用者の視点から、その専門分野に関わる法律業務について、より幅広いリーガルサービスの提供が可能となるよう、規制緩和を推進し、リーガルサービスに多様な担い手の参入が認められるよう検討すべき』ことが指摘された。
4)今から遡ること44年前の昭和49年7月に、日本弁理士会の臨時総会における斡旋決議で「日本弁理士政治連盟」を誕生させ、様々な政治活動がスタートした。
 私どもの政治スタンスは、業界エゴを排し、知的財産制度を利用する国民の側に立った主張、つまり、国益の観点に徹することであった。
5)平成10年2月には、自民党 司法制度特別調査会の保岡興治会長に対し、特許裁判の迅速化を促す「特許裁判所」構想と、各省庁にバラバラに分掌されていた「知的財産政策」を束ねる「知的財産権省」構想を陳情し、併せて、制度を利用する者の経済的負担の軽減と制度自体の効率性と利便性を考えた「弁護士の業務独占の見直し」に関する意見書を提出した。
 そして、平成10年12月には、自民党の衆・参議院議員120名の賛同を得て「知的財産制度に関する議員連盟」を創設し、当時の省庁名および役職名を敢えて用いれば、会長に与謝野 馨通産大臣、会長代理に保岡興治衆議院議員(自民党 司法制度特別調査会会長)、幹事長に甘利 明労働大臣、最高顧問に自民党の元幹事長梶山静六衆議院議員が就任するという錚々たる布陣であった。
 また、平成11年2月には、民主党の商工部会長、大畠章宏衆議院議員「知的財産問題を検討する小委員会」を設立するよう要請し、これが実現し、公明党にも「知的財産制度に関する議員懇話会」が設立され、現在は斉藤鉄夫衆議院議員が会長を務めている。

※弁理士に対する「侵害訴訟代理権」の付与は、反対勢力の抵抗に遭い、残念ながら順風満帆という訳にはいかなかった。
ここら辺の経緯を可能な限り詳しく書こうと思うと、長文になってしまう。
十分読み飽きた?と思うので、続きは歴史の証言(6)-2に委ね、今回はここまでとしたい。

古谷 史旺

<18/07/25>歴史の証言(5)

歴史の証言(5)
~弁理士に対する「審決取消訴訟代理権」について~

 歴史の証言の真っ先に記述すべきことであったが、今から遡ること70年前の昭和23(1948)年に、大先輩の弁理士の活躍で、弁理士に対する「審決取消訴訟代理権」の獲得がなされた。
 日本弁理士会事務局の政務室長である長谷川広明氏が『弁理士制度100年史』の中から探し出してくれた。
 私なりにアレンジして書き直そうかとも思ったが、それでは臨場感が損なわれるので、敢えて原文のまま掲載させて頂くことにした。

“参議院で、昭和23(1948)年6月23日に開催された委員長報告において、稲垣平太郎議員は、この「第9条ノ2」の挿入についての修正案の動議について次のように報告している。
 『その理由とするところは、次の二点であります。特許事件はご承知の通り、高度な技術的な問題を内容といたしておるわけでありまして、従って、技術的、専門的の知識を要することは勿論でありまするが、従来大審院におきまして、訴訟事件に関しては単に法律審のみでありまして、事実審を行なわなかったのであります。その結果、弁護士が訴訟代理人となりまして、弁理士は単に補佐役たるところの資格に過ぎなかったのでありますが、今回、裁判諸制度の改正に伴いまして、東京高等裁判所におけるところの審理は事実審と相成りました結果、専門的な知識を持っておりますところの弁理士を訴訟代理人といたしますることが、本人の利益主張の上におきましても、また裁判所の便宜の上から申しましても必要ではないか、かような点が第一点であります。
 第二点は、現行の訴訟に関しまして、現在は訴訟事件の特許事件に関しましては、特許局において二審を経過いたします。この間、弁理士が代理人となっておるのでありますが、一度事件が出訴されまして裁判所に参りますと、これは弁護士がこの事件を担当するということに相成るわけであります。しかるに、裁判所で審決が取り消されて、再び特許局に回されてきますと、特許局が審理審決をいたしますので、弁理士が代理するということになりまして、同一の事件が継続されておるにも拘わらず、まず弁理士、弁護士、弁理士、こういった担当者がしばしば変わるということは甚だ不都合ではないか、一貫して弁理士が事件を取り扱うことが必要ではないかというのが修正の第二点であります。
 以上の二つの理由によりまして修正案が出たのでありますが、本修正案は、特許法に関しましては非常に重要なる意義を持っておるものでありまするし、また弁理士法にとっては根本的な改正でもありますので、委員会におきましては慎重審議をいたしたのであります。また、関係当局の意見を徴したのでありますが、多数を持って本修正案を可決したわけであります。』
 その当時、弁理士法改正貫徹実行委員会委員長土井健一は、「この議案が国会に上程されたとき、傍聴席にがんばり、深夜の1時16分に衆議院本会議で可決、確定した。同席の川辺佑吉(当時、弁理士会理事長)さんと2人で大喜びしたものです。」と、語っている。“

 これで完結すれば、弁理士の立場からすれば、拍手喝采のところであったが、そうは問屋が卸さなかった。
 翌年の昭和24(1949)年、議員立法である弁護士法の一部改正案を国会に上程し、『弁護士は、当然、弁理士の事務を行うことが出来る』の規定を(弁護士法第3条第2項)通過させてしまった。
 大儀も国益もないゴリ押しの報復規定であり、これが国会での審議かと疑わせる一幕であった。

古谷 史旺

<18/06/19>歴史の証言(4)

歴史の証言(4)
~特許裁判所(知的財産高等裁判所)の創設について~

 前号で“~特許庁の「独立行政法人化」(エイジェンシー)の動きについて~”を記した。 その問題が勃発したのは平成9年10月のことであったが、私ども日本弁理士政治連盟は、弁理士会同意のもと、「知的財産権省」構想を対案として掲げて反対運動を展開した。
 時を同じくして、司法制度改革の動きもあり、私どもは“特許裁判の迅速化”も問題提起した。
 特許庁の「独立行政法人化」(エイジェンシー)の動きに対しては、特許庁を核とした関係5団体が極めて冷ややかな反応を示したため、孤軍奮闘せざるを得なかったが、“特許裁判の迅速化”に関しては、関係5団体に対し、きめ細やかな活動を展開し、同じ轍を踏まないようにした。
 平成10年3月5日付で、自由民主党 司法制度特別調査会の保岡興治会長に対し、『裁判の迅速化』に関する意見書(田中正治弁理士会会長名)を提出した。意見書の内容は以下のとおりである。
結 論
 特許等の工業所有権の分野に関連する裁判に関しては、これらを専門に扱う特許裁判所を設立することが、「裁判の迅速化」への最善の対策である。
理 由
(1)技術立国を目指す我が国においては、特許制度による新技術の適切な保護は最も重要である。我が国では、特許権による適切な保護に向けて、特許制度の整備が着実に進められてきている。
 特許制度の目的を十分に達成するためには、権利行使のツールである裁判のあり方は重要である。特許侵害訴訟は、法律及び技術の両面について十分な理解と経験に裏付けられた的確な判断が迅速に為されることが求められる。
 新民事訴訟法の運用でも相当程度の成果が期待できるとしても、特許裁判所に勝るものではない。
(2)国際的な状況を見ると、米国では、「プロパテント」政策を掲げ、専門裁判所としてCAFC(連邦巡回区控訴裁判所)を設立することにより多大の成果を挙げたことが伝えられており、これが、今日の発展に繋がったとの見解もある。
 ヨーロッパでは、英国及びドイツには既に特許裁判所が存在している。また、韓国では、本年から特許裁判所が発足する運びとなっている。
(3)我が国では、裁判の遅延その他の理由のために特許制度による権利保護が的確に行われない状況が生じているとすると、特許訴訟は外国で、といった風潮が生じることが懸念され、特許権に関して裁判の空洞化が生じるおそれがある。
 これは、特許制度自体の崩壊にも繋がり兼ねない問題である。
(4)現在、東南アジア諸国では、特許制度の整備が進んでいるが、我が国の制度とその運用は、これらの国に注目されていると考えられる。裁判も同様に考える必要がある。我が国の制度は、これらの国の模範となるような最も進んだものにすべきである。

 私どもの意見書に呼応するように、産業界を代表する社団法人経済団体連合会、その他からも相次いで意見書が出され、特許裁判所創設の夢は膨らんでいった。
 私どもは、当初、全国6箇所にある高等裁判所を1箇所増やし、特許裁判所を7番目の高等裁判所として位置付けたいと願い、 自民党の司法制度特別調査会の保岡興治会長に強く働き掛けていた。しかし、最高裁判所が難色を示し挫折に追い込まれるところであった。
 平成17年(2005年)4月に、保岡興治会長の最終的な判断で、7番目の高等裁判所ではなく、東京高等裁判所の中に独立色が高い「知的財産高等裁判所」が創設された。
 ある意味妥協の産物と言えなくもないが、シンボリックな役割は十二分に果たせよう。
 この「知的財産高等裁判所」は、司法制度改革の目玉の一つで、日本で唯一の専門裁判所。知的財産権の保護を重視する国策の一環でもある。全国すべての特許権等に関する民事訴訟の控訴審を管轄するほか、特許庁の審決に対する取り消し訴訟を専属的に管轄する。
 企業の存亡がかかる訴訟も少なくないため、迅速な判断が求められる。そのため、各分野の技術専門家や弁理士らを「専門委員」として配置し、万全を期している。
  「知的財産高等裁判所」の創設から13年が経つが、日本のシンボリックな裁判所として機能し、世界から信頼を得ているか、検証する時を迎えている。

古谷 史旺

<18/05/07>歴史の証言(3)

歴史の証言(3)
~ 特許庁の「独立行政法人化」(エイジェンシー)の動きについて~

 前回、歴史の証言(2)では、「知的財産基本法」(平成14年法律第122号)成立の経緯について述べたが、その5年前である平成9年10月に急浮上した特許庁の「独立行政法人化」(エイジェンシー)の問題を語っておかなければならない。

 ことの発端は、自由民主党の司法制度調査会(会長 保岡興治衆議院議員)の会議の席上で、岐阜選出の武藤嘉文衆議院議員(元通産大臣)が英国へ視察に行った際、英国の特許庁が「独立行政法人化」(エイジェンシー)され、万事が上手く動いていることを耳にされ、その話しを披露したことから始まる。
 当時、橋本龍太郎内閣が推し進める行財政改革の真っ最中であり、政府が殊の外興味を示し、前向きに検討する指示を出したことから、上を下への大騒ぎになった。
 日本弁理士会は、通産大臣の監督下にあるが、実体は特許庁に監督されている。この特許庁が独立行政法人化(エイジェンシー)された場合、日本弁理士会の将来はどうなるのか…。明るい見通しは何一つ浮かんで来なかった。
 日本弁理士政治連盟の会長であった私は、この問題に対処するため、弁政連の会長経験者にお集まり頂き対応を協議した。正直申し上げて、私の頭の中には、断固反対の運動を展開する考えしかなかったが、弁政連の会長経験者は、単に反対するのは能が無い、むしろ『特許庁を独立行政法人化させるのではなく、特許庁、文化庁、科技庁、農林省、大蔵省、その他に所管が分かれている知的財産に関する行政を、特許庁に集約させた「知的財産権省」を創設させて国体の強化を図るべき!』旨を謳い上げた対案で、反対すべきことを求めた。さすが知恵者揃いで、頭が下がる思いであった。
 その対案を携えて、私は、荒井寿光特許庁長官に面会を求め、我々の活動方針を伝えた。
 次に、当時の通産省・村田成二官房長(のちに「事務次官」に上り詰めた)に面会を求め、通産省の本心を確かめた。肝腎の通産省に足を掬われるのを怖れてのことであった。
 村田成二官房長は剛毅な方で、開口一番、“通産省は、特許庁の独立行政法人化に反対である、お約束する。”との強い意向を示された。
 そこで、日本弁理士政治連盟は、正副会長と各委員会の委員長が一丸となって、衆議院・参議院の200名を超える国会議員に対し直接面会を求め、私どもの考えを訴えて歩いた。
 印象的だったのは、宮沢喜一元総理大臣に面会した時であった。宮沢喜一元総理は“特許庁には審判機能がある。この機能は地方裁判所と同じで、独立行政法人(エイジェンシー)には馴染まない”と切って捨てたことだ。この一言が私どもに勇気を与えた。行く先々で宮沢喜一元総理の言葉を使わせて頂いた。
 大袈裟ではなく、私どもは命がけであった。議員会館を行ったり来たりで疲労困憊の中、首相官邸の前を通りかかった時、仲間の三澤正義弁理士に、半ば冗談で“若し、我々の運動が実らなかったら、荒井寿光特許庁長官、村田成二官房長に合わせる顔がない、ここで腹を掻き切って自害する。介錯を頼むよ。”と言ったところ、その三澤正義弁理士は、“古谷会長、不肖三澤が見事介錯するので任せてくれ!”と言ってのけたことだ。居合わせた仲間と大笑いしたことが昨日のように想い出される。
 必死に訴えて歩いた結果、宮沢元総理をはじめとする多くの国会議員の賛同を得て、特許庁の独立行政法人化(エイジェンシー)は阻止された。
 当時の荒井寿光特許庁長官は、私たち日本弁理士政治連盟の幹部を長官室に招いて慰労してくれた。

古谷 史旺

<18/03/27>歴史の証言(2)

歴史の証言(2)
~「知的財産基本法」成立の経緯について~

 前回の歴史の証言(1)において、「知的財産権」を法律用語として定着させるため、自由民主党の古屋圭司衆議院議員に働き掛け、「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」(IT基本法)の第19条に「知的財産権」の言葉を入れさせたことをお伝えした。2000年11月のことである。参考までに第19条を紹介させて頂く。

『(電子商取引等の促進)
第19条 高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策の策定に当たっては、規制の見直し、新たな準則の整備、知的財産権の適正な保護及び利用、消費者の保護その他の電子商取引等の促進を図るために必要な措置を講じなければならない。』

 このことを契機に、「知的財産権」に対する意識が一気に高まり、小泉純一郎氏が総理大臣となった国会の所信表明演説で、「知財立国」が宣言される運びとなった。
 これには裏話がある。
 当時の日本は、デフレ経済から脱却できず、そのため、内閣は1年も持たずにコロコロ代わった。世界からは「失われた日本の10年…20年」と揶揄され、どうしようもない状況であった。
 私どもは、自由民主党 「司法制度調査会」会長の保岡興治衆議院議員と「知的財産に関する議員連盟」会長の甘利 明衆議院議員に対し、資源の少ない日本は、技術開発による知財立国を目指すべきであることを強く訴え、小泉首相の所信表明演説の中に入れて頂くよう進言し実現した。
 小泉総理は、自らを本部長とする「知的財産戦略会議」を直ちに立ち上げ、日本の知的財産制度の抜本的改革に乗り出した。
 さて、本題に話しを戻すことにしよう。
 私どもが次に目指したのは、「知的財産基本法」の成立であった。国には「憲法」があり、国のあるべき姿、国の目指すべき方向が示されている。
 私どもは、特許法、実用新案法、意匠法、商標法だけでなく、不正競争防止法、著作権法、農産種苗法、回路配置法等の知的財産全般に亘る相談を受けることが少なくない。
 そのため、特許庁その他の関係機関に対し弁理士の業務を広げる運動を展開したが、遅々として進まなかった。
 弁理士法で規定する業務内容と、相談を受ける業務実態との乖離が甚だしく、制度を利用する国民の側からみても、不便・不自然なことであった。
 そこで私どもは、弁理士法を改正するには、「知的財産基本法」を成立させることが先決と考え、自由民主党 「知的財産に関する議員連盟」会長の甘利 明衆議院議員に相談に行った。
 甘利議員は、“最近は基本法ばやりで、教育基本法、災害対策基本法、中小企業対策基本法、観光基本法、原子力基本法、農業基本法、林業基本法、消費者保護基本法、交通安全対策基本法、土地基本法、環境基本法及び障害者基本法の12を数える。だから、もういいだろう。”と連れない返事だった。
 しかし、産業財産権は特許庁、不正競争防止法は経産省、著作権法は文科省、農産種苗法は農水省、回路配置法は経産省、更には輸出入の差し止めは財務省と、管轄がバラバラで統一されていない。
 国の基本法に「憲法」があるように、バラバラに管轄されている知的財産を束ねる憲法に相当する「知的財産基本法」が必要であることの訴えを粘り強く運動した結果、甘利議員も重い腰を上げて協力して下さり、2002年12月4日に成立させることが出来た。

『知的財産基本法』(平成14年法律第122号)
(目的)
第1条 この法律は、内外の社会経済情勢の変化に伴い、我が国産業の国際競争力の強化を図ることの必要性が増大している状況にかんがみ、新たな知的財産の創造及びその効果的な活用による付加価値の創出を基軸とする活力ある経済社会を実現するため、知的財産の創造、保護及び活用に関し、基本理念及びその実現を図るために基本となる事項を定め、国、地方公共団体、大学等及び事業者の責務を明らかにし、並びに知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画の作成について定めるとともに、知的財産戦略本部を設置することにより知的財産の創造、保護及び活用に関する施策を集中的且つ計画的に推進することを目的とする。
(定義)
第2条 この法律で「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの、(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう。
2 この法律で「知的財産権」とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産権に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう。

 知的財産基本法は、全33条からなるが、定義で明らかのように、発明のみならず発見までもが捉えられており、米国合衆国憲法に匹敵する重みがある。蓋し、米国合衆国憲法は、世界に先駆けて「発明」のみならず「発見」をも保護すべきことが唱われているからである。
 この画期的な第2条の規定が、私どもの活動に弾みを付けたことは間違いない。

古谷 史旺

<18/02/13>歴史の証言(1)

歴史の証言(1)
~「知的財産権」を法律用語として定着させた経緯~

 昭和40年頃、私は法学部3年の学生であった。マンモス大学を卒業しても真面な就職は望めない。何か資格を取らなければと漠然と考える日々が続いた。
 そんな矢先、大学の正門前に立てかけられた大きな看板が目に入った。桜の花びらが舞う暖かな昼下がりのことだった。
 特別研究室弁理士科の研究生募集の看板で、試験科目は、憲法、刑法、民法の3科目、定員は5名、各科目の論文と面接があると書かれていた。
 今から思えば不謹慎極まりないが、弁理士の仕事が何たるかを調べもしないで受験した。ただ、憲法、刑法、民法の総論は、ほぼ完璧にマスターしていたから自信はあった。面接官も勉強の仕方だけを質問したぐらいだから、合格を確信した。
 特別研究室弁理士科の研究室は、実に恵まれた環境が用意されており、40名ぐらいが入る広さの中に、三方が衝立で仕切られた専用の勉強机が並び、ピーンと張り詰めた空気の中で、ひたすら受験勉強できる環境であった。研究室へは、研究生であれば出入り自由で、しかも様々な特典が与えられた。
 当時、私が用いた弁理士試験用の基本書は、特許庁編の「工業所有権法逐条解説」(グリーンの表紙カバー…青本)と豊崎光衛著作で有斐閣発行の「工業所有権法」(エンジの表紙カバー…赤本)と「工業所有権の保護に関するパリ条約」であり、不足は判例などの要旨をペタペタ貼り付けて勉強したことが想い出される。「青本」と「赤本」は、長い間我々のバイブルとして君臨した。
 「工業所有権」という言葉は、もともとは英語のindustrial propertyの訳語であり、1883年に成立した「工業所有権の保護に関するパリ条約」において「工業所有権」の訳語が充てられたことなどから、一般に普及したと言われている。しかし、適切は訳語ではないとの指摘は古くからあった。
 「工業所有権」は、特許権、実用新案権、意匠権、商標権の総称であるが、弁理士の業務と照らしても、著作権、種苗法に基づく権利、回路配置権、不正競争行為に基づく権利などがカバーできていない。
 最も適切な言葉として巷で使われていたのが「知的財産権」であったことから、特許庁に対し、弁理士法を改正して「工業所有権」から「知的財産権」に変更するよう強く求めた。しかし、「知的財産権」は法律用語として定着していない、の一点張りでラチが明かなかった。確かに、その当時は、どの法律にも「知的財産権」は使用されていなかった。
 そこで、私どもは、「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」(IT基本法)を国会に上程し、成立を図っていた自由民主党の古屋圭司衆議院議員に働き掛け、その第19条に「知的財産権」の言葉を入れさせることに成功した。2000年11月のことである。
 このことを契機に、「知的財産権」に対する意識が一気に高まり、小泉純一郎氏が総理大臣となった国会の所信表明演説で、「知財立国」が宣言される運びとなった。

以 上

 次回に、歴史の証言(2)で、「知的財産基本法」成立の経緯について述べたいと思う。

古谷 史旺

<18/01/04>新年のご挨拶

新年のご挨拶

晩秋の山中湖畔から臨む富士山

 新年おめでとうございます。
 昨年は、想定外の重篤な病気に見舞われ、九死に一生を得る大事でした。
 4ヶ月に亘り自宅での療養を余儀なくされました。
 お陰で、テレビを見る機会も多かったのですが、昼間のテレビは、どのチャンネルを回しても似た企画のワイドショーで、政治家の失言、著名人の不倫、麻薬等々、思考を働かせる必要のない、低俗な番組ばかりで辟易しました。
 テレビの果たす公共的・社会的役割を忘れ、商業主義またはポピィリズムに走り過ぎています。
 かつて、社会評論家の大宅壮一氏が「テレビというメディアは非常に低俗なものであり、テレビばかり見ていると、人間の想像力や思考力を低下させてしまう」という意味合いの言葉である『一億総白痴化』を唱え、流行語(1957年)となりましたが、それを彷彿とさせるものでした。
 一方、弁理士を取り巻く環境は、相変わらず厳しく、特許出願件数は依然として下げ止まりません。むしろ、特許取得の意義さえ見失われつつある現実を、深刻に受け止めるべきで 一時期、特許の出願件数は「技術のバロメーター」と言われていましたが、その後の特許制度の変革で、すっかり色褪せてしまいました。
 20年、30年先を見通した特許制度の変革ではなく、目先の出願件数を裁くことに汲々とした特許制度の変革がもたらした結果であり、失敗と言わざるを得ません。
 今年は、それらの反省に基づく真の改革が為されることを強く望みます。
(添付の写真は、スマホで撮影した晩秋の山中湖畔から臨む富士山です。)

古谷 史旺

<17/12/25>私が選ぶ平成29年の出来事ベスト30

私が選ぶ平成29年の出来事ベスト30

【1月】
《1》「少女像」に抗議、駐韓大使ら一時帰国
 韓国・釜山の日本総領事館前に慰安婦を象徴する少女像が設置されたことを受け、政府は9日、長嶺安政・駐韓大使と森本康敬・釜山日本総領事を一時帰国させた。両氏は4月、韓国に帰任した。しかし、この少女像の問題は、解決するどころか、更に悪化している。
《2》稀勢の里が第72代横綱に
 大相撲初場所で初優勝した大関稀勢の里が25日、第72代横綱に昇進した。日本出身の新横綱は19年ぶり。横綱として迎えた春場所では逆転優勝を飾ったが、その後はけがのため3場所連続で休場。11月の九州場所も10日目から休場した。稀勢の里の致命的欠陥は腰高。これを克服しない限り立ち直れない。
【2月】
《3》日米首脳会談、「尖閣に安保」明記
 安倍首相は10日、トランプ米大統領とワシントンで初の首脳会談を行った。沖縄県の尖閣諸島が日米安全保障条約5条の適用対象であることなどを共同声明に明記し、同盟強化の方針を確認した。
《4》「プレミアムフライデー」初実施
 毎月最終金曜日に早帰りを呼びかけ、消費拡大を促す官民一体の取り組み「プレミアムフライデー」が24日、始まった。ただ、産業界からは、月末の金曜日に早めの退社は難しいとの声も出ている。当時の掛け声は何処に消えたのか、パッとしない。
【3月】
《5》千葉・我孫子の草むらに小3女児遺体
 千葉県我孫子市の排水路脇の草むらで26日、ベトナム国籍の小学3年、レェ・ティ・ニャット・リンさん(当時9歳)の遺体が見つかった。県警は4月、リンさんが通っていた小学校の保護者会長の男を死体遺棄容疑で逮捕し、翌5月、殺人などの疑いで再逮捕した。子供の信頼を裏切った実に痛ましい事件だ。
《6》スキー場雪崩、高校生ら8人死亡
 栃木県那須町のスキー場付近で27日、登山講習会に参加していた高校生と引率教員計48人が雪崩に巻き込まれ、県立大田原高校の生徒と教員の計8人が死亡した。天災というよりも人災ではないのか。
【4月】
《7》世界フィギュア、羽生結弦がフリー世界最高得点で逆転V
 フィギュアスケートの世界選手権男子フリーが1日行われ、ショートプログラム5位の羽生結弦が、自らが持つ世界歴代最高得点を更新してフリー1位となり、逆転で3大会ぶり2度目の優勝を飾った。その後、練習中のジャンプで足首を骨折し、平壌オリンピックの出場が危ぶまれている。
《8》フィギュア・浅田真央が現役引退表明
 フィギュアスケート女子の2010年バンクーバー五輪銀メダリスト・浅田真央が10日、現役引退を表明した。
《9》今村復興相、震災巡る失言で辞任
 今村雅弘復興相が25日、東日本大震災を巡って「(発生が)東北だったから、よかった」と発言し、その責任を取って翌26日に辞任した。軽率な発言が止まらない。
【5月】
《10》福岡・博多7億金塊盗容疑の男ら逮捕
 福岡市博多区で昨年7月、7億5800万円相当の金塊が警察官を装った男らに盗まれた事件で、福岡県警は22日、愛知県内の男らを窃盗容疑で逮捕。この事件を巡っては、共同捜査する愛知県警の警察官が、逮捕前の容疑者側に捜査情報を漏らした疑いがあることも発覚した。
【6月】
《11》世界卓球混合複、日本勢48年ぶり優勝
 ドイツで行われた卓球の世界選手権個人戦で3日、混合ダブルスの吉村真晴、石川佳純組が優勝した。この種目の日本勢優勝は48年ぶり。
《12》原子力機構の作業員5人が内部被曝
 茨城県大洗町の日本原子力研究開発機構大洗研究開発センターで6日、容器に保管されていた核物質の粉末が室内に飛散、職員ら5人が内部被爆した。
《13》上野動物園でパンダ誕生
 上野動物園(東京都台東区)のメスのジャイアントパンダ「シンシン」が12日、赤ちゃん1頭を出産。その後、性別はメスと判明し、名前は一般公募で「シャンシャン」と決まった。12月23日には一般公開され、可愛い姿を見せている。
《14》毒針持つヒアリ、国内で初めて確認
 環境省は13日、南米原産で腹部の末端に毒針がある外来種のアリ「ヒアリ」が、国内で初めて確認されたと発表した。その後、日本全国で存在が確認され、水際作戦は失敗に終わるかも知れない
《15》「森友」「加計」問題などで内閣支持率急落
 読売新聞社が17~18日に実施した全国世論調査で、安倍内閣の支持率が前月比12ポイント減の49%に急落した。通常国会を通じ、学校法人「森友学園」や「加計学園」を巡る問題が取り上げられ、終盤国会における政府・与党の対応が批判されたことなどが響いた。その後も、文部科学省が加計学園の獣医学部新設を認可したことや、会計検査院が森友学園への国有地売却手続きで「適正を欠いた」と指摘したことを巡り、野党の追及が続いた。結局は、この問題もうやむやで終わるのかも知れない。情けない話だ。
《16》タカタが民事再生を申請
 欠陥エアバッグのリコール(回収・無償修理)問題を抱えるタカタが26日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、受理された。負債額は少なくとも約1兆800億円に上り、製造業では戦後最大となった。
《17》14歳棋士、藤井四段が29連勝の新記録
 14歳でプロ入りした将棋の最年少棋士、藤井聡太四段が26日、竜王戦の本戦1回戦で勝利し、16年12月のデビューから無敗のまま、30年ぶりに公式戦29連勝の新記録を達成した。これに先立ち、77歳の最年長棋士・加藤一二三九段は、竜王戦6組昇級者決定戦で敗れ、引退が決まった。
【7月】
《18》都議選で自民惨敗、都民ファ第1党
 東京都議選(定数127)が2日投開票され、小池百合子都知事率いる地域政党「都民ファーストの会」が、追加公認を含めて55議席を獲得し、都議会第1党となった。自民党は過去最低の23議席となり、歴史的惨敗を喫した。
《19》「沖ノ島」世界遺産に
 国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会は9日、日本が推薦した「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」(福岡県)を世界文化遺産に登録すると決定した。
《20》稲田防衛相、PKO日報問題で辞任
 稲田朋美防衛相は28日、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊部隊の日報を巡る問題の監督責任を取り、辞任した。稲田大臣の軽率な発言と行動は、安倍晋三総理大臣の任命責任が問われるべき。
【8月】
《21》世界バド、奥原が女子単初のV
 英グラスゴーで行われたバドミントンの世界選手権で27日、女子シングルスの奥原希望が日本勢で40年ぶりに優勝した。女子シングルスでは五輪を含めて初の快挙。
【9月】
《22》早実・清宮が高校通算111号本塁打
 カナダで行われた野球のU―18(18歳以下)ワールドカップで8日、清宮幸太郎(早稲田実高)が歴代最多とされる高校通算111号本塁打を放った。清宮は10月のプロ野球ドラフト会議で7球団から1位指名され、交渉権を獲得した日本ハムに入団した。
《23》陸上100メートル桐生、日本人初の9秒台
 陸上の日本学生対校選手権が9日行われ、男子100メートル決勝で、桐生祥秀(東洋大)が日本人で初めて10秒の壁を破る9秒98の新記録を樹立した。
《24》日産で無資格社員が検査。スバルでも。検査データ改ざんの企業も続出
 日産自動車は29日、国内の車両生産工場で、無資格の社員が完成車両の安全性などを検査していたと発表した。その後、SUBARU(スバル)でも無資格検査が発覚。神戸製鋼所、三菱マテリアルの子会社、東レの子会社で検査データの改ざんも次々と明らかになった。日本の技術的信頼は地に落ちた。
【10月】
《25》衆院選で自民圧勝。突然の解散で民進分裂、立憲民主が野党第1党に
 第48回衆院選が22日投開票され、自民党は追加公認を含めて284議席を獲得し、圧勝した。自民、公明の与党では計313議席となり、憲法改正の国会発議に必要な3分の2以上の議席を維持した。9月の解散直前、小池百合子・東京都知事が希望の党を結成し、民進党は希望への合流を決定。小池氏が「排除」しようとした民進党内のリベラル系を中心に立憲民主党が結成され、民進党は分裂した。衆院選で立憲民主が野党第1党となり、小池氏は11月に希望の党代表を辞任した。その後、希望の党は急速に力を失い、小池氏の劇場型政治は終息した。
《26》神奈川・座間のアパートで切断9遺体
 警視庁は31日、神奈川県座間市のアパートの一室から、切断された計9人の遺体を発見したと発表し、部屋の住人の男を死体遺棄容疑で逮捕。11月に殺人容疑で再逮捕した。被害者は女子高校生3人を含む15~26歳の男女と確認された。
《27》東名死亡、あおり行為の男を「危険運転」で起訴
 神奈川県の東名高速道路で6月、乗用車に進路を塞がれて停止させられたワゴン車が大型トラックに追突されて夫婦が死亡した事故で、横浜地検は31日、高速度で追いかけるなど「あおり運転」を繰り返していた建設作業員の男を、自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死傷)などで起訴した。この事件の容疑者は、他でも同じあおり行為を繰り返していることが明らかになった。事件の重大性を慮れば、危険運転致死傷以上の厳罰で臨むべきだ。
【11月】~【12月】
《28》トランプ米大統領が来日
 トランプ米大統領が5日、就任後初めて来日した。トランプ氏は安倍首相との会談で、北朝鮮への圧力を最大限まで高めることで一致。対日貿易赤字の是正に強い意欲を示した。 《29》TPP、米国抜き11か国で大筋合意
 日本や豪州など環太平洋経済連携協定(TPP)の参加11か国は11日、米国を除く新協定の大筋合意を発表した。これに先立ち、日本は7月に欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)でも大枠合意した。
《30》横綱日馬富士が暴行問題で引退
 横綱日馬富士が29日、引退を表明した。幕内貴ノ岩に暴行した問題の責任を取った。相撲協会の馴れ合い体質は、貴乃花親方が指摘されてきたことではあるが、相撲協会の現役理事である以上、身勝手な行動は許されず、多くの支持は得られないであろう。
(「2017年日本の出来事」YOMIURI ONLINEより抜粋引用)

古谷 史旺

<17/11/10>「松たけ」に似た「松きのこ」の話

「松たけ」に似た「松きのこ」の話

松きのこ

 最近のことである。名古屋に住む姉から電話で、“「松たけ」の香りと食感が殆ど変わらない「松きのこ」と「松なめこ」を開発した人のことがテレビでやってたわよ。”“特許を取らなければ真似されちゃうのにね”…。興奮気味に教えて来た。
 確かに、産業上利用でき、新規で且つ進歩性があれば、遺伝子組み換え技術の特許取得は可能であったろう。しかし、既に新規性が失われており、特許取得は難しい。
 インターネットで検索してみると、テレビで採り上げられたのは最近のことだが、「松たけ」の収穫が激減した10年以上前から研究が進められ、広島県世羅郡の「世羅きのこ園」で「松たけ」の香りと食感が殆ど変わらない「松きのこ」と「松なめこ」を開発させた由。 開発した「世羅きのこ園」の東山会長は、「松たけ」の人工栽培を何とかできないかと研究を進めたが、人工栽培は不可能だということが分かった。
 そこで東山会長は、遺伝子組み換えを試み、シイタケと松たけの菌株を一緒に並べて培養して人工栽培に成功したと聞く。「松たけ」に形を近づけた「松きのこ」、そして香りや味を近づけた「松なめこ」を完成(添付写真は、インターネットで検索の「松きのこ」)。
 東山会長は技術を独占することなく、作り方を聞きに来る者には惜しげもなく教えてあげたようだ。
 今年は国産の「松たけ」が不作で、前年の1.5倍という高値で推移している。「松たけ」の代用品としての可能性を秘める「松きのこ」という新種に注目が集まっている。
 現在はお手頃価格が人気で、注文が殺到し最大3週間待ちの状態。「松たけ」に似た大きめのものは100g(4~5本)
で500円。「松たけ」の相場に比較すると半額を下回る値段で販売され、小ぶりのものは120g(10~12本)500円で販売されている。
 今となっては“「松たけ」の香りと食感が殆ど変わらない「松きのこ」の遺伝子組み換え技術の特許取得”は難しいが、広島県世羅郡という地域産業の発展、延いては我が国の産業の発展を考えれば、極めて惜しいことをしたものだ。
 これらの技術が日本に止まらず、中国、韓国などに流失したならば、たちどころに逆輸入の憂き目に曝される。国益を損なうことになる。そうなることを防ぐ唯一の手段が特許制度の活用だ。特許制度を活用すれば、少なくとも20年の排他独占権は約束され、侵害を排除できる。

古谷 史旺

<17/10/23>悪性リンパ腫の抗ガン治療について

悪性リンパ腫の抗ガン治療について

 2017年6月12日のブログで、「~献身的な看護師の仕事に頭が下がる思い~」を書いた。その時に肩の組織を採取した検査結果で、悪性リンパ腫の宣告を受けた。
 私の悪性リンパ腫は、「濾胞性腫瘍」と呼ばれるもので、ガンの進行は遅いが薬の効きも悪い、質の良くない代物らしい。
 過去29年間、毎年ほぼ同じ時期に「人間ドック」を受けてきて、様々な検査の数値も略安定しており、ガンの兆候は全くなく、自分で言うのも可笑しいが、健康そのものだった。
 強いて変化を挙げれば、腹ボテと頭髪が後退し、雨滴感知の精度が高まったことぐらい(笑)。
 私の悪性リンパ腫は、肩、胸、腹、骨髄、左右の股関節に発症しており、ステージ3.5~4と言われ、末期ガンに近いものだった。しかし、マコトか嘘か慰めかは知らないが、主治医曰く、「悪性リンパ腫は、他のガンとは違い、ステージは関係ないから…。」と言っていた。
 抗ガン治療は、6月1日から9月19日まで、リツキサン療法とCHOP療法で行われた。3週間ごとに6回治療を受けた。1日目がリツキサン療法、2日目がCHOP療法で、朝8時から午後2時~3時までの点滴が繰り返される。そして、それぞれの数日間は抗がん剤の飲み薬も併用された。私は血管が表面に出難いらしく、点滴の針を刺す時にいつも苦労していた。幸いに抗ガン治療をしてくれた医師は腕が良く、いつも一発で刺してくれた。お陰で注射針の刺し傷だらけにならずに済んだ。
 抗ガン治療の副作用として、吐き気、食欲不振、脱毛、両手足のしびれ、貧血、白血球の減少による免疫力の低下等があると聞かされ、人混みの中の外出、生もの摂取は固く禁じられた。
 第1回の抗ガン治療を終えて3週間ほど経ち、風呂場で頭を洗っていたら、排水溝が真っ黒になるくらいの脱毛が始まった。毎日のように脱毛があり、それから2週間も経たないうちにツルッパゲになった。その後さらに、眉毛、睫毛、わき毛など、ありとあらゆる箇所が脱毛し、無残な姿になってしまった。帽子を被りマスクをしなければ、そのままでは一歩も外には出られず、悲惨だった。
 私の場合、幸いにも吐き気、大きな食欲不振には陥らなかったので、食べることに精を出し、体力を失わないよう心がけた。
 抗ガン治療の6回目が終わった後、全身のペット検査が行われた。その2週間後に、血液内科の主治医による診察があり、抗ガン治療の成果を申し渡された。
 悪性リンパ腫を宣告された時、「濾胞性腫瘍」はガンの進行は遅いが薬の効きも悪い、と聞かされていたので、ある種の覚悟と、それでも淡い期待の入り交じった気持ちだった。
「完全寛解」です、と言われて小躍りした。「完全寛解」の意味も分からず完全治癒したと思い込んだのだが、家に帰ってインターネットで調べてみると、「完全寛解」とは、ガン用語で、“すべての病変(ガン)が消失し、新たなガンが出現していない状態が続いていることで、ガンの治癒を意味するものではない。”とのこと。
 それでも一歩も二歩も前進と、今は携わってくれた医師に感謝、感謝である。

 私ごとを敢えて書かせて頂いたのは、同じ苦しみを抱えている仲間が、少しでも希望を持って頂ければと思ってのこと。ご容赦願いたい。

古谷 史旺

<17/09/21>衆議院を解散する大義はない!

衆議院を解散する大義はない! それなのに解散するのか。

 安倍晋三首相は、臨時国会冒頭で衆議院を解散するつもりのようである。しかし、憲法第53条の規定に基づいて野党が求めた、その臨時国会の冒頭で衆議院を解散するのであれば、臨時国会を求めた趣旨は達成されず、憲法第53条の存在意義が失われる。憲法違反のそしりは免れず、断じて許されることではない。
 憲法違反を罰する規定がない以上、選挙で国民がその横暴を糾す他ない。
 内閣支持率が復調する兆しを見せる一方で、民進党は代表がいきなり交代し、頼みとした幹事長内定者が不倫問題でつまずき、将来を悲観しての「離党ドミノ」も発生して混乱が続いている。小池百合子東京都知事に近い議員の新党も準備が遅れていることから、安倍首相は、早期解散で機先を制する好機と判断したと思われる。
 しかし、安倍政権は8月3日の内閣改造で、自称「仕事人内閣」を発足させたばかりではないか。通常国会からの「おごり」批判を受け、しきりに反省をアピールしてきた首相だが、解散なら国会で「丁寧に説明」する機会は、また先送りになってしまう。
 経済最優先の看板も、具体的な成果を上げる時間もなく、何故いま解散なのか、「大義」があるとは思えない。
 「森友学園、加計学園などの疑惑隠し」と批判されても返す言葉はあるまい。まして、いまは北朝鮮情勢が緊迫する中で、政治空白を生じさせて良い訳がない。党利党略、自己保身のために衆議院を解散するとしか思えない。
 安倍首相の行動には、疑問な点が未だ他にもある。先ごろ、昭恵夫人を伴ってインドを訪問し、新幹線の受注と原子力発電所の技術供与を成約させてきた。この原子力発電所の技術供与には、原子力技術のコア部分も含まれる。
 インドは1974年と98年に核実験を実施し、核兵器を開発・保有する。インドは、米英仏中ロの5カ国だけに核保有を認め、それ以外への核の広がりを防ぐことを狙った、核拡散防止条約(NPT)は「差別的」などとして加盟していない。
 原爆の唯一の被爆国である日本が、核兵器への転換も可能な日本の技術流出を手助けして良いのか。平和的利用に限るなどと、どんな理由を付けても事実は曲げられない。
 安倍首相は、北朝鮮の核兵器開発に対し、トランプ米大統領とともに大反対しているのに、一方で、敵対的行為とも言うべきことが何故できるのか。
 我が国の憲法下での解散権は、首相の専権事項かも知れないが、その行使は、党利党略、自己保身のためであって良いはずがない。国民に残された手段は一つしかない。来るべき選挙で、その横暴を糾弾することである。

古谷 史旺

<17/09/04>東京の貯水量は心配ないのか!

東京の貯水量は心配ないのか!
~TVのワイドショーは、報道の責任を自覚すべき~

 どのチャンネルを回しても、TVのワイドショーは、政治家、タレントなど有名人の不倫報道に汲々としている。公共電波を利用している報道の責任を感じているのか、疑いたくなる。
 あんなに大騒ぎしていた森友学園問題、加計学園問題の追求はどうなったのか。決着は少しも付いていない。
 7月に節水、節水と大騒ぎしていた東京の貯水量は、その後どうなったのか。大丈夫なのか。
 東京が大雨でも、水がめとなる利根川水系、荒川水系、多摩川水系に雨が降らなければダムの水は増えないと訴えていたではないか。
 それから1ヶ月が経ち、東京の貯水量がどうなったのか、どのチャンネルを回しても報道していない。これで報道の責任は果たしたと言えるのか?
 インターネットで東京の貯水量の現状を調べてみた。東京の水源は、約8割が利根川水系及び荒川水系、約2割が多摩川水系とのことで、利根川水系の矢木沢ダムほか7つのダムの貯水率が91.2%、荒川水系の浦山ダムほか3つのダムの貯水率が87.7%、多摩川水系の小河内貯水池ほか1つの貯水率が86.7%となっており、総じて全く問題ないことが覗われる。
 風呂も毎日入れそうだし、草木への水やりもジョウロではなく、ホースでの散水ができそうなことが分かった。
 こういった国民生活に直結する情報を、メディアは責任をもって報道して貰いたい。

 下記の【貯水量情報】の出典は、国土交通省の関東地方整備局、利根川水系のリアルタイム貯水量情報(平成29年9月1日現在)。

古谷 史旺

【貯水量情報】

※データには速報値が含まれているため、後日訂正することがあります。

利根川水系 0時現在

利根川水系貯水量等の詳細は下記サイトをご参照ください。

荒川水系 0時現在

荒川水系貯水量等の詳細は下記サイトをご参照ください。

国土交通省関東地方整備局

多摩川水系 7時現在

※利根川・荒川水系の貯水容量は、非洪水期(10〜6月)の数値です。なお、( )内は洪水期(7〜9月)の数値です。
※多摩川水系の貯水容量は、非出水期(11〜5月)の数値です。なお、( )内は出水期(6〜10月)の数値です。

<17/08/21>B法人(混合法人)制度に対する再度の意見

B法人(混合法人)制度に対する再度の意見

 平成28年7月5日付で外国法事務弁護士制度に係る検討会の「報告書」が公表されてから1年余が経つ。
 トランプ米大統領の出現により保護主義が一段と強まり、輸出・輸入の際にかかる関税を段階的に引き下げ、自由貿易を推進することを主な目的とするTPPの発効が危ぶまれている。
 このような大きなうねりの中、上記「報告書」に盛り込まれている「B法人(混合法人)制度」について、その是非を改めて問うことには意義がある。

 〔問題点〕
 1)「外国法事務弁護士制度に係る検討会」の構成員に、知的財産権制度に関する専門家である弁理士を、一人も入れずに審議していること。
 「B法人(混合法人)制度」が適用された場合、我が国の知的財産権制度に外国法事務弁護士が直接・間接に関わることを認めることとなり、国益に関わる重要な技術及び秘密の情報流出を、余りにも軽々しく扱っている。
 「外国法事務弁護士制度に係る検討会」の構成員に、知的財産権制度に関する専門家である日本弁理士会の代表を1~2人でも入れていたならば、日本の国益の観点からの議論がもう少し深くできたはずであり、悔やまれてならない。

 2)「報告書」の5ページ中段以降で、①外国法事務弁護士等が技術情報を漏洩し、それが守秘義務違反であると認められた場合には刑事罰が科せられる。②外国法事務弁護士等が日本国特許庁への出願代理等の弁理士業務を業として行った場合には弁理士法上の刑事罰が科せられる。③外国法事務弁護士等が不正な利益を得るなどの目的で、クライアント等から知り得た営業秘密を開示し、それが不正競争防止法の営業秘密侵害罪に当たると認められた場合には刑事罰が科せられると述べるに止まる。これらは国益に関わる重要な技術及び秘密の情報が流出した場合の処罰論でしかない。
 しかし、国として為すべきことは、我が国の存亡に関わる重大な技術及び秘密の情報流出を未然に防ぐ方策である。かかる観点からの検討が欠落している。「B法人(混合法人)制度」の導入は見直すべきである。

 3)外国法事務弁護士のみが社員となる法人(いわゆるA法人)の設立を可能とする外弁法の一部を改正する法律(平成26年4月25日公布)には、「B法人(混合法人)制度」の導入に関する内容が盛り込まれていない。これは、種々の弊害防止策を講じても、外国法事務弁護士が法人制度を利用して権限外の業務を行うことを容易にするのではないかという懸念を払拭できなかった為である(参議院法務委員会平成26年4月17日の谷垣禎一法務大臣答弁)。
 そもそも「B法人(混合法人)」内部の意思決定・行為を外部から監視することは困難であり、現在でも、外国法事務弁護士の不当関与という懸念は何ら払拭されていない。そのような状況で、拙速に「B法人(混合法人)制度」の設立を進めるべきではない。

 4)本来、外国法事務弁護士は単独で日本国特許庁に対する特許出願等の代理業務を行うことができない資格者であるが、「B法人(混合法人)」の設立が認められれば、「B法人(混合法人)」名義による特許庁に対する特許出願等の業務に関与する可能性がある。すなわち、外国法事務弁護士は「B法人(混合法人)」の社員であるため、「B法人(混合法人)」に対して無限責任を負う関係上、当然のことながら、不当関与でない範囲で「B法人(混合法人)」の意思決定に関与する可能性がある。また、グローバルなリーガルサービスを提供する際に、日本の技術情報や秘密情報に接することもある。
 日本の弁理士は、特許出願手続に際して依頼者である企業や研究機関等の技術情報や秘密情報に接するが、事件の受任の判断に際しては、情報のコンタミネーション(ある事件の技術情報が他の事件に混濁してしまうこと)を避けるため、競合他社からの同一製品分野及び同一技術分野の受任については基本的に避けるか、情報遮断措置を講ずる等細心の注意を払っている。
 一方、外国法事務弁護士は、制度上、「外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法」や本国の弁護士法などによって守秘義務を負っていることは承知しているが、外国法事務弁護士登録を抹消して本国に帰国した後においては、意図せぬ情報のコンタミネーションに関して十分な注意がどの程度なされるのかは全く不明である。
 〔上記3),4)の出典:日本弁理士会から法務省に提出した要望書〕

 5)以上の理由から「B法人(混合法人)」の法人化には断固反対であるが、若し、それでも推し進めるのであれば、「B法人(混合法人)」の業務から弁理士業務を除外して実効を図られたい。日本を限りなく愛する者の一人として強く望む。

古谷 史旺

<17/08/02>防衛省が日報を破棄したとされる問題について

防衛省が日報を破棄したとされる問題について

 〔PKOについて〕
 平成4年6月19日法律第79号として成立した「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律」は、国際連合の国連平和維持活動(PKO)等に協力するために作られた法律で、成立に当たり与野党の攻防が激しく行われたことは記憶に新しい。
 当初から「国際紛争を解決する手段としての武力行使」を禁じる、憲法第9条に違反する恐れが指摘された。
 これに対し歴代の政府が取り続けた姿勢は次のとおり。
 (1)国際的な武力紛争の一環として行われる戦闘行為は行わない。
 (2)かかる危険を伴うところには自衛隊を派遣しない。
 さらに、PKO協力法には、PKOに参加するための基本5原則が示され、遵守されてきた。
 〔参加5原則について〕
 1.紛争当事者の間で停戦合意が成立していること。
 2.当該平和維持隊が活動する地域の属する国を含む紛争当事者が当該平和維持隊の活動及び当該平和維持隊への我が国の参加に同意していること。
 3.当該平和維持隊が特定の紛争当事者に偏ることなく、中立的立場を厳守すること。
 4.上記の基本方針のいずれかが満たされない状況が生じた場合には、我が国から参加した部隊は、撤収することが出来ること。
 5.武器の使用は、要員の生命等の防護のために必要な最小限のものに限られること。
 〔駆け付け警護について〕
 このうち、武器の使用に関する項目において「要員の生命等の防護のために必要な最小限のものに限られる」とあることについては、自衛隊の参加実績が積み重なるに連れて、実態と乖離していると指摘され、基準を変更する議論が起きている。
 例えば、襲撃を受けた民間人を保護するため、自衛官を派遣した場合でも武器を使用できないなど、現場の実態に即していない状況がある。これを解決するため、現在、他国の部隊が攻撃された場合、これを救助できる「駆け付け警護」の許可など、使用基準の緩和が検討されている。
 この武器使用基準の緩和については、より広範な任務遂行のため権限拡大を求めて外務省が賛成しているのに対し、当事者の防衛省は、自衛隊員が危険に晒されるとして、緩和には慎重な姿勢が伝えられている。
 〔南スーダンの政治情勢について〕
 独立したばかりの南スーダンでは、道路はほとんどが未整備で、部族間の抗争も頻発しており、マラリアなどの病気の危険も高く、これまでの自衛隊のPKO活動の中でも最も過酷と報じられていた。
 〔日報の開示請求について〕
 陸上自衛隊の南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報に対し、野党側から開示請求が行われた去年10月から、防衛省が日報の破棄を確認し、不開示を決定した12月にかけての時機は、ちょうど国会で、南スーダンPKOに参加する自衛隊部隊の派遣延長の是非、安全保障関連法に基づく新任務「駆け付け警護」を付与すべきかどうかが焦点となっていた。
 現地の治安状況の厳しさや、新任務の付与で、自衛隊員のリスクが高まる恐れが指摘されたのに対し、政府が「現地の治安情勢は落ち着いている」という答弁を繰り返していた。
 ところが、問題の日報では、去年7月当時、首都ジュバでは、政府軍と反政府勢力の間で「戦闘が生起し」自衛隊宿営地の近くでも、激しい銃撃戦があったことが記載されている。
 この日報が速やかに公開され、現地の厳しい治安情勢が明らかになっていれば、派遣延長や新任務付与の決定にも影響を与えていたかも知れない。野党側は「自衛隊派遣を継続するため、日報を破棄したことにしたのではないか。意図的な隠ぺいではないか」と追及を強めている。
 稲田朋美防衛大臣は、その後、日報は、5年前の部隊の派遣開始以来、すべて電子データとして保存していたことを明らかにした。そもそも、自衛隊にとっても、海外派遣における貴重な体験を記した記録を破棄してしまうことはあり得ないことだ。政府は「隠ぺいの意図はなかった」と説明するが、俄に信じられない。
 〔「戦闘」と「武力衝突」の違いについて〕
 日報に記載された「戦闘」という言葉についても、論戦が行われている。野党側が、日報の記述をもとに、「現地で『戦闘』があったことを認めるのか」と質すのに対し、稲田大臣は「戦闘という言葉が使われているのはその通りだが、法的意味における戦闘行為ではない。大規模な武力衝突はあったが、国際的な武力紛争の一環として行われる戦闘行為とは評価できない」という説明を続けた。非常にわかりにくい説明で、稲田大臣は、なぜ、このような答弁をするのか。
 政府が言うところの「法的な意味の戦闘行為」があることを認め、部隊がそれに巻き込まれる可能性を認めることは、憲法第9条が禁じる「海外での武力行使」につながり、部隊は、撤収を迫られる。稲田大臣からすれば、「法的な意味の戦闘行為はない」という姿勢を崩さないことが、自衛隊派遣を続けるための譲れない一線となっている。
 これを踏まえて、国会審議を振り返ると、稲田大臣は気になる発言をしている。「答弁をする場合には、憲法第9条上の問題になる言葉を使うべきでないので、武力衝突という言葉を使っている」。
 第9条に抵触しないよう「戦闘」という言葉を「武力衝突」に置き換えていることは明らかで、これが認められれば、自衛隊を戦闘に巻き込まないための憲法第9条の歯止めが、言葉の置き換えによって形骸化され兼ねない。
 〔まとめ〕
 国会では、稲田防衛大臣が防衛省の日報破棄問題を知っていたのではないか、それを疑わせる文書の存在を指摘し、安倍総理の任命責任を問題視している。
 しかし、問題の本質はそんなところにあるのではなく、日本国民の生命・財産を守るべき防衛省が、『去年7月当時、首都ジュバでは、政府軍と反政府勢力の間で「戦闘が生起し」自衛隊宿営地の近くでも、激しい銃撃戦があったことが記載された』日報の存在を隠蔽し、真実を国民に語らなかったことだ。
 これは、太平洋戦争(大東亜戦争)時に、我が国の戦況の不利を国民に隠し、戦争終結を遅らせ、広島、長崎に原爆投下の大惨事を招いた『大本営発表』と同じではないか。

古谷 史旺

<17/07/18>我が家の庭に咲く夏の花

我が家の庭に咲く夏の花!

ノウゼンカズラ
写真1 「ノウゼンカズラ」

カサブランカ
写真2 「カサブランカ」

テッポウユリ
写真3 「テッポウユリ」

おいらん草
写真4 「おいらん草」(花魁草)

ハマナデシコ
写真5 「ハマナデシコ」(浜撫子)

 私はこのブログで「我が家の庭にも春が来た!」を2回掲載した。今回は夏の花にスポットを当て紹介したい。

 写真1は、「ノウゼンカズラ」。
 この花に最初に出会ったのは、20年ぐらい前だった。ゴルフ場の名前は忘れたが、ティグランド上から見て、高さが20メートルぐらいあった右前方の弾よけネットに沿って複数本が植えられていた。ネットの頂上に届くぐらいに大きかったが、橙色の花が咲き乱れていた。
 キャディさんに聞いて「ノウゼンカズラ」だと分かった。いつもの私の悪い癖が出て、彼方此方を探し求めて買った。買ってはみたものの樹勢が強すぎて管理が大変。ドンドン伸びるし、咲いた端からポタポタ花や蕾が落ちるから道路の掃除は毎朝やらざるを得ない。
 ネットで調べてみると、『「ノウゼンカズラ」は落葉性のつる性の花木。夏から秋にかけ、橙色あるいは赤色の大きな美しい花を付ける。原産地は中国で平安時代には日本に渡来していた。
 「ノウゼンカズラ」の名前の由来は、「ノウゼン」は花色を「濃く染めた」を意味する。「カズラ」はツル性を意味する。』ことが分かった。
 写真2は、「カサブランカ」。
 2年前に行きつけの花屋さんで買った。なぜか昨年は咲いた記憶がない。茎も太く背丈も1メートル以上になった。
 写真3は、「テッポウユリ」。
 「カサブランカ」の近くに並べたように植えてある。「カサブランカ」は男性的で威風堂々としているのに対し、「テッポウユリ」は女性的で楚々とした雰囲気を漂わせている。
 正直言って「カサブランカ」と「テッポウユリ」の違いが分からない。これもネット(出典:WATCH マジッ!?)で調べてみると、
 『「カサブランカ」はユリの一種。米国で日本のヤマユリと配合させたもの。ユリの種類は「オリエンタル系」で、オリエンタル(東洋の)ハイブリッド(交配)とも呼ばれている。日本が原産なので「ジャパニーズ・ハイブリッド」とも呼ばれている。元々山で咲く花を、家庭で育てられるように改良したもの。大輪の花や香りが良いという特長は、オリエンタルの特長。
 「カサブランカ」の名前の由来:スペイン語でカサ(家)、ブランカ(白い)なので「白い家」という意味がある。
 大きな花びらが「白い家」を表現しているので、この名前が付けられた。また、生産されたモロッコの都市「カサブランカ」からも取られたと言われている。
 「カサブランカ」と「テッポウユリ」では、つぼみの付き方が違う。
 ・「カサブランカ」:つぼみが茎に対して垂直方向(横向き)に付く。
 ・「テッポウユリ」:茎に対してつぼみが平行方向(上向き)に付く。
 つまり、つぼみが下向き→「カサブランカ」、上向き→「テッポウユリ」。
 「カサブランカ」は花が咲くにつれて花弁が大きく反り返る特長がある。』ことが分かった。
 写真4は、「おいらん草」(花魁草)。
 「おいらん草」は、6~10月に咲くハナシノブ科の花。草地庭植えに生息する多年草。花言葉は「危険な遊び」。茎先にやや丸い円錐花序を出し、ピラミッド状に固まって花径2~3センチの花を沢山付ける。花の色、白、ピンクがある。
 写真5は、「ハマナデシコ」(浜撫子)。
 中学時代の友人から種を貰ってプランタンで育ててみた。
 茎先に集散花序(茎先には花が付き、少し下から横枝がでて、その先にも花が付く)を出し、花径15ミリくらいの5弁花を沢山付ける。写真は白であるが、紅紫色もある。
 開花時期は6月~10月、分布は本州から沖縄。生息地は海岸の岩上や砂浜で多年草である。

古谷 史旺

<17/06/22>安倍首相の緊急記者会見を聞いて感じたこと!

安倍首相の緊急記者会見を聞いて感じたこと!

〔記者会見の概要〕
 国会が閉会した翌日の6月19日、午後6時から始まった表題の記者会見を聞いて感じたことは、言葉とは裏腹に、真相を究明しようとする真摯な姿勢が見られず、誠に残念な会見であった。
 この会見が、内閣支持率を10ポイント以上も急落させた失地回復に狙いがあるならば、悪印象のみが残った。
 安倍首相が会見で述べた『建設的な議論という言葉から大きくかけ離れた批判の応酬に終始し、政策とは関係のない議論ばかりに多くの審議時間が割かれてしまった。』ことの原因は、何処にあったのか。強面の発言に終始し、事実を究明せずに幕引きを図ろうとする内閣の隠蔽姿勢にあったのではないのか。
〔獣医学部設置の経緯〕
 そもそも「加計学園問題」は、今治市が2007年以降15回に亘って獣医学部の新設を求めていたが、文部科学省は獣医師会の強い圧力によりこれを認めなかった。2013年、国家戦略特区が安倍政権下で制度化された。2015年6月、内閣府が「全国的見地」で獣医学部新設を募集し、2016年1月、今治市が国家戦略特区の指定を受ける。
 10月7日、政府ヒヤリングに対し、京都府と京都産業大学が獣医学部設置構想を訴えたが、11月9日、国家戦略特区諮問会議が、獣医師系学部が“広域的に”存在しない地域に“限り”、獣医学部の新設を可能とする法改正の実施を決定。そのことにより、隣県に大阪府立大獣医学部があった京都産業大学は応募を断念。
 2017年1月4日、内閣府が今治市で2018年4月に獣医学部を開設可能な1校を募集し、1月20日、事業者を加計学園に決定。加計学園は3月31日に文部科学省に設置許可を申請。2018年4月に開業予定。加計学園は96億円の補助金申請。今治市は即日交付を決定。建設予定地の37億円は無償。
〔疑問点〕
(1)国家戦略特区諮問会議が、獣医師系学部が“広域的に”存在しない地域に“限り”、獣医学部の新設を可能とする法改正の実施を決定。該中の“広域的に”、“限り”の文言が追加されたため、隣県に大阪府立大獣医学部があった京都産業大学は、進出を断念せざるを得なくなった。加計学園のみが残るよう仕込まれたのではないか。不正はなかったのか。
(2)加計学園は3月31日に文部科学省に設置許可を申請。2018年4月に開業予定。加計学園は96億円の補助金申請。今治市は即日交付を決定。建設予定地の37億円は無償提供という常識外の処理。この点に不正はなかったのか。
(3)加計学園理事長の加計孝太郎氏と安倍首相とは、米国留学時代からの親友で 「どんな時も心の奥でつながっている友人、私と加計さんもまさに腹心の友だ」と言わしめる間柄、しかも親戚関係。下村博文元文部科学大臣夫人は加計学園の理事。萩生田官房副長官は加計学園関係の名誉教授。加計学園関係の理事やら教授をしていた議員が、加計学園を事業者にする決定に関わっている疑い。
 このようなズブズブの関係の中で、安倍総理の「ご意向」ないし「忖度」はなかった、不正はなかったと言い切れるのか。
(4)下記に記載した〔報道の経過〕をみれば歴然とするが、安倍総理の「ご意向」ないし「忖度」を裏付ける事実が次々と明らかになっているにも拘わらず、強引に国会を閉会し、「閉会中審査」、憲法第53条による「臨時国会」の開催にも応ぜず、幕引きを図ろうとする安倍内閣と、それを支える自民党と公明党の政治姿勢を問いたい。

 真実を明らかにさせるため、少なくとも、前川喜平前事務次官、「総理のご意向」等と記載された文部科学省の文書を作成した職員本人、国家戦略特区における追加の規制改革事項について(案)」に、「広域的に」と「限り」の文言を付け加えた手書き者本人、「藤原内閣府審議官との打ち合わせ」を書きとめた職員本人らに対する証人喚問と、その上で萩生田光一官房副長官、加計学園に対する96億円の補助金を即日交付を決定した今治市長らを証人喚問すべきだ。真相を明らかにしない限り、多くの国民は納得しない。

古谷 史旺


〔報道の経過〕(出典…フリー百科事典『Wikipedia』)  ①5月17日、朝日新聞が「総理のご意向」等と記載された文部科学省の文書の存在を報道。内閣官房長官の菅義偉は「全く、怪文書みたいな文書じゃないか。出どころも明確になっていない」と述べた。
 ②5月22日、読売新聞が「前川前次官 出会い系バー通い 文科省在職中 平日夜」との見出しで、前川喜平が文科省の在職中に新宿歌舞伎町の「出会い系バー」へ頻繁に通っていたことを報道。
 ③5月23日、東京新聞は2016年11月9日の国家戦略特別区域諮問会議(議長:安倍晋三)は獣医学部設置の地理的条件の「獣医師系養成大学等の存在しない地域」との素案に「広域的に」と「限り」を加え、…と報じた。
 ④5月25日、前文部科学省事務次官の前川喜平が記者会見を行い、「あったことをなかったとことにはできない」とし、「平成30年4月開学を大前提に逆算して、最短のスケジュールを作成し、共有していただきたい。これは官邸の最高レベルが言っていること」「総理のご意向だと聞いている」とされる文書の存在について「獣医学部の新設について自分が昨年秋に、担当の専門教育課から説明を受けた際、示された」と証言。2016年9月28日の打ち合わせで「『獣医学部新設に係る内閣府からの伝達事項』との文書を示されたと記憶している」と述べた。これらの文書に対し「誰だって気にする。圧力を感じなかったと言えばうそになる」と述べ、最高レベルとは『トップは総理、次なら官房長官、2人のことかと思った』と語った。「内閣府の言い分は『トップダウンで決めるから文科省は心配するな』と言うことだと受け止めた」「踏むべきステップを踏めず、筋を通せなかった。『こんなことは認められない』と私が内閣府に対して強く主張して筋を通すべきだった。反省している」と述懐した。「あったことをなかったことにはできない」「在職中に共有していた文書で確実に存在していた」「具体的な将来需要が示されず、文科省として負いかねる責任を負わされた。官邸、内閣府、官房など中枢からの要請に逆らえない状況がある」と述べ、証人喚問があれば応じる意向を示した。
 ⑤6月2日、民進党の加計学園疑惑調査チームは内閣府が文科省に対して「官邸の最高レベルが言っていること」と圧力を仄めかしたメール文書と添付ファイルの写しを公開した。メールをやり取りしたのは文科省専門教育課の職員と、内閣府行政改革推進室の管理係長とされており、「藤原内閣府審議官との打ち合わせ」との名前で添付されたファイルの文面に官邸が圧力を掛けたと示唆される、一文が発見された。
 ⑥6月13日、参議院農林水産委員会において、文科副大臣の義家弘介は内部告発者について国家公務員法(守秘義務)違反になる可能性があると述べた。
 ⑦6月14日、追加調査を行わないとしてきた内閣府が内部調査を行うと発表した。
 ⑧6月15日文部科学大臣の松野博一は「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向だ」等と記され、民進党が調査を求めていた19の文書について、文部科学省の専門教育課のコンピューター内の共有ホルダ内に、同内容又は酷似した内容の文書が14、確認ができないものが2とし、3つの文書については「学校法人の利益に関わる内容」として「現時点では存否を含め明らかにできない」と発表、「前回確認できなかった文書の存在が明らかになったことは大変申し訳なく、真摯に受け止めている」と述べた。
 ⑨同日、文部科学省は、2016年11月9日の国家戦略特区諮問会議に提出された「国家戦略特区における追加の規制改革事項について(案)」に、「広域的に」と「限り」の文言を付け加えるよう、「指示は藤原審議官いわく、官邸の萩生田副長官からあったようです」とした内閣府から文科省に送信されたメールの存在を公表した。萩生田光一は「修正の指示を出したことはなく、文科省が公表したメールの内容は事実に反する」と否定した。

<17/06/12>献身的な看護師の仕事に頭が下がる思い!

献身的な看護師の仕事に頭が下がる思い!

 私が毎年受診していた人間ドックは、数えれば29回に及ぶ。つまり29年間だ。その間、殆どの数値は一定しており、大病とは無縁で健康には自信があった。
 入院と言えば、中学を卒業し高校入学を2日後に控えた日、急性の虫垂炎で手術を余儀なくされた時ぐらいだ。
 手術は局部麻酔で行われ、メスで切られる感触が直に伝わってきたことで、気の小さい私はすっかり怯えてしまい、恥ずかしながら、最初から最後まで看護婦さん(今は看護師さん)の手を握り締めていた。残念なことに手術が終わった途端に気を失ったらしく、手を握っていてくれた看護婦さんの顔は覚えていないが、手が柔らかく温かく、美人であったに違いなく、仄かな思い出は今でも忘れない。“病気で頭が変になったの?馬鹿じゃない。”って言われそう(笑)。
 昭和34年4月10日、日本中が皇太子殿下と美智子さまのご成婚で沸き返っていた時のことだ。

 今年の2月に入り、全く何の前触れもなく右股関節に激痛が走り尋常でなかった。近くの整形外科で診察を受け、様々な検査を受け、痛み止めを貰って一時的には治ったが、一ヶ月もしないうちに再発した。そこで院長の紹介状を持たされて自宅からクルマで10分ほどの距離にある防衛医科大学病院を紹介された。
 最初は整形外科、そして血液内科に回されてMRI検査、ペット検査を受けた。そのあと形成外科で組織を採取するため、実に58年ぶりに2日間入院した。
 検査結果は思いのほか重篤で、あとは天に運を任せ治療に専念する覚悟を決めた。薬物治療のための1週間入院で、一日目が8時間の点滴、二日目が4時間の点滴、そのあとは治療効果を見るのと体力回復のためであった。
 これから3週間ごとに約7回の治療が繰り返されることになるが、それにつけても、初めてと言っても過言でない入院で、興味津々で周りを見渡していた。
 絶え間なくかかるナースコールに対し、看護師さんたちの迅速・的確で献身的な対応に感動した。その合間をぬって、頻繁に様子を見に来られ、点滴のチェック、取り替え、体温と血圧測定をして廻っている。
 私は自由に動けたから世話にはならなかったが、動けない患者さんに対する下の世話から洗髪・入浴の手伝い、歩行の手助け等々、ホントに感心させられた。
 こんなハードな仕事をさせておいて良い訳がなく、現にネットなどを検索してみると、看護師さんたちの悲痛な叫びが渦巻いている。
 昨今の政治、マスコミは、何がとは敢えて言わないが、
“一億総ワイドショー化”しており、情けない限り。
 もっと看護師さんたちの悲痛な叫びに耳を傾けた政治、マスコミであって欲しい。

古谷 史旺

<17/05/08>我が家の庭にも春が来た!

我が家の庭にも春が来た!

写真1
写真(1) ホリカン

写真2
写真(2) シャクナゲ

写真3
写真(3) ボタン

写真4
写真(4) オオデマリ

写真5
写真(5) チューリップとハナニラ(?)

 昨年の4月13日付ブログで標記の題で自宅の庭に咲く春の草木を紹介した。今年は第2弾として、昨年紹介できなかった分を紹介したい。
 まず、添付写真の(1)、これは「ホリカン」というツツジ。私は日頃から植木屋巡りをするのが好きで、ある植木屋さんで偶然見つけた。出会った瞬間に心を奪われ、即決で買い求めた。丈が1メートル以上あったし、自分で植えるには運ぶ手段がないし、穴を掘るのも大変なことから、植木屋さんに植えて貰った。鮮やか過ぎる深紅が特長。買った翌年は見事な花を咲かせ至極ご満悦だったが、翌々年は花芽の付きが極端に悪く、残念な結果に終わった。
 買い求めた植木屋さんに行き、原因を聞いたところ、店主曰く「お客さんは釣り上げた魚に餌をやらない口でしょ。」と、ズバリ性格を読まれてしまった。
 最低でも2ヶ月に一度は「殺虫・殺菌剤」を散布しなければ綺麗に咲かせられない、とのこと。それからは教えられたとおりに散布し、明くる年からは見事に咲かせることができた。
 我が家の庭には「シャクナゲ」の木が4本ある。典型的な衝動買いで、写真の(2)はそのうちの1本だが、一番早くに花が咲く。ちょっと変わった色合いで気に入っている。
 写真の(3)は3本あるうちの1本の「ボタン」。つぼみのうちに適当に間引いてやれば、もう少し大輪になるのだろうけど、貧乏性なのか、何か勿体ない気がしてそのまま咲かせている。
 写真の(4)は「オオデマリ」。これが又々咲かせるのが大変。今年は上手く咲かせた方。葉に細かい毛虫が大量に付きやすく、駆除するのが結構大変な作業。私の背丈より高いので、はしご脚立に乗り散布するが、風向きが微妙に変化する日は、「殺虫・殺菌剤」をもろに浴びてしまう。駆除されるのは私の方か…(笑)。
 写真の(5)は、手前の赤白はチューリップ、真ん中が自生のハナニラ? その奥が同じく自生の花で名前が不明。インターネットで検索しても出て来ない。申し訳ない。

古谷 史旺

<17/03/02>ジェネリック医薬品(後発医薬品)について

ジェネリック医薬品(後発医薬品)について

 欧米では、薬を処方するときにジェネリックネームを使うことが多く、「ジェネリック医薬品」は“一般的な医薬品”と捉えられている。日本では「後発医薬品」とも呼ばれているが、いずれにしても「ジェネリック医薬品」は、商標名ではない。
 特許を扱う専門家(弁理士)である私は、特許権の効力が出願から20年、最大でも25年で消滅し、以後は一般に開放されることを承知している。
 ジェネリック医薬品(後発医薬品)と雖も、有効性や安全性の厳格な審査を経て許可される。そのことは法律(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律…昭和35年法律第145号)に明記されている。
 また、特許品と全く同一の品質(効能)と安全性が約束されている(「医薬品等の品質管理の基準に関する省令(GQP省令)。そうでなければ、医薬品としての製造許可・販売許可は下りない。
 ところが、最近、「ジェネリック医薬品」(後発医薬品)は、新薬(特許品)とは違う、品質(効能)・安全性が劣る、と巷の声を耳にすることが多い。
 新薬は、15~20年近くの開発期間と莫大なコストがかかる。だから特許で20年、最大でも25年の排他独占権が保障される。特許期間中は如何なる製薬会社も、新薬と同一のものを製造できないし販売もできない。
 「ジェネリック医薬品」(後発医薬品)は、新薬で既に有効性や安全性及び品質が確認された成分を使って開発されるから、開発期間は3~5年と短い。それ故、開発にかかるコストは大幅に削減される。そこで、国は価格を新薬の約2~6割と設定している。
 日本は、国民が平等に加入する「国民健康保険制度」が、全国津々浦々まで行き届いている。国や地方公共団体が医療費の大半を負担する仕組みとなっている。
 ところが、米、英、独、仏をはじめとする諸外国の多くは、日本のような「国民健康保険制度」が普及していないから、「ジェネリック医薬品」(後発医薬品)の普及率が70%を超えている。90%を超えている国もある。日本は56%の普及率でしかない。
 一昨日の読売新聞によれば、2015年度の国民健康保険財政の赤字額が2843億円に及んだと報じている。
 「ジェネリック医薬品」(後発医薬品)に対する正しい知識が広まれば、「ジェネリック医薬品」(後発医薬品)の普及率が向上し、国民健康保険財政の赤字も大幅に狭まるのに、残念でならない。

古谷 史旺

<17/02/15>「実効支配」について

「実効支配」について

 最近、インターネットで「実効支配」とは、を検索してみて愕然とした。私の常識からすれば、「実効支配」とは、ある国や勢力が、対立する国や勢力あるいは第三国の承認を得ないまま、軍隊を駐留させるなどして、一定の領域を一方的に実質統治していることを意味し、言ってみれば「不法占拠」と同じである。
 ところが、“実効支配とは、法に基づく支配をいう、つまり、軍事的な占領ではなく、文民による統治である。「実効支配=合法統治」である。竹島は、韓国が実効支配しているから、韓国領であり、尖閣諸島は日本が実効支配しているから日本領である。”と、滅茶苦茶な論理を展開して憚らない投稿者がいる。
 もし、この理屈が罷り通るのであれば、他人の家に力ずくで入り込み、占拠を続ける無頼者を、実効支配しているから「その家の住人」だと認めるに等しい。
 日本が他国に実効支配され、若しくは実効支配されつつある島々を以下に記す。
〈竹島〉
 竹島は、島根県隠岐郡隠岐の島町に属しており、隠岐の島からは北西約157km、韓国の鬱陵島からは約92kmの位置(北緯37度9分30秒、東経131度55分)にある。その昔、竹島は松島と呼ばれ無人島であった。1905年、明治政府は竹島を島根県に編入し国際法的も日本の領土となった。
 しかし、日本の敗戦後、GHQは竹島を沖縄や小笠原諸島と同様に、日本の行政権から外した。これを口実に1952年1月18日、李承晩韓国大統領は「李承晩ライン」を設け(田中邦貴「竹島問題」のサイトより)、以後、日本漁船を次々拿捕して実効支配した。
〈北方領土〉
 日本はロシアより早く、北方四島(択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島)の存在を知り、多くの日本人がこの地域に渡航するとともに、徐々にこれらの島々の統治を確立した。1855年、日本とロシアとの間で平和的、友好的な形で調印された「日魯通好条約」(下田条約)は、当時自然に成立していた択捉島とウルップ島の間の国境をそのまま確認するものであった。
 しかし、第二次世界大戦末期の1945年8月9日、ソ連は、当時まだ有効であった「日ソ中立条約」に違反して対日参戦し、日本がポツダム宣言を受諾したあとの同年8月28日から9月5日までの間に北方4島のすべてを占領して実効支配した(外務省、「北方領土問題とは?」より)。
〈尖閣諸島〉
 政府は、1895年1月、他の国の支配が及ぶ痕跡がないことを慎重に検討した上で、国際法上正当な手段で日本の領土に編入した。第二次世界大戦後、サンフランシスコ条約においても、尖閣諸島は日本の領土として扱われた上で、沖縄の一部として米国の施政下におかれた。また、1972年の沖縄返還協定によって、日本に施政権を返還する対象地域にも含まれているなど、尖閣諸島は戦後秩序と国際法の体系の中で一貫して日本領土として扱われてきた(外務省、尖閣諸島情勢の概要より)。
 ところが、中国は、1992年、尖閣諸島を中国領土と記載した領海法を制定し、2008年以降、公船を尖閣諸島沖に派遣して日本の領海に度々侵入するなどの傍若無人を繰り返している。
 これらの明らかな実効支配若しくは実効支配を狙った動きに対し、日本政府の弱腰外交は日本人の志気を挫くもので、政治を司り、行政を司り、さらには司法を司る人々の罪は重い。毅然とした態度で臨んで貰いたいものだ。

古谷 史旺

<17/01/10>知的財産を「憲法」に!

憲法に『知的財産権』の条項を入れさせる運動を、
     さらに強力に推し進めよう!

 いまから遡ること13年前の平成16年、日本弁理士政治連盟は“知的財産権を憲法に盛り込むべきこと”を機関決定し、日本弁理士会と共に粘り強い活動を行って、遂に自由民主党の『憲法改正草案大綱』(平成16年及び平成24年)に『知的財産権』を盛り込ませた。
 勿論、その陰には、憲法調査会会長であった保岡興治衆議院議員の深いご理解があってのことは言うまでもない。

Ⅰ.読売新聞社「憲法改正2004年試案」(平成16年5月3日公表)
第35条(財産権、知的財産制度の整備)
 (1)財産権は、これを侵してはならない。
 (2)財産権の内容は、公共の利益に適合するように、法律でこれを定める。
 (3)私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。
 (4)国は、知的創造力を高め、活力ある社会を実現するため、知的財産及びその保護に関する制度の整備に努めなければならない。

Ⅱ.自由民主党「憲法改正草案」(平成24年4月27日決定)
第29条(財産権)
 1 財産権は、保障する。
 2 財産権の内容は、公益及び公の秩序に適合するように、法律で定める。この場合において、知的財産権については、国民の知的創造力の向上に資するように配慮しなければならない。
 3 私有財産は、正当な補償の下に、公共のために用いることができる。

 驚くべきことは、平成16年5月3日付の読売新聞社の『憲法改正2004年試案』でも、知的財産制度の整備が条文化されて盛り込まれたことだ。弁理士会と弁政連が強い働きかけをした訳ではない。
 忌憚なく私の意見を言わせて頂くならば、『知的財産権』に関する規定ぶりは、独立項を立てた読売新聞社の『憲法改正試案』の方が、疑義の余地が無く優れている。すなわち自由民主党の「憲法改正草案」第29条第2項で規定する「知的財産権」は、権利の制限規定だと解釈する余地が残ってしまう。

Ⅲ.日本弁理士政治連盟は、平成17年2月8日(火)キャピトル東急ホテルで行われた30周年記念式典・祝賀会において、『知的財産の創造・保護・活用を憲法に!』をスローガンに掲げた。
 我々は世界に冠たる弁理士制度・知的財産権制度の構築を夢みており、この国のあるべき姿を憲法に明記することは、知的財産で国を興す究極の意志の表明であり、極めて重要なことと考えている。
 知的財産権の創造・保護・活用が『憲法』に盛り込まれたならば、世界に冠たる知的財産制度と弁理士制度の構築は、夢ではなく現実のものとなる。

Ⅳ.このように、我々は、常に我が国の“さきがけ”となることを志し、その結果が、知的財産制度及び弁理士制度の更なる改革に繋がると信じて活動してきた。
 知的財産を国家戦略と位置づけるからには、日本国憲法に『知的財産権』を明記し、国民の知的創造力の向上に資する配慮が必要であることを改めて痛感し、声を大にして訴え続けたいと思う。輪を広げていきたい。

古谷 史旺

<16/12/06>追悼のことば

追悼のことば
   ~故弁理士羽村行弘くんへ捧ぐ~

 弁理士羽村行弘氏は平成28年11月28日、大動脈解離による心停止で急逝しました。

 羽村行弘さん、ボクとキミとの間では「羽村くん」、「古谷くん」で呼び合っていたので、それで行きます。
 羽村くんと初めて出会ったのは、かれこれ50年以上前になりますが、日本大学法学部の「特別研究室弁理士科」に入ってからでした。
 直ぐに親しくなり、東中野のアパートに遊びに行ったこともあったし、羽村くんの実家である西多摩郡の羽村町にお邪魔したこともありました。
 羽村くんの実家は農家で、広大な田畑を抱え、豚小屋には沢山の豚が飼われていたし、裏には竹林があって、タケノコが採れ、毎年のように貰ったこともありました。
 羽村くんは、若い頃、羨ましくなるほど女の子に持てていました。
 ササッと描くスケッチ絵は上手いし、高校の頃ブラスバンドをやっていたとかで音楽にも詳しく、駄洒落は天下一品だし、顔に似合わず兎に角、人を和ませるし、楽しいし、話題が豊富でした。ボクとキミの共通の友達だった女の子から言われたことがあります。羽村くんと話していると楽しくて飽きないけれど、古谷くんと話していると5分で飽きちゃうの、…。
 20代の後半だったと思うけど、羽村くんは十二指腸潰瘍で慈恵医大に入院し手術したことがありました。ご両親が手術に来られなかったので、ボクが立ち会い、術後の医者からの説明もボクが受けたし、麻酔から覚めて暴れるキミを必死で押さえたことが昨日のことのように思い出されます。
 羽村くんは、荒木・尾股特許事務所に就職し、図面を描きながら弁理士試験の勉強をしていました。そこの事務員に眞澄さんがいて、知らない間に同居し、その後あっち間に結婚しました。遊びに行くと、眞澄さんが得意の料理を作って歓待してくれたことも覚えています。持てなかったボクは羨ましく思ったものです。
 羽村くんは、「特別研究室弁理士科」での受験時代、弁理士試験にやや半身の構えであったボクに対し、弁理士の仕事の素晴らしさを、熱く語ってくれました。そのことがなかったら、今日の古谷はなかったと感謝しています。
 感謝すべきことは他にもあります。ボクは30歳の時に特許事務所を独立開業しましたが、そのとき、一生懸命後押ししてくれたのが羽村くんでした。その後、様々な会社を紹介してくれました。
 ボクは弁理士会の会長選挙に2回出て2回とも落選しましたが、陰になり日向になって支え励ましてくれたのが羽村くんでした。3回目の会長選挙に出る決意を固めた時、先ず羽村くんに相談しました。キミは、古谷くんが出たいのなら応援するよ、頑張れって励ましてくれました。
 羽村くんは、平成21年4月29日「黄綬褒章」の受賞の栄に浴しました。
 その何年か前に、国の叙勲報奨制度が改正され、受賞基準が高くなり、弁理士の受賞が激減しました。
 単に会務活動に貢献するだけでなく、“真に発明の発掘・相談に永年従事していること”の条件が厳格になったのです。
 羽村くんは、若い頃より受賞に至るまでの間、東京都、発明協会、地方の商工会議所などの相談員として活躍され、弁理士としての使命を遺憾なく発揮されたことが高く評価されたものです。

 一週間前、久しぶりに羽村くんと昼食を共にし、旧交を温めたばかりなのに、突然の別れは悲し過ぎます。無情です。残念無念の極みです。
 いずれ、ボクもキミの近くに行くことになるが、そのときは、「古谷くん」も来たか、って出迎えてくれ。
 じゃあ、その時までさらば。 合掌。

古谷 史旺

<16/11/07>真っ青に晴れ上がった文化の日に、ブルーインパルスが飛来!

真っ青に晴れ上がった文化の日に、ブルーインパルスが飛来!

航空ショウ1 航空ショウ2 航空ショウ3

 3日、狭山市の航空自衛隊入間基地で、航空祭が開催され、約13万人が来場したと報じられた。
 私は所沢の北東に位置する新所沢に引っ越して35年余になるが、当時は新所沢の駅から2キロも離れた我が町(新所沢ニュータウン)が見渡せ、バスの車中からも遙か彼方の富士山までもが見えていた。
 我が町の周辺には、畑や雑木林が広がり、近くには、江戸時代に幕府側用人で譜代大名の柳沢吉保が開墾を進めた「中富新田」が原形をとどめて存在し、キジが鳴き、小綬鶏がチョットコイ、 チョットコイと鳴き、深まりゆく秋にはモズが甲高い声で鳴き、春にはウグイスが鳴き、6月頃になると託卵の習性があるカッコウが飛来して来て、産み付けた卵がふ化し巣立ちするまで、鉄塔のてっぺんを中心に、あっちに行ったりこっちに来たりしながら、カッコー、カッコーと鳴き続けている。ここは標高の高い蓼科でも軽井沢でもないのに…。
 そんな我が町も開拓の波が押し寄せ、雑木林はドンドン宅地化され、駅から我が町は全く見えなくなったし、バスの車窓から見えた富士山も全く見えなくなってしまった。
 それでも、裏の方に車で5分ほど走ると、未だ雑木林や畑の広がっているところが残っている。そこは、ブルーインパルスのアクロバット飛行が見渡せる絶好の観賞スポットとなっており、多くの人のたまり場化している。
 調べてみれば、ブルーインパルスの歴史は意外と古く、1958年に浜松基地開庁記念式典で初飛行している。1964年10月10日の東京オリンピックの開会式で「五輪マーク」を描き、1970年の大阪万国博覧会開会式では「EXPO70」の文字を描いている。
 ブルーインパルスとして使用されるジェット戦闘機は、初代のF86Fから、T-2、T-4と続き、現在は川崎重工業製の中型ジェット練習機が使われている。編隊は6機で全国から選抜された精鋭パイロットによる飛行である。
 話しを戻すが、我が家の上空近くがブルーインパルスの旋回地点になっているらしく、初めの頃は、2階の屋根に上って空を見上げていた。しかし、そのうち間近で見たくなり、開催地の入間基地に家族で出掛けて行ったこともある。ところが、ジェット機のもの凄い轟音に子供たちが怖じ気づき、翌年以降は、先ほど述べた絶好のスポットで観賞することにしている。
 今年は、天候が危ぶまれたが、昼前には真っ青に晴れ上がり、絶好のコンデションを迎えた。その時スマホに収めたのが3枚の写真である。そのうちの1枚は、2機でハートを描き、他の1機が見事にハートを射貫いている。

古谷 史旺

<16/10/12>試験制度を改正すべし!

「弁理士試験」制度を、
       このまま放置していて良いのか!

(1)受験者の総数が10,000⇒5,000を割り込み、魅力が失われている。
(2)選択免除の合格者が70%を超え、試験制度の不公平感が否めない。

 平成12年改正前の弁理士試験は、第一ステージの「多枝選択試験」(短答式)が、特許、実用新案、意匠及び商標に関する法令(工業所有権法)及び条約類の中から50題が設問され、数百人に篩い落とされる。
 篩いに残った数百人は第二ステージの「論文試験」に臨む。論文試験は5科目の必須科目と3科目の選択科目がある。必須科目は、特許、実用新案、意匠及び商標に関する法令及び条約類。選択科目は指定された科目の中から受験者が3科目を予め選択し受験する。各科目とも原則2問が出題され、1答でも基準点に達しなければ不合格となり、翌年全科目を受け直すこととなる。
 第三ステージの「口述試験」に臨めるのは1/5以下。「口述試験」で篩い落とされるのは7~10名程度。口述試験の不合格者のみ、翌年に限り論文免除の特典が与えられる。受験者総数に対する合格者の割合は2~3%という狭き門であったが、不公平感は全く無かったし、合理的であった。

 平成12年改正の弁理士試験は、「短答式試験」に著作権法と不正競争防止法を加え60題が設問されることとなり、それなりの改正意義はある。
 ところが、「論文試験」の必須科目から条約類が除かれ、選択科目も指定された科目の中から受験者が1科目のみを選択し受験する。従って、平成12年改正前の論文試験全8科目から全5科目に減り、そして免除規定も拡大され、①修士又は博士の学位保持者、②公的資格取得者(技術士、薬剤師等)が選択科目を免除されることとなった。合格率は6~7%に急上昇し、特許庁の大増員政策は達成された。
 平成19年改正の弁理士試験は、文系受験者の選択科目は、弁理士の業務に関する法律から1科目を選択する。
 そして、下記のとおり、免除(対象者-免除内容)が、更に拡大された。
①短答式試験合格者-2年間の短答式試験免除、
②大学院修了者-短答式試験のうち工業所有権に関する法令及び条約の試験免除、
③論文試験(必須)合格者、-2年間の論文試験(必須科目)免除、
④論文試験(選択)合格者、-その後の論文試験(選択科目)※永続的に免除-
⑤論文試験の選択科目免除-修士又は博士の学位保持者、公的資格保持者(技術士、薬剤師等)
 この度重なる改正により、合格率は8~10%に上昇した。

 平成26年改正の弁理士試験は、論文試験(必須科目)中の特許と実用新案を1科目とし、意匠、商標、合わせて3科目となった。選択科目は、文系は選択の余地が無くなり「民法」(総則、物権、債権)のみとなった。また、免除規定の対象者を専門職大学院が修了要件として定める一定の単位を修得して、文部科学大臣が定める学位を有し、当該専門職大学院が修了要件として定める論文の審査に合格した者を含めることになった。

 去る9月28日に今年度の弁理士試験の論文合格者が発表され288名が合格した。最終試験である口述試験が終わらないと正しい数字は出ないが、筆者が問題にしているのは、最終的な合格者数ではなく、「弁理士試験」の受験者を激減させた原因である。
 何の特典もない大卒受験者は、先ず、第一ステージの「短答式試験」を受けなければならない。次いで、第二ステージの「論文試験」(必須科目)である特許・実用新案、意匠、商標の3科目を受けるが、この中には工業所有権に関する条約も含まれている。そして、理系の受験者であれば、理工Ⅰ~理工Ⅴ及び法律(民法)から1科目を選択することになる。一方の文系受験者は、法律(民法)のみを選択することになる。第三ステージの「口述試験」に大きな変更はない。
 平成19年改正の弁理士試験では、『文系受験者の選択科目は、弁理士の業務に関する法律から1科目を選択する。』となっており、受験テクニックとして、条文数が1,044条と圧倒的に多い民法を避けて、条文数の少ない「著作権法」とか「不正競争防止法」とか「独占禁止法」等を選択できた。それが平成26年改正の弁理士試験では、「民法」(総則、物権、債権)のみとなり、文系受験者からすれば、もの凄い負担増となった。
 公平であるべき「弁理士試験」が、合格者の大幅増を狙うあまり、必須5科目、選択3科目の合計8科目の“一発合格”制度から、必須3科目、選択1科目の4科目に減らし、併せて様々な免除規定による“段階的合格”を可能とさせ、「受け易く受かり易い弁理士試験」に変貌させた。
 その結果、受験者総数は10,000から5,000を割り込み、合格率も2.8%から8~10%に上昇し、希少価値はなくなり、魅力が失われる結果を招いている。
 まして、大学院修了者には、選択免除という特典が与えられ、この特典による合格者が70%を超えている。何の特典もなく圧倒的なハンディを背負わされる大学卒業者は20%にも満たない合格率であり、「弁理士試験」に対する不公平感のみが際だち、魅力を失墜させた。受験者の激減は、このことを如実に示している。
 過去3年間の弁理士試験合格者の平均年齢は、37.2歳となっており、受験者の多くが大学院修了か、他の資格を取得してから弁理士試験に臨むという極めて変則的な受験となっている。
 知的財産業界の活性化を果たすには、若くて有為な人材の排出が不可欠であり、このままでは、将来展望が全く望めない。「弁理士試験」制度の抜本的な改革が待たれるところである。

古谷 史旺

<16/08/23>技術革新力 日本16位について

「技術革新力 日本16位」について!

 2016年8月15日、世界知的所有権機関(WIPO)は国ごとの技術革新力を比較した2016年のランキングを発表し、日本は昨年より三つ順位を上げて16位となった。1位は6年連続でスイス。
 このランキングは、WIPOと米コーネル大学などが研究開発投資、特許出願数、科学技術論文数など82項目を国・地域別に点数化して、毎年作成している。
 日本は、単純な数量だけではない論文の引用状況や、海外特許、各国の世界大学ランキングの上位3校の状況といった特性を評価した技術革新品質評価(INNOVATION QUALITY)では1位(前年3位)を獲得したが、「起業のしやすさ」、「商標登録数」、「創造的なサービスの輸出」などの評価項目が上位国より劣っており、総合では54.52ポイントとなった。

技術革新力、日本は三つ上げて16位…16年
〔8月16日付「読売新聞」朝刊より抜粋〕


 一方で、世界各国の国際競争力を包括的に評価する代表的指標としては、スイスに本部を置く国際経営開発研究所(IMD)が発表する国際競争力ランキングは、「経済状況」、「政府の効率性」、「ビジネスの効率性」、「インフラ」の4分野、20中分類、333指標(2013年)からなり、統計データと経営者層へのアンケ-ト調査を組み合わせたものである。算出した値は、「企業の力(競争力)を保つ環境を創出・維持する力」を表すものとされている。
 我が国は、IMD指標の公開が開始された1989年から1993年まで第1位であったものの、近年はおおむね20~30位で推移しており、2013年は60カ国・地域中24位となっている。
 日本より上位の国としては、以前より優越した競争力をもつ欧米諸国のほか、近年順位が上がっている香港、シンガポール、台湾、カタール等のアジア諸国が並ぶ。
 分野別にみると、我が国は「インフラ」の分野が4分野中最高の10位となっているが、これは、研究開発費や論文数、特許件数等の指標からなる中分類である「科学インフラ」(第2位)が牽引していると見て取れる。
 そのほか、「経済状況」(25位)、「政府の効率性」(45位)「ビジネスの効率性」(21位)の分野については、いずれもトップクラスとは言えない。 〔我が国の科学技術政策を取り巻く動向:文部科学省より抜粋〕

 去る8月5日から8月21日までの17日間、ブラジル のリオデジャネイロで開催された第31回夏季オリンピックでは、日本の大躍進が報じられ、多くの国民がテレビにくぎ付けとなった。かく言う私もその一人であるが、いつまでも浮かれてはいられない。
 日本の債務は1000兆円を超え、一時回復の兆しが見えた景気は下降に転じている。アベノミクスの第3の矢は何処へ飛んでいったのか。矢ではなく、大黒柱をしっかりと打ち立てない限り、デフレスパイラルに逆戻りする懸念を払拭できない。

古谷 史旺

<16/08/04>今回の都知事選について思う!

今回の都知事選について思う!

 私は、生まれてから結婚するまでの28年間を東京都豊島区の実家で過ごした。結婚して埼玉県所沢市に居を構えた。本籍は依然として豊島区にある。
 「だから、何なんだ?」と言われそうだが、今回の都知事選について思うところを述べてみたい。

 石原慎太郎氏の事実上の後継指名を受けて都知事となった猪瀬直樹氏は、都知事選で徳洲会から5,000万円を受け取っていたことが判明し、任期4年のところを1年余で辞職した。
 続いて登場した舛添要一氏は、高額な海外出張費、公用車の私的利用、政治資金の流用疑惑などで、2年余りで辞職した。二人は自民党・公明党の推薦を受けて当選を果たしていた。
 今回の都知事選は、現職衆議院議員の小池百合子氏が早々と立候補の意欲を示し、自民党の推薦を受ける動きを見せたが、自民党・公明党は東京都連の意向を受けて、もと岩手県知事の増田寛也氏を推薦し、小池氏との分裂選挙となった。
 一方の民進党をはじめとする野党連合は、土壇場でジャーナリストの鳥越俊太郎氏を決め、選挙戦に突入した。小池・増田両候補者と顕著な違いを見せたのは鳥越俊太郎氏で、脱原発、護憲を鮮明にした。
 小池百合子氏は、小泉純一郎氏が総理大臣のとき、郵政民営化に反対した自民党の現職議員4人のうちの一人であった小林興起氏の選挙区に「刺客」として送り込まれ、一説では自ら「刺客」の名乗りを上げたとも報じられている。いずれにせよ見事に勝利したことが強烈な印象で残っている。
 今回の都知事選でも、小池百合子氏はいち早く名乗りを上げ、自民党の推薦が取れないと知るや、自ら「推薦辞退」を打ち出したり、「都議会の冒頭解散」を宣言したり、中々の選挙巧者で、小泉純一郎氏をして“勇気があるねえ!”と言わしめた。
 蓋を開けてみれば、午後8時の開票と同時に小池百合子氏の「当選確実」が報じられた(NHK)。これは出口調査の結果だそうだが、最終的には、小池百合子氏が291万票、増田寛也氏が179万票、鳥越俊太郎氏が134万票の大差であった。
 開票の翌々日、小池百合子氏が初登庁し、多くの都庁職員に出迎えられていた。職員に対する訓辞の後、都議会の議長、副議長へ挨拶に出向いたとき、自民党都議連に出向いたときの様子がテレビで報じられたが、議長、副議長、対応した自民党都議連の議員は、大人気ない立ち振る舞いで、テレビを観ている者を不快にさせた。
 私は、小池百合子氏を応援していた訳ではないが、選挙が終わったら“ノーサイド”、小池百合子支持の291万票の重みを肝に銘じた「都民第一」の姿勢で都議会を行って貰いたいものだ。
 マスコミも、これからは重箱の隅をほじくり回すのを止め、山積する日本国の重要課題に対し、ジャーナリストらしい鋭い感性で取り組んで貰いたい。

古谷 史旺

<16/05/25>トモダチ作戦

「トモダチ作戦」で日本(福島)を助けて放射能を浴び、
現に苦しんでいる米兵のことを忘れてはならない!

 2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震発生当時、福島第一原子力発電所(以下「原子力発電所」は1〜3号機が運転中で、4号機、5号機及び6号機は定期検査中だった。
 地震の約50分後に高さ13.1 mの津波が発電所を襲い、地下に設置されていた非常用ディーゼル発電機が海水に浸かって故障。さらに電気設備、ポンプ、燃料タンク、非常用バッテリーなど多数の設備が損傷し、または流出で失ったため、ポンプが稼働不能に陥り、原子炉内部や核燃料プールへの送水が止まり、冷却不能となった。
 核燃料は運転停止後も膨大な崩壊熱を発するため、注水し続けなければ炉内が空焚きとなり、核燃料が自らの熱で溶け出してしまう。実際、1・2・3号機ともに、核燃料収納被覆管の溶融によって核燃料ペレットが原子炉圧力容器(圧力容器)の底に落ちる炉心溶融(メルトダウン)が起き、溶融した燃料集合体の高熱で、圧力容器の底に穴が開くこと、または制御棒挿入部の穴およびシールが溶解損傷して隙間ができたことで、溶融燃料の一部が原子炉格納容器(格納容器)に漏れ出した(メルトスルー)。
 また燃料の高熱そのものや、格納容器内の水蒸気や水素などによる圧力の急上昇などが原因となり、一部の原子炉では格納容器の一部が損傷。うち1号機は圧力容器の配管部が損傷したとみられた。また、1〜3号機ともメルトダウンの影響で水素が大量発生し、原子炉建屋、タービン建屋各内部に水素が充満。1・3・4号機はガス爆発を起こして原子炉建屋、タービン建屋及び周辺施設が大破した。
 格納容器内の圧力を下げるために行なわれた排気操作(ベント)や、水素爆発、格納容器の破損、配管の繋ぎ目からの蒸気漏れ、冷却水漏れなどにより、大気中、土壌、海洋、地下水などへ大量の放射性物質が放出された〔福島第一原子力発電所事故-Wikipedia〕。
 このような甚大な事故の最中、日本政府の要請により米国の原子力空母「ロナルド・レーガン」がいち早く現場に急行し、災害救助・救援および復興支援の任に当たった。しかしながら、東京電力および日本政府から、放射能流出の迅速且つ的確な情報の伝達、公表が遅れたため、米国の海兵隊員の多くが被爆してしまい、不幸にして亡くなられた隊員や、5年近く経った今でも被爆症状で苦しまれている姿が報道されている。
 当時、空母では、海水蒸留装置の水を飲んだり、その水で調理した食事を取ったりしていた。現場海域に到着して3日後の2011年3月15日、艦長が『水を飲まないように』と命じたが、既にシャワーを浴びたり、水を飲んだりした後のこと。その後も、甲板の洗浄には汚染された海水を使っていたことも判明している〔トモダチ作戦……朝日新聞デジタル〕。
 このような痛ましい事故は、放射性物質の空中への拡散、海への流出を、東京電力および日本政府が、迅速且つ的確に米国に伝えていれば防げたことである。
 このことを伝え聞いた元首相の小泉純一郎氏が米国に渡り、被爆され現に苦しんでいる方々と面会し、涙したことが伝えられている。
 小泉氏が動いて初めて真実が明かされる。意識的に隠蔽したとは思いたくないが、こういった痛ましい事故が報道されない。関心が示されない。そんなことで良いのであろうか。 一方では、元米兵による殺人事件は連日報道され、このことでオバマ大統領と安倍首相の会談まで予定されるようだ。
 「トモダチ作戦」で日本を助けて放射能を浴び、現に苦しんでいる米兵のことを忘れて良い訳がない。元米兵による殺人事件と同じように、安倍首相はオバマ大統領と会談し、米国民に向けて真摯な姿勢を示すべきではないのか。

古谷 史旺

<16/04/27>知的財産を「憲法」に!

~憲法に『知的財産権』を明記し、
  「国民の知的創造力の向上に資するよう
      配慮しなければならない」を宣言せよ!~

 日本弁理士会は、今から遡ること43年前の1962年10月に、内閣憲法調査会に対し『発明条項を設ける憲法改正に関する建議書』を提出し、憲法中に「発明考案」に関する特別の条項を設けるべきことを訴えている。
 当時の我が国は、憲法を改正すべしとの機運は乏しく、80%以上の国民は護憲一色であった。
 その中にあって、上記『建議書』を提出するに至った経緯は分からないが、「物づくり日本」から脱却し、知的財産で日本を興す「知財立国」を視野に入れてのことであれば、恐れ入った先見性である。
 なぜなら、「知財立国」とは、小泉純一郎首相が2002年に打ち出した国家戦略の1つで、知的財産の創出、保護と活用を、国をあげて取り組む課題として国策にした政策である。これは、台湾、中国、韓国など新興国の台頭により「物づくり日本」が破綻を来たし、失われた20年と揶揄される不況のどん底で喘いでいたとき、我々が建議した政策であった。
 「知財立国」は、知的創造により技術開発等を促進し、知的財産権の取得・活用で世界との競争に勝つことを狙いとし、将来的には、世界特許に向けた取り組みや模倣品や海賊版などの対策、大学の知的財産管理機能、営業秘密保護の強化や実質的な「知的財産高等裁判所」機能の創出、法科大学院の設立による知的財産専門人材の育成などがあげられる。2002年11月には「知的財産基本法」を成立させ、2005年4月には「知的財産高等裁判所」を成立させた。
 平成16年、日本弁理士政治連盟は“知的財産を憲法に盛り込むべきこと”を機関決定し、日本弁理士会と共に粘り強い活動を行って、遂に自由民主党の『憲法改正草案大綱』(平成16年及び平成24年)に『知的財産権』を盛り込ませた。

 ☆読売新聞社「憲法改正2004年試案」(平成16年5月3日公表)
第35条(財産権、知的財産制度の整備)
 (1)財産権は、これを侵してはならない。
 (2)財産権の内容は、公共の利益に適合するように、法律でこれを定める。
 (3)私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。
 (4)国は、知的創造力を高め、活力ある社会を実現するため、知的財産及びその保護に関する制度の整備に努めなければならない。

 ☆自由民主党「憲法改正草案」(平成16年及び平成24年4月27日決定)
第29条(財産権)
 1 財産権は、保障する。
 2 財産権の内容は、公益及び公の秩序に適合するように、法律で定める。この場合において、知的財産権については、国民の知的創造力の向上に資するように配慮しなければならない。
 3 私有財産は、正当な補償の下に、公共のために用いることができる。
※驚くべきは、平成16年5月3日付の読売新聞社の『憲法改正2004年試案』でも、知的財産制度の整備が条文化されて盛り込まれたことだ。

 忌憚なく言わせて頂くならば、『知的財産権』に関する規定ぶりは、独立項を立てた読売新聞社の『憲法改正試案』の方が、その後の疑義を起こす余地が無く、優れていると思う。
 我々は世界に冠たる弁理士制度・知的財産権制度の構築を夢みており、この国のあるべき姿を憲法に明記することは、知的財産で国を興す究極の意志の表明であり、極めて重要なことと考えている。
 このように、日本弁理士会と日本弁理士政治連盟は、常に我が国の“さきがけ”となることを志し、その結果が、知的財産制度及び弁理士制度の更なる改革に繋がると信じて活動している。
 知的財産を国家戦略と位置づけるからには、日本国憲法に『知的財産権』を明記し、国民の知的創造力の向上に資するよう配慮することが必要である。

古谷 史旺(前日本弁理士会会長・元日本弁理士政治連盟会長)

<16/04/13>我が家の庭にも春が来た!

我が家の庭にも春が来た!

白芯朴伴
ボケ
玄海ツツジ
ツツジ
 4月2日(土)の午後6時から、市ヶ谷で大学時代のゼミ生の集まりで「観桜会」が開かれた。市ヶ谷駅を出て直ぐの土手一帯に桜の古木があり、花見はここで行われるが、我々は横着してホテルのレストランで宴会しながらの花見。
 私は集合時間より少し前に行き、ブラッと歩いてみた。桜は満開というよりも八分咲きというところか。土手のあちこちにブルーシートが敷かれ、宴会が真っ盛りのところもあり、食い気の強い私は、花見よりもどんな料理を食べているのか興味津々。
 一昔前であれば、お重の箱がところ狭しに広げられ手作りが見られたが、何処を覗いても、コンビニ若しくはスーパーで仕入れた物ばかり。時代の流れを思い知らされた次第。
 ところで、我が家の庭も一気に花盛りになった。最初に咲き始めたのは白芯朴伴というツバキで、芯が黄色いのが普通だが、これは読んで字の如く芯が白い。昨年は肥料のやり過ぎか、強い日照りでかは知らないが、かなり弱ってしまい枯れるのではと心配した。しかし、今年は見てのとおり沢山の花を咲かせた。ホッとしている。
 次に、真っ赤な花を咲かせるボケ(写真を見て下さい)、この木も病気に弱く褐斑病や赤星病などの病気に罹る。薬をかける時に下手に近づくと鋭い棘でグサリやられる。“このボケッ!”って怒られる(笑)。
 ボケの隣りに玄海ツツジ?がある。これも薄紫の綺麗な花を咲かせる。あっちこっち探し求めてやっと手に入れた自慢のツツジ(写真を見て下さい)。これも肥料をやり過ぎるのか、細い枝が結構死んでしまい、手入れが難しい。
 未だ咲いていないが、ホリカンというツツジもある。これも鮮やかな深紅で出会ったときには感動した一品。
 白い花を咲かせているのは、利休梅というもの(写真を見て下さい)で、親は枯れてしまって諦めていたが、根の脇から新芽が伸びてきて、4~5年がかりで育てたもの。凄く気に入っている。
 ほかに、三つ葉ツツジ、シャクナゲ、ボタン、フジ、などもあり、楽しい季節を迎える。

古谷 史旺

<16/03/29>保育所入所待機児童数43,184人の問題について〈第2弾!〉

保育所入所待機児童数43,184人の問題について〈第2弾!〉

 内閣府が公表した「平成27年度版 少子化社会対策白書」によれば、“2013(平成25)年4月、新たに『待機児童解消加速化プラン』を策定し、2015(平成27)年度からの子供・子育て支援新制度の施行を待たずに、待機児童解消に意欲的に取り組む地方自治体に対しては、その取り組みを全面的に支援してきたところであり、2013、2014年度の「緊急集中取組期間において、約20万人分の保育の受け皿を確保できる見込みである。今後、2015年度から2017(平成29)年度までを「取組加速期間」として位置付け、保育ニーズのピークを迎える2017年度末までに、潜在的な保育ニーズも含め、さらに約20万人の保育の受け皿確保を図り待機児童の解消を目指すこととしている。”
 待機児童解消関連予算は、26当初予算分(内閣府計上の保育緊急確保事業分も含む):6,929億円が計上されている。
 また、東京都福祉保険局が作成し平成26年3月に公表された『東京都保育士実態調査報告書』によれば、“現在保育士として働いている人のうち、約2割が今後は保育士を辞めたいと回答し、危機的状況が明らかとなっている。退職意向の理由は、どの年代でも概ね「給料が安い」「仕事量が多い」「労働時間が長い」である。また、いわゆる潜在保育士は、「配偶者有・子供有」の割合が高く、その方々が保育施設に就業するための希望条件としては、「給与等」よりも、「勤務日数」「通勤時間」「勤務時間」であることから、家庭や子育てとの両立可能な勤務条件の整備が必要であることが分かった。ただし、潜在保育士で「配偶者無・子供無」の属性では、「給与等」を重視する傾向にあった。”
 このような保育士が抱える根本的な問題を解決しない限り、保育士のなり手は増えない。また、潜在保育士の要望を満たすため、各地域に必要な数の保育所を作り、勤務条件を緩和しなければ、必要とされる数の保育士が揃わず、保育所入所待機児童数の減少には繋がらない。
 保育士を増やすには、保育士の評価を高める以外になく、「給料が安い」「仕事量が多い」「労働時間が長い」を払拭させることである。また、「勤務日数」「通勤時間」「勤務時間」を改善させることである。これらの実現を民間に依存するのではなく、国が徹底的に関わり、抜本的な対策・支援が不可避である。
 去る3月25日配信の毎日新聞によれば、“待機児童解消に向けて政府・与党が検討している緊急対策の原案が判明した。それによれば、保護者の都合で一時的に子どもを預けられる「一時預かり」について、同じ子供を毎日預かる前提でのサービスを行い、保育所などへの入所が決まるまでの居場所を確保する。また、面積当たりの子供の数を国の最低基準より少なくするなどしている保育施設に対し、定員を超えて預かる子供の数を増やすよう求めるなど、受け入れ枠拡大や規制緩和策をさらに推進する、”ことが明らかになった。
 また一方で、去る3月24日の日本テレビ系NNNニュースによれば、“待機児童問題が国会論戦の大きなテーマとなる中、民主・維新・共産など野党5党は、24日、保育士の給与を月額5万円引き上げるなどを盛り込んだ法案を衆議院に提出した。
 法案では、保育士の人手不足が、待機児童の大きな原因として、保育士のほか、幼稚園の職員などの給与を月額5万円引き上げるための助成金を事業者に支給するとしている。 必要となる約2,800億円の財源は、公共事業の削減などによって確保するという。”
 上記にある「平成27年度版 少子化社会対策白書」には原因の究明と対策が示されている。特に『待機児童解消加速化プラン』を間髪入れずに実行すれば、大概のことは解決できる。
 7月に行われる参議院選挙向けのポーズではなく、与党も野党も、とりわけ政治の責任者である安倍首相が「保育所入所待機児童数をゼロにせよ!」と決断し、関係省庁に達成期限付きで指示を出せば、「一億総活躍社会」は掛け声だけでなく、現実味を帯びてくる。
 ときには目の覚めるような政治決断をし、喝采を浴びて欲しいと願うのは、私一人だけではあるまい。

古谷 史旺

<16/03/11>保育所入所待機児童数を劇的に減少させる対策を講ぜよ!

保育所入所待機児童数を劇的に減少させる対策を講ぜよ!

 安倍晋三改造内閣は「一億総活躍社会」を目指すことを宣言した。これの意味するところは、少子高齢化に歯止めを掛け、50年後も人口一億人を維持し、家庭・職場・地域で誰もが活躍できる社会を目指すというものである。
 ところが、この掛け声とは裏腹に、厚生労働省が平成26年10月に公表した「保育所入所待機児童数」によれば、43,184人もいるとのこと。
 これは、産休・育休を終えた女性の職場復帰を閉ざしていることであり、「一億総活躍社会」なんて、“聞き心地の良いことばかり言うな!”との反感を買う。
 「保育所入所待機児童数」が多い理由は、「保育所」の数と「保育士」のなり手が圧倒的に少ないことに主な原因がある。
 他の仕事に比べ、「保育士」の実働時間は長く、賃金も他の職種の60%位と聞けば、“子どもが好きだから”だけでは済まされない。
 保育料の引き上げは、家計を直撃し、軽々にできる話ではない。補助金の出動を含めた国の抜本的な対策がなければ解決ができない。にも拘わらず、真っ向から取り組む姿勢を見せない厚生労働省の役人と政治を司る国会議員に対し猛烈な憤りを覚える。
 先日、保育園への入所選考に落ちた母親が「保育園に落ちた日本死ね!!」と題して怒りをつづったブログが波紋を広げ、2月29日の衆議院予算委員会でも採り上げられた。
 これに対し安倍晋三首相は、「匿名では本当に起こっているのか確認しようがない!」とつれなく突き放した答弁が放映されていた。
 安倍晋三氏は、華麗なる一族の出身であることは間違いないが、あの人懐っこい表情から、庶民感覚を持ち合わせた政治家との印象を持っていた。
 ところが、過日の発言は、“最高権力者の驕り”が見え、失望させるものであった。
 安倍晋三氏が直ちに行うべきは、匿名であろうと実名であろうと、実態調査と抜本的な対策だろう。「一億総活躍社会」を標榜するなら、「保育所入所待機児童数」を劇的に減少させて見せてこそ“政治”への信頼を揺るぎないものとするし、彼の立場なら、そう難しい課題ではないであろう。

古谷 史旺

<16/01/21>雪にやっぱり弱い首都圏の交通機関

雪にやっぱり弱い首都圏の交通機関

雪の写真1 雪の写真2

 地球温暖化により今期の冬は暖冬と言われていた。その言葉どおりに12月後半から1月を迎えても比較的暖かかった。霜が降りることもなかった。冬物のコートをいつ着るか迷うほどだった。  何処のテレビチャンネルも、前夜の天気予報では雪、雪の大合唱だったが、1月17日(日)の夜に降り始めたのは雨であり、やがて土砂降りとなった。ところが、1月18日(月)の未明から降り始めたらしい雪は、午前5時半頃に起きてみれば、見渡す限りの銀世界となっていた。それどころか、ベランダ越しに見れば20cm以上の積雪となっている。慌てて服を着て外に出てみれば、革靴での出勤はとてもムリな感じで、くるぶしが埋まるほどだった。
 私の家は、西武線の新所沢駅からバスで10分位のところにあり、冬は都心より2~3℃気温が低く、深い霧に覆われることもあるから、都心に住む人から見れば、かなりの田舎で寒いところと写るかも知れない。新宿の事務所までドアツウドアで約1時間30分の通勤時間だから、田舎と言われても仕方ないか…。
 雪が降ると、たちどころにバスや電車の運休や間引き運転が起きるから、今回は少し早く家を出ようと、革靴からドタ靴に履き替えて、いつもより30分も早く家を出た。案の定停留所は、バス待ちで人が溢れていた。時刻表から見れば、明らかに何本か間引かれている。30分以上待たされて、ようやく新所沢駅に着いてみれば、駅も人で溢れており、階段の途中まで埋まっていた。テレビでも構内放送でも「運休」とは言っていなかったので待つことにしたが、やがて到着した1本目の電車は、各ドア10~15人位が乗れたに過ぎず、しかも「前の電車が詰まっている」との構内放送が繰り返された。ドアを開けたまま10分ぐらい停車してから発車した。
 次の電車が待てど暮らせど来ない。かれこれ1時間ぐらい待たされたであろうか。ホームも超満員で隣の人と触れあうほどであった。自分一人が寒さで震えているのかと思っていたら、触れあうコート越しに隣の人も震えているのを感じた。
 2本目の電車に押し込まれるようにして乗ったが、ギュウギュウの超満員で40年ぶりの経験をさせられた。40年前は丸の内にある事務所に勤めており、池袋から東京駅に向かう地下鉄だった。その当時から超満員が有名で乗車率300%と言われており、今回の比ではなかった。もっと凄かったように記憶している。
 寒さと苛立ちで思考が働かなかったが、事務所に辿り着いてから考えてみれば、ふざけた構内放送であった。間引き運転していながら、何で「前の電車が詰まっている」なんだ。間引きされているのだからスイスイ流れるだろうに…。
 あとで知ったことだが、1~2年前に雪で電車の追突事故が起きたことがあった。そのため、国交省から各鉄道会社に“間引き運転するように!”との通達かお願いがあったようだ。それを口に出せない苦肉の口上が「前の電車が詰まっている」だったということか…。
 テレビで見る限り、各交通機関はおしなべて大パニックになっていたようで、お粗末としか言いようがない。何とかして貰いたいものだ。

古谷 史旺

<15/12/21>皇帝ダリアとの出会い

皇帝ダリアとの出会い

皇帝ダリア1 皇帝ダリア2

 私の通勤は、新所沢駅から西武新宿線を利用して新宿に向かう。所沢で一旦下車し特急に乗り換える。指定席で座るのは2号車の6D窓側と決めている。所沢駅を出て東村山駅に向かう間は、太陽は進行方向の左側にあるので、右側である6Dはカーテンで閉ざされることはない。東村山までは車窓から遙か彼方も見渡せ、ときには富士山がはっきりと大きな姿を見せることもある。今の季節ともなれば、すっぽりと雪に覆われている。
 11月下旬から12月初冬にかけて、車窓から不思議な花を見かける。最初は花とは思わずサザンカか、何かの木だと思っていた。ところが咲き終わると影も形もなくなってしまう。晩秋から初冬にかけて咲く花と言えば菊の花しか思い浮かばない。身の丈が3メートルぐらいで薄青紫色のやや大振りな花を咲かせる。毎年同じ頃に同じ場所で見かける。このヒントを手がかりに草花の本を買い求め、徹底的に調べてみた。
 どうも「皇帝ダリア」らしい。気になると我慢できないのが私の悪い癖で、近隣の大きそうな花屋を歩き回った。歩き回ったと言ってもクルマでだけど…。何件か廻った花屋でようやく巡り会え、苗木を2本買って庭に植えた。
 苗木はスクスクと育ち、夏を迎える頃には背の丈に合わせて葉も横に大きく張り出し、10月中旬には3~4メートル近くに育つ。蕾らしきものは未だ見あたらない。10月下旬から11月上旬になり、ようやく沢山の蕾が先端の方に確認できるようになる。それからたっぷり2週間近く待たされて、一輪、二輪と咲き始める。数えてみると30輪以上ある。
 晩秋から初冬にかけて冷たい風に揺れて咲く姿は、孤高で毅然としており、しかも品に満ち溢れ、正しく「皇帝ダリア」そのものという感じで、見上げる者を感動させる。
 しかし、この「皇帝ダリア」の管理が結構難しい。一昨年は台風でなぎ倒されたし、昨年はたった1回の霜で無惨にも枯れてしまった。
 今年は、一本目は9月の台風並みの風で根元から剥ぎ取られ、二本目は3方から添え木を渡す等して万全を期した。11月中旬になり花が咲き始め、アッという間に満開になった。スマホにもその姿を何枚も納め、私ひとり至極ご満悦であったが、11月下旬のある風雨の強い日に、添え木の上からバギッと折れ、すでに花は萎れてしまっていた。残念無念の一語に尽きる。スマホの写真を添えたので、見てやってください。

古谷 史旺

<15/11/30>下町ロケットとプレミア12

「下町ロケット」最終回とプレミア12 1次ラウンドB組ベネズエラ戦について

 池井戸 潤氏の小説「下町ロケット」が発表されたのは2010年11月24日。それから暫くしてのことだった。知人の弁理士から特許を題材にしており、面白いから読んでみればと勧められた。服部真澄氏の「鷲の驕り」の時もそうであった。勧められるままに読み、感動した記憶が甦った。
 すぐに買い求め、夢中で読み終えての率直な感想は、特許を題材にしてはいるが、“こと特許に関しては余り正確ではないな。”であった。
 しかし、ストーリー全体の構成と展開のムダの無さ、スピードは、まさしく私好みで、素晴らしい感動を与えるものだったが…。そうとは言え、その後、池井戸 潤氏の小説を悉く読み漁ったことからも、心酔した様子が窺い知れよう。  紙面の都合もあり、ここで粗筋を紹介することはしないが、NHKの大河ドラマが終わった後、午後9時からの時間帯、TBSの日曜劇場でドラマ化されることを知り、胸をわくわくさせていた。
 全5回のドラマであるが、初回から土肝を抜かされた。第一に、特許の話しの不正確さは、見事に補正されていた。おそらく監修を専門家に依頼されたのであろう。
 第二に、個性的なキャストの豪華さが群を抜いていた。有名俳優あり、若手女優あり、現役キャスターあり、元県知事あり、落語家あり、芸人ありと、実に多彩な顔ぶれで、しかも嵌り役であったし、彼ら彼女らは役に徹していた。それだけでも観る者を感動させるに十分だった。
 回を重ねるごとに観ることの楽しさが増し、待ち遠しくなったのは私一人ではあるまい。
 いよいよフィナーレの第5回の時、午後9時を迎えチャンネルをTBSに合わせても、「下町ロケット」が始まらない。やっているのは、プレミア12 1次ラウンドB組ベネズエラ戦の野球中継だった。
 15分過ぎにテロップが流れ、9時30分まで野球放送を延長するという内容だった。9時30分が過ぎても「下町ロケット」が始まる気配はない。野球がいつ終わるかも分からない。  それどころか、野球は目が離せないシーソーゲームを展開していた。つい引き込まれて観てしまった。
 最後は劇的な逆転サヨナラ、日本の勝利でケリがついた。時計を見れば午後10時30分を廻っていた。
 興奮を引きずったまま、「下町ロケット」の最終回を観たが、こちらもスンなりとは終わらず、手に汗握る展開の連続で、終わった途端に疲れがドーンと来るほどだった。最近覚えたことのない感動の連続であった。

古谷 史旺

<15/10/23>TPPとは? (その2)

TPPとは? (その2)

〔TPP協定の発効により知的財産権の分野はどう変わるのか?〕
 (1)医薬品の知的財産権保護を強化する制度の導入
 (2)商標
 (3)特許
 (4)オンラインの著作権侵害の防止
 (5)知的財産権保護の権利行使
 (6)著作権
 (7)地理的表示(GI)

(1)医薬品の知的財産権保護を強化する制度の導入
 知的財産権分野の交渉が難航した大きな要因は、新薬のデータ保護期間を巡ってのことだった。最終的には、データ保護期間を「8年間」とすることで決着した。
 正確に示せば、データ保護は5年としたうえで、その後の販売承認などの規制を加えることで、承認までの期間を含めて実質的に8年間保護される。
 大手製薬会社を多数抱えるアメリカが12年を主張したのに対し、オーストラリアをはじめとする新興国は5年以下を主張して交渉が難航した。
 具体的には以下の制度が導入される。
①特許期間延長制度
②新薬のデータ保護期間に係るルールの構築
③特許リンケージ制度(後発医薬品承認時に有効特許を考慮する仕組み)

(2)商標
 商標分野では後述する著作権とルールの厳格化が図られることとなった。
 具体的には以下の制度が導入される。
・商標権の取得の円滑化:国際的な商標の一括出願を規定した標章の国際登録を定めるマドリッド協定議定書又は商標出願手続の国際的な制度調和と簡略化を図るためのシンガポール商標法条約の締結を義務付ける。
・商標の不正使用について、法定損害賠償制度又は追加的損害賠償制度を設ける。

(3)特許
 具体的には以下の制度が導入される。
・特許期間延長制度(出願から5年、審査請求から3年を超過した出願の権利化までに生じた不合理な遅滞につき、特許期間の延長を認める制度)の導入を義務付ける。
・新規性喪失の例外規定(特許出願前に自ら発明を公表した場合等に、公表日から12月以内にその者がした特許出願に係る発明は、その公表で新規性等が否定されないとの規定)の導入を義務付ける。

(4)オンラインの著作権侵害の防止
 具体的には以下の制度が導入される。
・インターネット上の著作権侵害コンテンツの対策のため、権利者からの通報を受けて、プロバイダー事業者が対応することで賠償免責を得る制度を導入する。プロバイダー事業者に著作権侵害防止のためのインセンティブを与える制度を担保する。

(5)知的財産権保護の権利行使
 水際対策の強化といった模倣品対策の制度導入が義務付けられる。
 具体的には以下の制度が導入される。
・WTO・TRIPS協定やACTA(偽造品の取引の防止に関する協定)と同等又は
それを上回る規範を導入する。
(例)
・不正商標商品又は著作権侵害物品の疑義のある、輸入・輸出されようとしている物品、領域を通過する物品について、権限ある当局が職権で差止め等の国境措置を行う権限を付与(ただし,通過物品については,荷宛国への侵害疑義物品情報提供をもって代替が認められる)
・営業秘密の不正取得、商標侵害ラベルやパッケージの使用、映画盗撮に対する刑事罰の義務化
・衛星放送やケーブルテレビの視聴制限暗号を不正に外す機器の製造・販売等への刑事罰及び民事上の救済措置を導入

(6)著作権
 医薬品同様に交渉が難航した。日本でも多くの専門家・学者等が意見を述べてきた。
 今回の合意内容は、「保護期間延長(50年⇒70年)」「非親告罪化」「法廷損害賠償」という、アメリカが主張した提供側の保護強化が図られることとなった。
 具体的には、以下の制度が導入される。
・著作物(映画を含む)、実演又はレコードの保護期間を以下の通りとする。
①自然人の生存期間から計算の場合は、著作者の生存期間及び著作者の死から少なくとも70年とする。
②上記で計算されない場合には、次のいずれかの期間
(i) 当該著作物、実演又はレコードの権利者の許諾から最初の公表年の終わりから少なくとも70年とする。
(ii) 一定期間内に権利者の許諾を得た公表が行われない場合には、当該著作物、実演又はレコードの創作の年の終わりから少なくとも70年とする。
・故意による商業的規模の著作物の違法複製等を非親告罪とする。ただし、市場における原著作物等の収益性に大きな影響を与えない場合はこの限りではない。
・著作権等の侵害について、法定損害賠償制度又は追加的損害賠償制度を設ける。
保護期間の延長は、ディズニー等過去の作品が売れている、アメリカに有利なもの。現在、日本の著作権使用料に関する収支は赤字であり、それの拡大が予想される。
非親告罪化と法廷損害賠償は、提供側の保護強化であり、海賊版等の取締りがより迅速に行われるメリットがある。反面、同人誌などの二次著作物の創作活動が取締りを受ける可能性が懸念される(所謂「コミケ」などが影響を受ける)。なお、「ただし、市場における原著作物等の収益性に大きな影響を与えない場合はこの限りではない」という一定の配慮が盛り込まれたことで、多少は影響が小さくなる見込み。
 また、提供側の保護強化が図られることにより、利用側の効率が下がることにつながり、これまで日本が提供・利用のバランスをとって積み上げてきた、著作権制度が崩れることとなる(中村伊知哉氏)、という指摘もある。
 今後は、国内制度の整備の段階でいかに対応していくかが重要になってくる。
 専門家は、当然、日本でも大幅な権利強化のマイナス面を抑えるため、フェアユース導入や二次創作法制、CC・同人マークなどのパブリックライセンスの普及、権利情報データベース整備、孤児作品対策ほか、思い切った抜本対策が求められるだろう(福井健策氏)、と見解を示しており、日本の著作権制度、ひいては日本の文化の在り方は、大きな転換期を迎えることになるかも知れない。
(7)地理的表示(GI)
 具体的には以下の制度が導入される。
・地理的表示保護・認定の行政手続を定める場合、①過度の負担となる手続を課さず申請等を処理する、②申請等の対象の地理的表示を公開し、異議申立て手続を定める、③地理的表示の保護・認定の取消しについて定める。
〔その他〕
 中小企業
 本協定の「第24章.中小企業」には、「各締約国はTPP協定の本文等を掲載するための自国のウェブサイトを開設し、中小企業のための情報を含めること、(後略)」との記載があり、中小企業へのサポートが盛り込まれている。
 これは中小企業への貿易への参加促進が目的。
 中小企業のための情報には「知的財産権に関する規則及び手続」も含まれている。

古谷 史旺

<15/10/16>TPPとは? (その1)

TPPとは? (その1)

 先ごろ大筋合意が伝えられたTPP交渉が正式に条約として発効するのは、条約を調印してから1年後になる。したがって、現実に影響が出てくるのは2年ぐらい先のことではあるが、余りにも多くの問題を抱えていることから、復習・予習の意味で採り上げることとする。
 そもそもTPPとは、環太平洋地域による経済連携協定(EPA)の略称のことであり、アジア太平洋地域の国々で大きな経済圏を作ろうとする狙いがある。
 関税の撤廃だけでなく、サービス、投資の自由化を進め、さらには、知的財産権、金融サービス、電子商取引、国有企業の規律など、幅広い分野で21世紀型のルールを構築することを目的とする。
 具体的には、(1)冒頭の規定及び一般的定義、(2)物品の貿易、(3)繊維及び繊維製品、(4)原産地規則、(5)税関当局及び貿易円滑化、(6)衛生植物検疫(SPS)措置、(7)貿易の技術的障害(TBT)、(8)貿易上の救済、(9)投資、(10)国境を越えるサービスの貿易、(11)金融サービス、(12)ビジネス関係者の一時的な入国、(13)電気通信、(14)電子商取引、(15)政府調達、(16)競争政策、(17)国有企業(SOE)及び指定独占企業、(18)知的財産(IP)、(19)労働、(20)環境、(21)協力及び能力開発、(22)競争力及びビジネスの円滑化、(23)開発、(24)中小企業、(25)規制の整合性、(26)透明性及び腐敗行為の防止、(27)運用及び制度に関する規定、(28)紛争解決、(29)例外、(30)最終規定の30章において様々なルールが定められた。
 当初、シンガポール、チリ、ニュージーランド、ブルネイの4ヶ国でスタートし、新たにアメリカ(米国)、日本、オーストラリア(豪州)、ベトナム、ペルー、マレーシア、カナダ(2012年11月から参加)、メキシコ(2012年11月から参加)が交渉参加に加わり、現在のところ12ヶ国の加盟が予定されている。
 ところが、“アメリカ(米国)がTPP交渉の主導権を握り、環太平洋地域における覇権を求めている。アメリカ(米国)一辺倒の日本は、国内事情を蔑ろにしてTPPの交渉妥結に動いている。”そのような穿った見方をする意見も多い。
 尚、今のところ中国、韓国、インドネシアは「不参加」を表明している。

 12ヶ国によるTPPが発効すると、次のようになる。
・12ヶ国の経済規模:GDPは、3,100兆円。これは、世界全体の4割を占める。
・12ヶ国の市場規模:人口の合計は8億人。これは、世界全体の1割を占める。

 TPP協定の発効により、日本から参加11ヶ国への輸出額(約19兆円)
の99.9%についての関税が撤廃されることとなり、輸出や国内投資の拡大に大きく貢献することが期待される一方、デメリットも指摘されている。
・海外から安価な商品が流入してデフレを引き起こす可能性がある。
・関税の撤廃により、米国などから安い農作物が流入し、日本の農業に壊滅的な打撃を与える。
・食品添加物・遺伝子組み換え食品・残留農薬などの規制緩和により、食の安全が脅かされる。
・医療保険の自由化・混合診療の解禁により、国民健康保険制度の圧迫や医療格差が広がりかねない。

〔TPP協定の発効により知的財産権の分野はどう変わるのか?〕
 (1)医薬品の知的財産権保護を強化する制度の導入
 (2)商標
 (3)特許
 (4)オンラインの著作権侵害の防止
 (5)知的財産権保護の権利行使
 (6)著作権
 (7)地理的表示(GI)

         以下、(その2へ続く)

古谷 史旺

<15/09/24>軽減税率とマイナンバー制度について

軽減税率とマイナンバー制度について

そもそも軽減税率とは、税制上の何らかの理由で、一般に課される標準的な税率よりも、特定のものに限り低く設定される税率のこと。日本では、2017年4月に一般消費税の税率が8%から10%に引き上げられる予定であり、低所得者層の負担軽減などの観点から、食料品などの生活必需品について軽減税率を適用することが求められている。
また、マイナンバー制度とは、国や市町村など複数機関に登録されている個人情報を一元管理する制度で、老若男女を問わず、住民票を有するすべての国民に対し与えられる個人番号で、1人につき1つで、12桁の番号が付される。このマイナンバー制度は2016年1月1日より運用が開始される。
マイナンバーは、社会保障、税、災害対策の3分野で使われる。
〔社会保障〕
・年金資格取得、確認給付
・雇用保険の資格取得や確認給付
・ハローワークでの事務手続
・医療保険給付手続
・福祉での給付、生活保護等
〔税〕
・税務当局に提出する申告書、届け出、調書記載、当局の内部事務
〔災害対策〕
・被災者の生活再建支援金の支給
・被災者台帳の作成事務

2017年4月に、消費税率が現行の8%から10%に引き上げられる。国民にとってダメージが大きい飲食料品(酒を除く)に対しては、8%に据え置きの軽減税率が適用される。この軽減税率に、国民全員に割り振るマイナンバー制度を活用する財務省案が、急浮上し侃々諤々の大騒ぎになっている。
その仕組みはこうだ。消費者が飲食料品を買い物するときに、スーパーやコンビニ等の小売店にマイナンバーカードを提示しなければならない。
同じ店に同じ日に何度行こうが、行く度にマイナンバーカードを提示しなければ還付金の特典は受けられない。
小売店は店に備え付けの照合機を通じて還付金額などの買い物情報を記録する。すべての買い物情報は国に集まり、国が確定申告か年末調整のときに還付金として、登録した金融機関に振り込む。年間の還付金額の上限は4,000円とする。マイナンバーカードの提示を忘れて買い物した場合には還付の対象とはならない。
具体的な数字を入れて説明する。消費者が1,000円の飲食料品(酒を除く)を買うと、10%の消費税を含む1,100円を支払うが、そのうちの2%分(軽減後の税率を8%と仮定した場合)に当たる20円が後日還付される。但し、年間の還付金額が4,000円を超える場合には4,000円で打ち止めされる。

1週間ぐらい前の朝のテレビで、財務担当大臣である麻生太郎副総理は、「大変だ、大変だと皆さんおっしゃるが、クレジットカードと同じですよ。」と簡単に言ってのけた。そんな簡単なことだろうか?
第一に、小売店の負担増は計り知れない。先ずレジごとに照合機を備え付けなければならない。その経費増と照合する手間暇は馬鹿にならない。普通でさえ混み合う夕方などはパニックに陥ることになろう。
第二に、マイナンバーカードには、様々な個人情報が入る予定であることから、個人情報の流出に繋がる心配がつきまとう。
第三に、軽減税率の2%分は還付されるというが、年間で4,000円を限度とし、マイナンバーカードを買い物する度に提示しなければ、還付を受けられないとはどういうことか。 4,000円に対する批判が高まれば、いきなり5,000円とするデリカシーの無さは如何なものか。

古谷 史旺

<15/08/20>今さら聞けないが「安保法案」て、なに?

今さら聞けないが「安保法案」て、なに?

安全保障関連法案(安保法案)は、7月16日に衆議院本会議を通過し、参議院に送致され現在に至る。先の衆議院総選挙で自民党は大勝し、単独でも過半数を上回る勢いだったから、衆議院を通過するのは当然と言えば当然であった。しかし、参議院は民主党を含めた野党が過半数を占めることから、60日以内に議決できないかも知れないと言われている。
憲法第59条第2項では、参議院で60日以内に議決できないときは、否決されたものとみなし、衆議院で2/3以上の賛成で再議決された場合には当該法案は成立する、と規定されている。これが俗にいう「60日ルール」である。
自民党は、参議院で一気呵成に「安保法案」を決めようと考えたのであろう。3人の憲法学者を国会に召致し陳述を求めたところ、奇しくも3人揃って「安保法案」の違憲性を主張し、その狙いは見事に打ち砕かれた。
我が国の憲法は、前文で「平和主義」と「国際協調主義」が謳われ、第9条で「一切の戦争および武力の行使を否認している」ことから、「個別的自衛権」はあっても「集団的自衛権」の行使は認められないとするのが通説であり、これまでの政府の一貫した見解であり姿勢であった。
ところが、安倍晋三総理をはじめ、高村自民党副総裁らを含めた自民党関係者は、憲法学者が何と言おうと「そんなことは関係ない。」と、芸人「小島よしお」張りの強硬姿勢を崩していない。
これでは、“二度と戦争の悲劇を繰り返さない”と叫び続けている過去・現在の日本人の大多数の声は一体どうなるのか。“軍部の強い意見に引きずられて戦争に突き進んだ70年前”と少しも変わらないではないか。

話しを本題に戻すが、安保法案とは、「国際平和支援法案」と自衛隊法改正案などの10の法律の改正案を一つにまとめた「平和安全法制整備法案」のことである。
・集団的自衛権を認める
・自衛隊の活動範囲や、使用できる武器を拡大する
・有事の際に自衛隊を派遣するまでの国会議論の時間を短縮する
・在外邦人救出や米艦防護を可能にする
・武器使用基準を緩和する
・上官に反抗した場合の処罰規定を追加する、等が盛り込まれている。

その中で、最も問題にされているのが、憲法で明確に否定されている「集団的自衛権」の行使を、行使可能とする法律を作ろうとしていることである。
「個別的自衛権」とは、外国からの違法な侵害に対して自国を防衛するために緊急の必要がある場合、それに武力をもって反撃する国際法上に権利を意味する。この権利までをも否定する憲法学者は聞かない。
これに対し「集団的自衛権」とは、自国と密接な関係にある他の国家が武力攻撃を受けた場合、その国を支援し共同で防衛に当たる権利を意味する。

日本を取り巻く国際環境は一段と厳しさを増しており、傍若無人な振る舞いを繰り返す中国、韓国の行動に激しい憤りを覚える、私も一人ではあるが、だからといって、憲法の解釈をねじ曲げ、「集団的自衛権」も容認されていると言えるとは思わない。
ねじ曲げ、曲解が罷り通るようであれば、“軍部の強い意見に引きずられて戦争に突き進んだ70年前”と少しも変わらない。
安保法案をゴリ押しする前に、“真正面から憲法改正を国民に問う!”ことが、本筋に思えてならない。

古谷 史旺

<15/07/22>巣箱の観察(シジュウカラ)について

巣箱の観察(シジュウカラ)について

我が家の庭には、8~9メートルの高さになる山桃の木と、6~7メートルのモッコクの木がある。山桃の木は30年ぐらい前に購入したが、一度も実を付けたことがない。山桃の木は雄木と雌木があり、雌木でないと実を付けない。銀杏の木と同じだ。購入した時には実が成っていたと植木屋に言われたから騙された感じだ。
10年ぐらい前に自宅から車で15分ぐらいの造園業者を訪ね、実を付けているのを確認してから雌木を購入し植えた。こちらは毎年実を付けて楽しませてくれる。
実の成る樹木は、他に柿の木が2本と木イチゴ科のブラックベリー、ブルーベリー、それにアケビの木、柚の木、がある。
ブラックベリーは甘酸っぱく美味しいが、未だジャムを作るほどの量はないから、放ってある。鳥は余り食べない。ブルーベリーは、実の大きさがヒヨドリの口に合うのか、収穫時になると、いつも先に食べられてしまう。“まあ、それもありか!”って、余り気にしないことにしている。
私は子供の頃から山歩きが好きで、アケビを見つけては取って食べた。食べたと言っても食べるところは殆どなく、皮をペロッと剥いて実を丸ごと口いっぱいに含んで、甘い汁を吸ってペッペッって吐き出すだけ。ただそれでも、山の中でアケビを見つけると歓声を上げて取ったものだ。そんな思い出があるので、なぜか、アケビの木を植えたくて、あっちの植木屋、こっちの植木屋を探して歩いた。しかし、植えて実を成らしても我が家の子供たちや、子供たちの子供ら(私から見れば孫)は、全く興味を示さない。
柚の木は毎年沢山の実を付け処分に困るが、妻の友だちでジャム作りの好きな方がおり、毎年貰ってくれるので助かる。12月冬至のゆず湯は欠かしたことがない。子供たちにも分け与え、有り難迷惑かも知れないが、ゆず湯を半ば強制している。
柿の木の一本は、甘くてすこぶる美味しく、近所の方にも評判が良い。ただ、美味しく感じるのは人に限らず野鳥も同じらしく、メジロ、ヒヨドリは別として、外来種のホンセイインコ、ムクドリなどは、群れで飛来して騒がしく食べ尽くしていく。この柿ばかりは、鳥と人との争奪戦になるが、私の場合は取り尽くすことはせず、鳥の分を必ず残すことにしている。
もう一本の柿の木は、10年前に1メートル弱の苗木を購入したものだ。“桃栗三年柿8年”と言われるとおり、この1~2年、ようやく食べられるような甘みが出てきた。しかし、古くからある柿の木の甘さには到底及ばない。近所の人に差し上げることはできない。
ところで、前置きが長すぎた。山桃の木とモッコクの木には、それぞれ巣箱が取り付けてある。もう、かれこれ20年前からだ。山桃の木の巣箱は、一時期、スズメとシジュウカラとの争奪戦があった。スズメの方が強く、シジュウカラが生み付けた卵を口に挟んで外に投げ捨てたり、生まれたばかりの雛を摘まんで、巣箱の外に投げ捨ててしまうこともあった。しかし、最近はどうやらシジュウカラの住みかに落ち着いたようだ。
今年はモッコクの木に取り付けてある巣箱に入った。初めてのことだ。巣作りして3週間以上経つのに一向に雛の鳴き声がしない。それでも一度だけ餌を運んでいる親鳥の姿を目撃した。
その後、親鳥の姿をパッタリ見なくなったので、子育てに失敗し巣箱から離れたと思っていた。
ところが、それから暫くして、親鳥がセッセと巣箱に餌を運ぶ姿が見られるようになり、また、雛の可愛らしい、か細い何羽かの鳴き声も聞こえるようになった。
観察を再開して何日ぐらい経ったのか忘れたが、ある朝、親鳥のいつもと違う鳴き声と、餌を持ったまま巣箱の廻りを行ったり来たりする様子が見られるようになり、巣立ちを促していることが分かった。
やがて、1羽の雛が顔を覗かせ周りを見ていたが、意を決して勢いよく飛び出した。その後2羽、3羽と続き、6羽もが巣立って行ったので驚いた。
「日本の野鳥図鑑」によれば、これぐらいの数は普通らしいが、我が家では初めてのこと、甚く感動した。感動ついでにもう一つ、シジュウカラとコガラそしてヒガラは、似たような柄模様で、正直私の目では区別できない。しかも習性が抱卵は雌だけが行い、卵も4~6個ぐらい生むと書かれている。もっと観察眼を磨き、ハッキリ区別できるようになりたいと思っている。

古谷 史旺

<15/07/08>ウォシュレットについて

ウォシュレットについて

誠に恥ずかしながら、「ウォシュレット」がTOTOの登録商標であることを全く意識していなかった。普通名称ないしは慣用商標とばかり思っていた。
今頃になって何故意識したかと言うと、「ウォシュレット」を題材にしたブログを書こうと、情報を得るために検索キーを叩いたからだ。
1964年というから約50年前ことであるが、当時の東洋陶器(現:TOTO)が米国から温水洗浄便座「ウォシュエアシート」を輸入し販売を開始したことに端を発しているようだ。東陶機器は1980年に「ウォシュレット」を商標登録出願し、1984年3月に商標登録を得ている。
私は30才代の頃から温水洗浄便座には殊の外関心が高い。この温水洗浄便座に、いつ、どこで、初めて出会ったのか思い出せないが、凄く感動したことだけは鮮明に覚えている。
温水洗浄便座は、日本の文化に合うのか、日本人の清潔好きな性格に合うのか分からないが、あっという間に広まり、今ではホテル、デパートは言うに及ばずコンビニ、スーパー、駅でさえ備えている。しかし、駅に関して言うと、備えているのは私鉄駅に限り、JRの山手線管内の駅、新幹線の構内では全く備えられていない。羽田、成田等のターミナル空港では殆どの処が温水洗浄便座を備えている。空港に次いで外国人が多く出入りする国鉄等の駅構内が未整備なのは如何なものか。JRはこういった点での気配りが足りない。
トイレットペーパーの消費量と金額、定期的な紙補充等の労賃を考えれば、十分に対費用効果はあるはず。何よりも、この温水洗浄便座は清潔感に溢れている。
私が外国行きを好まないのは、単に飛行機が嫌いなだけでなく、温水洗浄便座が殆ど普及していないことも起因している。外国のホテルは、浴室と便器が隣り合わせで付いているので、止むを得ず下半身裸になり、ハンドシャワーで済ませることになる。ところが、外国によっては、このハンドシャワーすらないところがあるから閉口する。“やっぱり日本が良いや!”である。
この温水洗浄便座を歴史的に見れば、上述したように米国からの輸入品であったというから驚きだ。外国で普及して来なかった理由は不明だが、冗談ではあるが、日本人のように、清潔好きではないのかも知れない。
ところが、最近、中国、韓国から訪れる観光客の爆買いが温水洗浄便座にまで及んでいると報じられている。
この温水洗浄便座を取り付けるには、先ずは電源コンセントが近くになければならない。次に当然のことではあるが、水洗トイレでなければならない。
まあ、いずれにせよ、外国で発祥した製品が日本で技術革新が進み、世界に逆輸出されているのであるから、純粋に拍手喝采したい。

古谷 史旺

<15/06/17>弁理士の使命について

弁理士の使命について

平成26年4月25日(2014)、「弁理士法の一部改正」が国会で成立した。
特筆すべきことは、日本弁理士会の永年の願いであった「使命条項」が、弁理士法第1条に創設されたことである。
内閣法制局の知人に言わせれば、法律の第1条を変更することは、憲法を改正するぐらいに難しく、重いこと、だそうだ。

*旧弁理士法 第1条(弁理士法の目的)
“この法律は、弁理士の制度を定め、その業務の適正を図ることにより、工業所有権の適正な保護及び利用の促進等に寄与し、もって経済及び産業の発展に資することを目的とする。”
*新弁理士法 第1条(弁理士の使命)
“弁理士は、知的財産に関する専門家として、知的財産権の適正な保護及び利用の促進、その他の知的財産に係る制度の適正な運用に寄与し、もって経済及び産業の発展に資することを使命とする。”

その中で「知的財産」とは、(平成14年法律第122号)第2条第1項
『知的財産基本法』で規定する用語、および「知的財産権」とは、同法第2条
第2項で規定する用語と、それぞれ同義であることが明記された。
〔知的財産基本法〕
第2条 第1項
この法律で、「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他の事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう。
同条 第2項
この法律で、「知的財産権」とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権、その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう。

この「使命条項」の奥行きの深さと広がりを我がものとできるか否かは、1万人弁理士の一人ひとりの研鑽と実績にかかっている。
これらが弁理士法第4条の業務に取り込められるよう一層の精進が期待される。

古谷 史旺

<15/06/10>弁理士の徽章(バッジ)について

弁理士の徽章(バッジ)について

弁理士の徽章(バッジ)は、今から遡ること81年前の、昭和9年(1934)に弁理士会の臨時総会で議決され、昭和13年(1938)から使用している。
徽章の縁取りに使われている菊花は16枚、これは皇室の菊花紋章の数と同数。菊は「正義」を表し、中央の五三桐は「国家の繁栄」を表す由緒あるもの。
当時、内務省令で、皇室と同一又は類似の紋章その他の使用は禁止されていたが、弁理士の徽章は、弁理士の果たすべき使命に鑑み、特に認められたとの記述が残っている。
私が知る限りでは、弁護士は、10人中8人が弁護士バッジを着用しているが、それに対し、弁理士は、弁理士バッジの着用者が10人中2人に過ぎない。
この差は、一体、何故であろうか? 弁理士には、弁理士としての「使命」と「職責」、そして何よりも「誇り」が欠落しているのではないか?
(会令第10号)『弁理士記章及び略称規則』第2条には「弁理士である会員は、弁理士の業務を行う場合には、この記章を着用しなければならない。」規定されている。
弁理士徽章を着用していると、二つの効果がある。
一つには、弁理士であることを常に意識させ、行動にブレーキ(自制)が掛かる、ということ。
二つには、弁理士としての「使命」と「職責」、そして何よりも「誇り」をもった行動が取れるようになる、ということ。
弁理士徽章(バッチ)を常に着用して欲しいものだ。

古谷 史旺

<15/05/14>弁理士の皆様へ 会長退任のご挨拶とお礼

弁理士の皆様へ
会長退任のご挨拶とお礼

次年度会務検討委員会の時からを含めると2ヶ年半、この3月31日で日本弁理士会の会長を任期満了により退任いたしました。
約10年の歳月と3回の会長選挙を経て日本弁理士会の会長に就任させていただけたのも、皆様のご支持とご協力があってのことであり、深く感謝申し上げます。
任期を終えて頭を過ぎるのは、し残した仕事のことばかりです。弁理士手数料の値上げ交渉は、個々では太刀打ちできません。日本弁理士会が前面に立って行動すべきです。そのためには、先ずは“弁理士の存在価値を高める”必要があります。実務未経験者の底上げとトップランナーの更なるスキルアップ、また、企業に勤務される方々の企業における存在価値を高めることです。
産業界、政界、官界を巻き込んだ交渉は、その後に行うことと方針を固め、事業計画を進めてきました。事務所競争力ワーキンググループを立ち上げ、弁理士のコア業務、中でも特許出願にかかる明細書作成にどれ程のコストが掛かっているかを分析していただきました。予想どおり依頼者が支払う料金との乖離が著しく、利益が全く出ていない数字が示されました。交渉はこれからです。
道半ばというよりも緒に付けたところで時間切れになりました。私の見通しの甘さを悔いています。
規律の見直しも、目に余る広告はインターネット上から一網打尽にしました。しかし、事務所名称の問題は、新規届け出に関しては、現在の会則及び会令を遵守させる運用の見直しで対応できましたが、400を超える既存の事務所の取り扱いで会員の合意が形成できず、頓挫してしまいました。
とはいえ、やり遂げた仕事も紹介させてください。
先ず何と言っても大きなことは、特許庁が決めかかっていた試験制度の「口述試験廃止」を阻止したことです。
次は、様々な困難を乗り越え、実現するまでに59年の歳月を要した「使命条項」が弁理士法第1条に創設されたことです(平成27年4月1日施行)。
特筆すべきは、「工業所有権」から「知的財産権」に変わったことと、そこで規定される「知的財産」、「知的財産権」が、平成14年に成立した「知的財産基本法」第2条第1項及び第2項と同義と明記されたことです。
我々がこれからしなければならないことは、使命条項に規定される「育成者権」、「著作権」、その他の営業上及び技術上の権利若しくは利益を、弁理士法第4条に取り込むための研鑽と実績づくりです。
更に触れておきたいのは、「職務発明」の法人帰属問題です。私が会長に就任する前から引きずっていました。自民党の知的財産戦略調査会の席上で、経団連、知財協からは法人帰属の大合唱でした。弁理士会内でも様々な意見が錯綜していることは承知していましたが、会長に就任してから弁理士会の考えを求められ、『法人帰属を我が国の経済界及び産業界が望み、それが社会の趨勢であるならば、敢えて反対はしない。ただ、経済的に弱い立場の発明者が見捨てられることのないようバランスの取れた職務発明制度の再構築をお願いしたい。』ことを訴えました。この考えは現在に至るまで終始一貫変わっておりません。
去る3月13日に閣議決定された特許法の一部改正案(職務発明制度の改正)は、特許庁が言うように、概ね弁理士会主張の通りになっています。
また、使命条項の創設を機に、「弁理士白書」を刊行させていただきました。これは副会長が担当し強力に推進した成果ですが、産業構造審議会 弁理士制度小委員会や外部意見聴取会でも採り上げられ、お褒めの言葉をいただきました。
さらにまた、組織改革特別委員会から答申していただいた「組織改革の方向性について」は、3月18日の臨時総会で承認していただきましたので、具体的な議論に集中できる素地が整いました。
些末なことかも知れませんが、執行役員に対して特許庁の入門証を発行していただいたこと、また、一般会員に対しても手続きの簡略化を図っていただいたことも自慢させて下さい。
もう一つだけ言わせて下さい。弁理士会館は竣工して25年の歳月が流れました。その間一度も改装工事をしておりません。地下の洗面所は水漏れが放置されたままでした。天井、床、壁の汚れ、痛みも酷く、ずっと気に掛かっていました。約1800万円の支出を総会で認めていただいて、パーテーションの一式交換、弁理士会の所有階である地下、1階から3階まで、すべての壁、天井、床の内装工事を決断し実行しました。弁理士会館に出向かれた折に、是非見てやって下さい。綺麗になりましたよ。

最後に、改めて2年間のご支持とご協力に、
心から感謝申し上げます。
ありがとうございました。

古谷 史旺

<15/04/07>特許法等の一部改正案(職務発明)と不正競争防止法の一部改正案(営業秘密)の早期国会成立を望む!

特許法等の一部改正案(職務発明)と不正競争防止法の一部改正案(営業秘密)の早期国会成立を望む!

去る3月13日に標記の件が閣議決定された。特許法の一部改正案では特許料金等の一部引き下げもあるが、目玉は何と言っても特許法第35条の「職務発明」規定の見直しであろう。
“特許を受ける権利は原始的に発明者に帰属する”というのが、我が国の特許法の考えであり、職務発明制度においても然りである。英国その他の国が採用する“法人帰属”の考えは採用していない。
自民党政権になった3年前から、自民党の公式会議で経済界と産業界から“法人帰属”の大合唱が始まった。余りにも有名ではあるが、中村修二氏の「青色発光ダイオード」の高額訴訟に端を発し、その後、高額な発明者訴訟が相次いで起こったことに起因している。
発明が商品化されるまでの間、発明者が属する企業のあらゆる部署が関わりを持ち、協力した成果であるから、発明者のみが高額補償を受けるべきことではない、というのが経済界、産業界の言い分のようである。
私の考えは次のとおりである。
「職務発明に関し、法人帰属が経済界、産業界の要望であり、それが今や社会的要請と言えるなら、この期に及んでの反対はしない。ただ、企業と対等とは言えない経済的に弱い立場の発明者が不利に扱われ、発明意欲を減ずることのないようバランスの取れた職務発明制度の再構築を願いたい。それを行うのが政治の使命である。」
今回の職務発明制度の見直しは、概ね私が主張するとおりとなった。

不正競争防止法の一部改正案は、端的に言えば営業秘密に関する処罰範囲の整備と罰則強化である。私は現状の乱れた状態を思えば、法案に賛成である。
主な項目を挙げれば次のとおりである。
(1)日本企業が国内で管理し、海外で保管する情報の取得・領得行為も刑事罰の対象とすること。(2)サイバー攻撃などによる「営業秘密」の窃取や転売などの未遂行為を刑事罰の対象とすること。(3)転々流通する「営業秘密」について、不正に取得されたことを知って取得した者による使用、転売等を刑事罰の対象とすること。(4)「営業秘密」を侵害して生産された物品を譲渡・輸出入等する行為を、刑事罰の対象とすること。(5)抑止力向上のため、罰金刑を引き上げること。(6)「営業秘密」侵害罪を非親告罪とすること、等々。

古谷 史旺

<15/03/16>東日本大震災の復興に力を注げ!

東日本大震災の復興に力を注げ!

安倍晋三首相は、2月28日に福島県を訪れ、訪日した英王室のウィリアム王子と一緒に、東日本大震災の被災地を視察した。震災発生から4年に当たり、復興を世界にアピールする狙いがあったらしいが、現地を視察すれば分かるとおり、未だ復興とは程遠い状況にある。
しかも、復興予算の何十兆円もが手付かずで残っているというから驚きだ。確固たる信念を持った指導者がいないため、計画すら完成していない処が多いようだ。このような大災害の復興は、政治主導でやらない限り、甲論乙駁して意見が纏まるわけがない。
安倍首相は、漸くそのことに気づき、震災復興を本格化するため、関係機関に計画の練り直しを指示したことが報じられている。
歴代の首相よりも圧倒的に多く外遊し、日本をアピールすることも必要だが、4年前の震災で苦しんでいる日本人が沢山いることに、もっと早くに目を向けるべきだ。やるべきことは“外(外国)より内(日本)だろう、そして、やるなら今だろう!”と言いたい。
安倍首相は、1月下旬に中東を歴訪したが、出発前の1月はじめにフランスで週刊誌銃撃テロ事件が起きた。外務省内からは自粛の声が上がったが、強行して総額25億ドル(約3000億円)の支援を行った。
イスラエル国(ISIL)と戦う周辺国へ2億ドルの支援を打ち出したが、非軍事の人道支援とは説明しなかったらしい。その後の人質殺害は報道されているとおりだ。“人の命は地球より重い”と言った日本の首相がいたが、安倍首相は俺なら何とかしてみせると思っていたのだろうか?
安倍首相の独断と偏見による行動は最近目に余るが、選挙で3連勝の大勝ちした首相に対し諫言できる者は、近くに誰もいないようだ。
安倍首相が震災復興を本格化するため、関係機関に計画の練り直しを指示したのであれば、限りなく早く結論を出して前に進めてもらいたい。原発の問題もしかりだ。責任は東電にあるのかも知れないが、強力な政治主導でいずれかの道を決めて邁進してもらいたい。
今、日本は、円安ドル高の恩恵を受けた一部企業の勝ち組と、円安に喘ぎ、勝ち組になりきれない多くの中小企業がいる。この現実を安倍首相は直視してもらいたい。アベノミクス第3の矢、成長戦略は国民の多くには未だ見えていない。

古谷 史旺

<15/01/05>「はっとするニュースより」

「はっとするニュースより」

 確か2014年12月中旬の毎日新聞の朝刊であった。経済協力開発機構(OECD)による報告書「所得格差と経済成長」に関する中村秀明論説副委員長の論説に目が止まった。
 曰く『加盟する先進34カ国で、格差がどのくらい拡大し、それが経済成長にどう影響したかを分析・推計した。
 1980年代に上位1割の金持ち層は最下層1割の人々の平均7倍の所得を得ていたが、2011年には9.5倍に拡大した。国別では、北欧などは低くデンマークは5.3倍。一方で英国は9.6倍で米国は16.5倍だった。最もひどいのはメキシコの30倍である。日本は10年の数値で10.7倍となっている。
 格差の拡大は、経済成長にどう作用したのだろう。報告書は、90~10年の成長率について、米国では格差が拡大しなかった場合に比べると累積6.7%落ち込み、英国は9%近く、メキシコは10%低下したと推計した。日本では成長率を6%押し下げたとみている。
 格差が成長の足かせになる。なぜなら、貧しくて質の高い教育を受けられない人たちは、知識や技能を身につけられず、働いても生み出す成果が小さいからだ。それで国全体の経済力も頭打ちとなる。日本の発展が、明治以降の教育の普及に支えられたことを思えばわかりやすい。
 それは発展途上の国だけでなく、成熟した国にも言えることだという。
日本や欧米では「自由な競争こそが経済に活力を生み成長をもたらす」という考えが強い。だが、報告書が言いたいのは違う。「不平等の解消を目指す政策は社会をより豊かにする可能性を持つ」「教育への投資が成長戦略になり得る」という発想の転換である。
そして、その政策に必要な財源は金持ち層への税率引き上げで賄えばいい、と単純明快だ。「富裕層の税負担能力は以前より高まっている」と分析する。
 確かに成長の果実はいずれ金持ち層にも及び、持ち出す一方ではない。課税強化も成長の妨げにはならないのだ。貧しい層への配慮が富裕層にも見返りとなってもたらされる「逆トリクルダウン」効果である。
 社会の分断や世代の対立などを超え、新たな視界が広がった気になるのは単純すぎるだろうか。少なくとも、私はこの報告書に大きな希望を感じた。』と結んでいる。

 この論説を読んで、正に我が意を得たりであった。我が国は、極端な円安により大企業のみが恩恵を受け、99%を超える中小企業は、むしろ原材料の高騰などにより経営基盤が圧迫されている。中小企業に活力を与えない限り我が国の経済・産業の再生はない、と断じていた政府の掛け声は一体どこに消えたのか。大企業の好調が確保されれば経済全体が押し上がるとでも考えているのか。
貧富の格差が拡大しているこの現象を解消しない限り、真の経済成長はない。貧富の格差拡大をどうやって防ぎ、確かな成長へ導くかは政治の責任だ。富裕層への税負担を求めるだけではなく、アベノミクス第3の矢をハッキリと示す政策を打ち出すべき。この第3の矢が曖昧だから右肩上がりの成長に繋がらない、と私は思う。

古谷 史旺

<14/09/29>第51回パテント杯争奪野球大会の決勝戦を観戦してみて!

第51回パテント杯争奪野球大会の決勝戦を観戦してみて!

 パテント杯争奪野球大会は、特許庁と弁理士会とで開催する軟式野球であるが、実に第51回を数える伝統行事の一つである。
 弁理士会の会長は、始球式と閉会式に参列する習わしになっており、本来であれば私が出向くところ、拠ん所ない事情で初めて閉会式に参列した。
 ときは9月20日(土)、ところは三郷市の河川敷にあるサンケイスポーツセンターの第14面。あいにくの曇り空で、やや肌寒い天候であった。
 私自身、“巨人、大鵬、卵焼き”で育った野球好き少年であったが、グラウンドへ出向いたのは45年ぶりのことである。
 私の出番は、午後3時からの閉会式でのスピーチであったから、2時30分までに行けば良かったが、どうせ行くなら、リーグ戦で勝ち残った決勝戦の試合を観戦したいと思い、早めに出かけた。
 到着した時には、既に息詰まる攻防が始まっていた。ELECTROS(特許庁第4部)と三好ポインターズ(三好特許)との対戦であったが、聞けば両者とも強者で、決勝戦の常連とのこと。
0対0で迎えた3回の裏、ELECTROS(特許庁第4部)の先頭打者がライトの頭上を越える3塁打を放ち、続く打者で1点を先取した。
 三好ポインターズ(三好特許)の先発投手は、ややコントロールが乱れており、ELECTROS(特許庁第4部)に押され気味だった。しかし、それでも1点以降は踏ん張りを見せて0点で抑えていた。
 ELECTROS(特許庁第4部)の投手は、小柄ながら身体をいっぱいに使った投球で、スピードも乗り、制球力も抜群で、とても打てそうにない感じだった。
 7回の表に三好ポインターズ(三好特許)が四球と単打で待望の1点を取り、ようやくイーブンに戻したところであった。
 私は、来賓でもあり、一方の味方は差し控えるべきものと思っていたが、廻りの者に聞くと、弁理士会の会長なんだから、弁理士会を応援するのは当然でしょ、と言われたのを良いことに、8回の表が始まる前にすっ飛んでいき、選手に円陣を組ませ、「エイ、エイオーッ、」と気合いを入れてきた。
 あれほど安定感抜群でスピードもあったELECTROS(特許庁第4部)の先発投手が、突如に乱れ始め、あれよあれよという間に4連続四球を与えて1点を献上してしまった。
 今にして思えば、決勝戦までは7回がエンドで、初めての8回以降であることから、あと2回と、知らず知らずのうちに力みが入ったのかも知れない。
 しかし、その後が圧巻であった。3者連続でピッチャーゴロとピッチャーフライで仕留めてしまった。
 試合は、三好ポインターズ(三好特許)の2番手で登場した投手が、スピード、制球力ともに抜群で、ヒットを許さなかったため、三好ポインターズ(三好特許)の逆転勝利となった。試合終了後、ELECTROS(特許庁第4部)の投手は、責任と悔しさで泣き崩れていた。
 私が感動したのは、4連続四球を与えて1点を献上した後、3者連続でピッチャーゴロとピッチャーフライで仕留めた彼のド根性であった。素晴らしいシーンを見せて貰った。
 そのことは、閉会式のスピ-チでも触れさせて頂いた。

古谷 史旺

<14/08/18>メタンハイドレートの掘削技術開発を加速させよ!

メタンハイドレートの掘削技術開発を加速させよ!

 福島第二原子力発電の事故後、当時の菅直人政権は、太陽光パネルや風力発電等を原発に頼らない代替えエネルギー源とすることを推奨した。
 ドイツでは事故後、原発を停止し、新たな代替えエネルギー源として、太陽光パネル発電を採用した。ところが、太陽光発電は広い敷地を必要とする割に効率の悪さが分かり、対策に苦慮している。不足する電力は、フランスの原発で発電した電力を購入している。
 デンマークでは、北海に多数の風力発電装置を設置したが、風力発電の欠点である低周波数騒音に悩まされている。電力の不足分は、隣のスエーデンから原発で発電した電力を輸入している。いずれも安直な考えでは対応できないことを物語っている。
 ところで、日本を始め多くの国や国際機関が、世界中の海底にメタンハイドレートが広く分布し、将来のエネルギー源になると認識し始めている。
 日本の太平洋側、日本海側には百年分の消費に相当する量のメタンハイドレートが眠っている。原発停止後、日本は1年当たり20兆円~30兆円のエネルギー源を輸入している。このペースで行けば、100年間で2,000兆円~3,000兆円が失われる計算になる〔(20兆円~30兆円)×100年〕。
 昨年3月、経産省が東大と愛知県沖で2週間の予定でメタンハイドレートの掘削を行い、試験船から燃焼するメタンの炎が確認されている。
 しかし、太平洋側に分布するメタンハイドレートは海底下700m程度の砂層内に砂混じりの状態で存在し、砂を分離する技術がないと、メタンハイドレートを引き上げる段階で砂によってモーターやポンプが機能しなくなる。廉価な掘削技術の開発が待たれるところである。一方、日本海側には、海面上や海面下100mの地点でメタンハイドレートが分布している。例えば、青山千春博士の手法では、魚群探知機を利用して見つけることができ、極めて安価に掘削できる。青山千春博士は、その技術を日本、米国、韓国、EPCで特許権を取得している。
 太平洋側に分布するメタンハイドレートの掘削にせよ、日本海側のメタンハイドレートの掘削にせよ、国家的なプロジェクトで取り組まない限り早期の実用化は覚束ない。
 先頃発表されたアベノミクスの第3の矢は、理念が先行し具体的な内容がイマイチ見えない。メタンハイドレートの掘削技術開発を国家的なプロジェクトで推進したならば、第3の矢になり得るし、開発された技術を世界で利用することもでき、日本の経済及び産業に与えるインパクトは計り知れないものとなろう。

古谷 史旺

<14/07/15>国会での法案審議の在り方について

国会での法案審議の在り方について

 行政書士会が要望し法制化を目指す「行政不服申し立て代理権」は、平成25年秋の臨時国会でも法案上程の動きがあり、これに対しては、他の資格団体が挙って反対の動きを示して流れた経緯がある。行政書士会は今時の国会でも上程の動きを示したことから、弁護士会、司法書士会、土地家屋調査士会、弁理士会、社会保険労務士会が「行政書士法改正に反対する意見」を連盟で作成し、国会議員を初めとする関係機関に反対を働き掛けた。
 ところが、去る6月12日に衆議院の「総務委員会」が開催され、「行政書士法の一部を改正する法律案起草」が、自民党、民主党・無所属、日本維新の会、公明党、みんなの党、五派共同提案による動議で提出され、動議が採用されて「趣旨説明」が行われた後、委員会提出の法律案とすることが「決定」され、「採決」により全会一致で同法案は「可決」され、翌6月13日の衆議院本会議でも「可決」した。
 そして、議案は直ちに参議院に送付され、6月19日午前10時から参議院「総務委員会」が開催され、「放送法」の審議が終了し委員会が終わる直前に「行政書士法の一部を改正する法律案(衆第39号)」が委員長提案で上程され、「趣旨説明」を行い、その後「質疑なし」「意見なし」で、直ちに「採決」に入り、全会一致で「可決」された。翌6月20日の参議院本会議でも「可決」され、法律として「成立」した。
 少なくとも本件に対する法案成立に至る国会審議の過程を、公表されている議事録を読み、委員会・本会議を傍聴した関係者の意見を聞く限り、関係する士業団体が挙って反対していることも承知の上で、十分な審議を経ることなく採決が行われ、法案を通過させたことに不審の念を禁じ得ない。
 立法を司る国会を構成する国会議員が、一方の意見を聞くだけで、而も十分な審議を経ることなく、闇雲に突っ走ることに強い憤りを感じるし、国会議員としての資質の低さを嘆かずにはいられない。

古谷 史旺

<14/05/20>弁理士法の一部改正が成立!

弁理士法の一部改正が成立

 標記の法案は、衆議院がたて込んでいた関係で参議院先議となり、去る4月1日に経済産業委員会で審議され、2日後に参議院本会議を通過した。その後直ちに衆議院に送られたが、衆議院の経済産業委員会は、審議に2週間ほど要する重たい法案、即ち、原子力関連法案と電気事業関連法案が予定されており、特許法、意匠法、商標法、そして弁理士法を束ねた各一部改正法案の審議入りは、5月下旬か6月上旬になると関係筋から聞かされていた。今国会の会期末が6月20日と定められていることから、折角の法案が流れてしまう虞もあり、痛く心配した。

衆議院の経済産業委員会の有力議員は、ここでお名前を出すことは差し控えるが、私の事務所近くの弁理士と同県人で親しい間柄にあったことから、私も弁政連会長時代は、欠かさずセミナーに参加させて頂いた。
その弁理士の口添えも得て、その有力議員に接触し法案審議を早めて頂くよう懇請した。他の有力議員への接触も、与野党を含めて悔いの残らぬ範囲でさせて頂き、法案審議を早めて頂く運動をした。
その甲斐があってか、日本弁理士会の会務出張で大阪から東京に帰る新幹線の中で、その有力議員から直接電話を頂き、重要法案の前に入れることを決定したことを聞かされた。4月23日に経済産業委員会、4月25日に衆議院本会議、それぞれ満場一致で束ね法案は国会を通過した。
現行弁理士法第1条は、「この法律は、弁理士の制度を定め、その業務の適性を図ることにより、工業所有権制度の適正な保護及び利用の促進等に寄与し、…(以下、略)」と法の目的が書かれ、しかも「工業所有権」という極めて狭い範囲で括られ、「使命」に関しては一切触れられていない。
同法第56条第2項で、「弁理士会は、弁理士の使命及び職責にかんがみ、…(以下、略)」と記載はされているが、「使命」の何たるかは示されていない。 日本弁理士会では、西暦で言えば1957年以来、一貫して弁理士法に「使命条項」を入れる運動をして来た。
57年目にして初めて導入された新弁理士法第1条(弁理士の使命)は、『弁理士は、知的財産に関する専門家として、知的財産権の適正な保護及び利用の促進その他の知的財産に係る制度の適正な運用に寄与し、もって、経済及び産業の発展に資することを使命とする。』と規定された。
その中で使われた「知的財産」及び「知的財産権」とは、平成14年12月4日に公布された「知的財産基本法」第2条で規定する用語と同義であることが明記された。
このことにより、弁理士が向かうべき方向が明確になり、今まで以上に社会的責任の重さを自覚した行動が求められる。

古谷 史旺

<14/04/08>STAP細胞に関する騒動について

STAP細胞に関する騒動について

 小保方晴子さんは、日本の細胞生物学者であり、理化学研究所の発生・再生科学総合研究センター研究ユニットリーダー。弱冠30歳の小保方さんが5年の歳月を経て開発に漕ぎ着けた“外から刺激を加えることにより、体細胞をすべての生体組織と胎盤組織に分化できる多能性を持った細胞(STAP細胞)に初期化する方法を、14人の共同研究者と世界で初めて開発した。”とするニュースは、一時期、日本中を感動の渦に巻き込んだ。

そして、それから僅か2ヶ月の間に、論文の改ざん・捏造の疑いから、共同研究者の著名な一人から論文の取り下げが勧告された。また、理化学研究所は、記者会見で小保方論文に改ざん・捏造があったことを認定した。共同研究者の中には、取り下げに同意した方もいたが、拒否した方もいた。
理化学研究所は、調査委員会を発足させて、1年をかけて論文の正否を検証するという。

第三者の私がとやかく言うのは避けるべきかも知れないが、理化学研究所のバックアップのもと、しかも共同研究者が同席した大々的な記者会見。14人もの共同研究者がおりながら肝心の論文を読んでいないと言う。そんなことがあり得るのかとの素朴な疑問。共同研究者とは名ばかりのものなのか、それが罷り通る世界だとすれば、世間の常識からは随分と違うなとの印象。巷言われているような改ざん・捏造があったとしたら、小保方さんは当然のことながら、共同研究者と理化学研究所も含めたすべての関係者の共同責任であるべきで、何故、小保方さん一人が責めを負うのかの義憤。さらには、個人の名誉を著しく毀損する“改ざん・捏造”という極めて重い言葉が、余りにも安易に使われる無神経さに、些かの腹立たしさを覚えているのは、私一人ではあるまい。

古谷 史旺

<14/01/28>音・香り・動きなどに関する商標法改正の動き

音・香り・動きなどに関する商標法改正の動き

 特許庁は、環太平洋協定(TPP)や日中韓自由貿易協定(FTA)の動きに合わせて商標法を改正し、音・香り・動き・ホログラムなどを商標権の対象とすることを決定した。改正法案を平成26年開催の通常国会に提出する予定と聞いている。
日本の商標法は、第2条第1項で、この法律で商標とは「文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合であって、業として商品又は役務について使用するものをいう。」と定義している。
その定義からは、上記の音・香り・動き・ホログラム(立体画像)などの新しい概念を導き出すことはできないと考えられるが、果たして何処をどの様に改正するのか注目したい。
音・香り・動き・ホログラム(立体画像)なども企業ブランドになり得ることは、テレビ、街頭などの動画コマーシャルを見れば明らかであり、商標権の対象となれば、これらの模倣、ただ乗りを確実に排除する抑止力となる。
商標権の対象にすべしとの産業界のニーズは82%に達しており、実際に使用している例も、音の商標63%を筆頭に、位置商標62%、ホログラム(立体画像)商標58%、動く商標55%、香り25%、味、味覚の商標20%となっている。
アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどの先進国は、既に保護が確立されているが、審査をどのようにするか、管理をどのようにするかなど、解決すべき課題は意外と多い。
IPS細胞の開発など、従前の発明の定義では保護できないものも出てきている。今回の音・香り・動き・ホログラム(立体画像)などの新しい概念も然りである。
特許庁は、“世界最速で最高品質の特許審査体制の確立”を目指しているようであるが、そうであるならば、発明(特許法)の定義、考案(実用新案法)の定義、創作(意匠法)の定義、商標(商標法)の定義もシッカリと見直し、改正することが肝要ではなかろうか。
そうすれば、日本への特許出願等の申請が確実に増え、知財立国日本の再生が果たせることになる。

古谷 史旺

<13/11/26>遅きに失した婚外子差別撤廃法案について

遅きに失した婚外子差別撤廃法案について

  政府は、結婚していない男女間に生まれた子(婚外子)の遺産相続分を、法律上の夫婦の子(嫡出子)の半分とする規定を削除する民法改正法案を閣議決定し、国会に上程する手続きをしたことが報じられている。
 一方、出生届に「嫡出子」か「嫡出でない子」(婚外子)かの記載を義務づけた規定を削除する戸籍法改正案については、自民党内に「司法で違憲判断されておらず、改正は不要」との意見があり、同党の了承が得られなかったため、今国会への提出を断念した旨も報じられている。  生まれてきた子に全くの責任がないにも拘わらず、その出生が嫡出子か非嫡出子かの違いだけによって、非嫡出子が日陰の人生を決定づけられてしまう不条理に、漸く希望の光が差し込んだことに関係者各位のご努力に敬意を表したいと思う反面、戸籍法改正案が見送られたことを思うと、手放しには喜べない気持ちでいっぱいだ。
 これだけの近代社会でありながら、依然として非近代的な思想が跋扈していることに暗澹たる思いがする。
 一日でも早く、戸籍法改正案が国会に上程され、出生届に「嫡出子」か「嫡出でない子」(婚外子)かの記載を義務づけた規定が削除されることを強く望みたい。生まれた子には責任がない。万人平等の権利と義務が与えられ、生まれてきたことの幸せを感じて貰いたい。それこそが日本というものだ。

古谷 史旺

<13/8/19>蝉の鳴き声について

蝉の鳴き声について

  今年は初夏の頃より猛暑が続いていたためか、蝉の鳴き声がいつになく騒がしい。
私が住んでいるのは埼玉県の新所沢で、転居してきた頃の35年前は、周辺には林や畑が沢山残っていた。子供にせがまれてカブトムシやクワガタ捕りに行ったものだ。
私が子供の頃は、今と違ってテレビもゲームもない時代であったから、外で遊ぶのが主流。外で遊ぶのが大好き人間な私は昆虫採集に熱中していた。夏休みが終わり新学期に出す自由勉強で、昆虫採集の標本を出し、何かの賞を貰ったことがある。ホントに…。
  そんなことだから、カブトムシやクワガタが集まる樹木は熟知しており、よく捕まえたものだ。クヌギの木と言っても分かり難いが、ドングリの木のことだ。その木から樹液が出ていて蟻だの蛾などが集まっていれば最高。夜の9時過ぎとか早朝に行けば、だいたいは樹液を吸っている。 しかし、最近は林や畑が住宅になっているところが多いし、近所の子供たちがクヌギの木の根の周りを掘り起こし幼虫のうちに捕まえてしまうので、殆ど見かけなくなってしまった。
  私の家の雑木に群がる蝉の多くは、真夏はアブラゼミであるが、時にはミンミンゼミやクマゼミが飛来してくる。梅雨の終わり頃には夏を知らせるニイニイゼミ、ジリジリ暑い真夏にはアブラゼミ、 お盆の過ぎた頃からツクツクボウシやヒグラシが悲しげに鳴いて夏の終わりを告げる。蝉の鳴き声で季節の移り変わりが分かって面白い。 蝉は地中で7年ぐらい過ごし、地中から出て孵化してから2週間ほどで寿命が尽きると言われている。昨年は蝉の鳴き声が今年ほど騒々しくなかったから、今年の凄さがやたらと耳につく。これって単なる偶然であろうか。
  地球の温暖化が加速度的に進み、世界の各地でゲリラ豪雨による洪水が起きている。 その一方で、降雨が全くなく干ばつになり、農作物に甚大な被害が出ている。
  これらの異常気象が、すべて人間が起こした人為的なものだとすれば、恐ろしいことだ。地球温暖化がこれ以上進まないように、世界が一つになって取り組まなければ、やがて地球は月のようになってしまうかも知れない…。

古谷 史旺

<13/5/8>庭木のツツジについて

庭木のツツジについて

「庭木・花木の手入れとせん定」…成美堂出版によれば、ツツジには600以上の品種があり、落葉性の種類には、3~4月に咲くミツバツツジ、ゲンカイツツジ、4~5月に咲くレンゲツツジ、ゴヨウツツジがあり、常緑性の種類には、4~5月に咲くヤマツツジ、クルメツツジ、ウンゼンツツジ、ミヤマキリシマ、6月に咲くサツキツツジ等の多種があるようです。
 若い頃の私は、妻に誘われてツツジの名所である塩船観音寺(青梅市)、根津神社(東京文京区)、館林のつつじが岡公園等へ行くことはありましたが、購買欲が沸くほどの興味はありませんでした。ツツジに常緑性や落葉性のあることすら知らなかったのです。
 ところが、3年前の春に覗き込んだ植木屋さんで出会ったツツジの深紅な色彩に、衝撃が走りました。今までに見たことのない強い色合いでした。 「ホリカン」という名のツツジです。妻の反対を押し切って買い求めましたが、翌年は花芽も少なく期待外れでした。
 植木屋さんに行き、その原因を聞いたところ、ツツジはグンバイムシ、ハダニ等の害虫が付きやすく、1ヶ月ごと位に消毒しないと花芽が付きにくいと教えられました。
 昨年は、植木屋さんに言われたことを忠実に守り、消毒に精を出しました。
 そして、今年を迎えました。すでに満開時期を超えましたが、3年前の衝撃が蘇る程の見事な開花と色合いになりました。
 この春、同じ植木屋さんで「ホリカン」で受けたと同じような衝撃を受けました。「カネコゲンカイ」という名のツツジです。薄紫の花を咲かせていました。
 衝動買いをする癖のある私です。またまた妻の反対を押し切って買ってしまいました。来年、どのような開花を見せるのか、心が躍る思いです。

古谷 史旺

<13/3/28>日本経済の回復はホントに期待できるのか?

日本経済の回復はホントに期待できるのか?

 昨年の暮れに行われた衆議院議員の総選挙において自由民主党は圧勝し、安倍晋三氏が日本国の総理大臣になって3ヶ月が経過しようとしている。
 その間、アベノミクスの言葉に踊らされ、それまでの78円台であった円高はピタリと止まり、90円台を推移している。株価も8,000円台が10,000円の大台を大きく超えている。
それに伴い輸出産業は一気に大幅な黒字を計上し、輸出を主体とする大手企業は、安倍総理の強い要望に応える形で従業員の給料とか一時金を出すことを約束している。
 その一方で、原材料を輸入に頼っている原油、その他を主体とする企業は、赤字化が鮮明になり、料金の値上げを申請して国民生活を圧迫させる要因を作り出している。
 景気浮揚の期待感は極めて強く、民主党に取って代わった自由民主党に対する政策転換を大いに期待したいところであるが、安倍総理が掲げる3本の矢、すなわち金融緩和、財政出動、成長戦略のいずれもが、未だ具体化の域に達していない。言ってみれば、今はミニバブルの期待感でしかない。
 今朝は、5時起きして国会議員主催のモーニングセミナーに出席させて頂いたが、驚かされたのは、“自民党の国対(国会対策委員会)が、参議院選挙が終わるまで、一本の法案も出すな”との達しを出しているとか…。その国会議員も憤慨されてはいたが、全く同感だ。何故もっと大きな視座で天下国家が論じられないのであろうか?
 その国会議員の国政報告の後に、「iPS細胞の臨床応用と産業化」で講演された理化学研究所の先生は、少なくとも3~4本の法案を通して頂かないと研究と産業化が進まないと言われており、心底落胆されていた。
 自民党は選挙の大勝ちに奢ることなく、「政局」に走ることなく、こういった成長戦略の目を育む意識をシッカリと持って国政に臨んでもらいたい。

古谷 史旺

<13/1/21>日本の政治について思う。

日本の政治について思う。

 小学校5年の時、通信簿を貰って家に帰ってきて父親に見せた。成績が下がったことを叱られるかと思ったら、「野田君は、馬鹿が付く位に正直者だ。」と書かれた先生からの連絡欄を読んで、父親は叱るどころか誉めてくれた。
 野党であった自民党などから「近いうちに」の言葉の意味を責め立てられた民主党の野田前総理大臣は、以上のように国会の質疑で答弁し、多くの反対の声を押し切って衆議院を解散してしまった。
 民主党が壊滅的敗北を期すことは明々白々であった。それをも厭わず、自分のメンツを優先させた責任は、一国の総理大臣であっただけに許されない。
 かつて日本は、経済は一流、政治は三流と揶揄されていた。小選挙区制に移行し、イギリスやアメリカのように、二大政党が政策をぶつけ合い、交互に国政を担うといった政治の成熟への夢は完全に水泡に帰してしまった。
 未だ評価できる段階ではないが、自民党が衆議院選挙で圧勝し、安倍総理大臣が誕生してから、円高は止まり株価も久しぶりに9,000円台を回復した。
 小手先ではなく、5年後10年後を見据えた国家再生のビジョンが描けるか、そして中国、韓国、北朝鮮等々の理不尽な外圧を毅然と撥ね付けられるかどうかで真価が問われる。
 外圧はともかく、待ったなしの経済再生は、先ずは企業の海外流出を止めることから始めなければならない。
 企業の海外流出は、生産部門だけでなく、技術開発部門にまで及び、日本の歳入の道が断たれてしまう。
 大胆な技術開発優遇税制と、地震津波の災害地である東北を初めとする全国幾つかに、有利な条件で産業別企業の誘致策を積極的に講じて、内外の企業を呼び戻し、雇用促進に繋げなければならない。
 言ってみれば、アメリカのシリコンバレーのような拠点を作ることが望まれる。その実現により、日本の活力と歳入増が期待できる。

古谷 史旺

<12/10/26>心の趣くままに!

心の趣くままに!

 私は、大学4年次に、自信満々で弁理士試験に挑戦したが、意匠法で大ポカをやらかして失敗した。浪人はハナから考えていなかった。結果発表は12月であったから、それから就職活動に転じた。既に就職活動は終盤を迎えており、学生課の前に張り出された求人票はパラパラしか残っていなかった。
 それでも求人票の中から、比較的人数の多そうな中堅企業を受験した。あろうことか勤務先は自宅から遠く離れた常磐線北千住駅から徒歩10分ぐらいの処にあった。通勤時間は1時間30分位であったろうか。私が通い始める何年か前に三河島脱線転覆事故があり、多くの犠牲者を出した路線だ。
 北千住の駅から会社までは歩くしかなかったが、ちょっと路地裏に入れば、終戦直後のままの家並みが残り、軒先には縁台があり、風鈴が鳴り、朝顔が咲き、風情もあった。
 “住めば都(ミヤコ)”とはよく言ったモノで、“通えば(カヨエバ)都”で、通りの喫茶店のおばさんとか食堂のおじさんとかに顔を覚えられ、良く声を掛けられたし、会社の工場の人たちも随分と親切に可愛がって頂いた。会社を辞めて弁理士になってから仕事も頂いた。
 親父を亡くしたことを契機に、会社を1年で退職し、弁理士試験に向けて本格的に勉強した。後にも先にも死に物狂いで勉強したのはこのときが最初で、最後は弁理士になってから、弁理士同友会30周年の実行委員長を仰せつかり、中国の審査基準と特許法の翻訳を手掛けたときだ。中国語が操れた訳ではないから、正しくは「監修」というところか。実行委員長が出しゃばることもなかったが、言い出しっぺが私だから仕方ない。今から17年も前(1995年)のこと。特許の世界では中国はカヤの外の時代である。それが今や、中国は特許出願で世界第1位、第2位アメリカ、第3位が日本なのだから恐れ入る。書店には中国の知的財産関係の書籍がずらっと並んでいる。隔世の感がする。
 当時、私と行動を共にした弁理士と二人で北京のホテルで、それこそ朝早くから夜が更けるまで、日本語に翻訳した審査官と、審査指南(基準)と特許法を逐条的に一つ一つ潰していった。私どもが日本語風に直せば、ニュアンスが変わり、誤訳になってしまうし、大変な苦労を強いられた。
 滞在は延長、また延長で10日間に及んでしまった。外に出るのは食事の時と散歩で天安門を往復する時だけだった。
 私が弁理士試験を受験した当時、受験者は2,000人超、合格者は40人弱、合格率は2%そこそこ。それが今や10,000人弱の受験者で、合格者は800人超、合格率は8%。合格者の中で実務未経験者が30%超というから驚きである。研修が義務化されたとはいうが、特許の世界、100件の明細書を書いて一人前と言われている。経験が全くないか乏しい人材が「弁理士」のバッチを付けて放り出されるのだから、制度を利用する国民は堪らない。ツケは国民に押し付けられる。小泉内閣時代の竹中平蔵氏(経済学者)その他が唱えていた「市場原理主義」や「自己責任原則」の思想は、弱者切り捨てと同じで、国民全体の幸せを考えるべき立場の、一国の宰相が採るべき道ではなかった。つくづく思う次第。

古谷 史旺

<12/10/1>NHKスペシャル「追跡 復興予算 19兆円」を視聴して愕然!

NHKスペシャル「追跡 復興予算 19兆円」を視聴して愕然!

 去る9月9日、午後9時から放送されたNHKスペシャル「追跡 復興予算 19兆円」を視聴して愕然とした。
 ~「復興は進んでいない。お金は一体どこに使われているのか。」今、被災地から切実な悲鳴があがっている。
 大震災後、被災地復興のため、つぎ込まれる巨額の“復興予算”。増税を前提につぎ込まれることになった“復興予算”は、一体どのように流れ、使われているのか。
 番組は“巨額マネー”の行方を追い、その実態を徹底検証する。~
こんなサブタイトルの内容であったが、愕然とさせられたので、改めて茲に紹介する。

1.岐阜県のコンタクトレンズメーカーの製造ライン増設費用に
 経産省が確保した1.2兆円の復興予算の中に国内立地補助金3000億円がある。岐阜県のコンタクトレンズメーカーが新しい製造ラインを作る際にも使われた。この補助金は被災地への波及効果があれば支出が認められる。売り上げが伸びれば仙台の販売店で人を雇用できるとして申請されていた。こんなことを許して良いのか!

2.反捕鯨団体対策費に
 農林水産省、調査捕鯨での反捕鯨団体の対策費用に被災地復興予算から22億。「南極の調査捕鯨を安全に行うことが、ひいては被災地の水産業の復旧支援になる」。こんな行政の勝手を許して良いのか!

3.国立競技場の補修に
 文部科学省は、国立競技場の補修費に3億円を計上。「減災につながる」との理由だ。ふざけた話しだ!

4.沖縄県国頭村の道路整備費用に
 沖縄県国頭村。国道1.4㎞、防波堤などの工事。8年前から台風大雨対策として、通常の道路予算で行われてきた。それが今年度は地震対策という名目が追加され、7億円のうち5億円が復興予算から出ている。住民は「…はっ?(復興予算を)こっちで使っているってことですか?それは知らないですよ。」、と報じている。そんな理屈が罷り通るなら、何でもありと一緒だ!

5.青少年交流事業に
 外務省の青少年交流事業。外国からの青年に被災地を見てもらう事業。被災地での2日間の活動以外は観光がメイン。旅費は無料。年間一万人の予定で予算は72億円。と報じている。開いた口が塞がらないとはこのことだ!

☆ザッと紹介させて頂いたが、未だ未だある。枚挙に暇がない。
 民主党は、かの有名な蓮舫議員が加わった事業仕分けで、国益に欠かせない事業までもバッサ、バッサと切り捨てたが、復興予算19兆円の使われ方こそ、メスを入れるべきだ。行政の姿勢を糾弾すべきだ。
 被災地では、工場を建てて事業を再開させたくても補助金が下りず、四苦八苦している様子も放映されていた。みんなで声を上げ、何とかしてやりたい気持ちでいっぱいだ。

古谷 史旺

<12/9/5>自民党「問責決議賛成」の自己矛盾、「3党合意」は何だったのか。

自民党「問責決議賛成」の自己矛盾、
「3党合意」は何だったのか。

 野田佳彦首相に対する「問責決議」が2012年8月29日参議院で可決した。賛成129票、反対91票であったが、当初、問責決議は野党7会派と、自民党・公明党によるものと2つの案が浮上していた。野党7会派のものが先で、自民・公明両党のものは後で、野田首相が「内政、外交上の失敗により、国益を損ない続けた。」との理由を挙げたが、野党7会派側は「消費増税」と「3党合意」に対する批判を提出理由に据えて噛み合わなかった。
 ところが、折衝の末に折れたのは自民党で、7会派による問責決議が参議院に出された。
 野党7会派の案を自民党が支持した格好ではあるが、そこには消費増税を推し進めた自民・公明両党への非難内容が含まれていたことから、公明党は、採決を棄権することでケジメを付けた。
 それに対し、自民党が賛成に回ったことは腑に落ちない。というよりも“開いた口が塞がらない”とはこのことだ。政党としての活動内容を痛烈に批判されながら、反論もなく認めるとは、何とも奇妙で情けない話しだ。長期にわたり政権与党の座にあった自民党の採る道ではない。
 問責決議の提出理由には、「国民の多くは今も消費増税法に反対しており、今国会で消費増税法を成立させるべきではないとの声は圧倒的多数となっている。」、さらに「最近の国会運営では、民主党・自民党・公明党の3党のみで協議し、合意すれば一気呵成に法案を成立させるということが多数見受けられ、議会制民主主義が守られていない。」と糾弾している。
続けて「参議院で審議を行うなか、社会保障部分や消費税の使い道などで3党合意は曖昧なものであることが明らかになった。」と一刀両断に切り捨てた。
 私は、3党合意の「税と社会保障の一体改革」そのものに賛成はしていない。「税と社会保障の一体改革」の前に政府がやらなければならないことがある。それは、本格的な景気対策だ。
景気が回復する前に消費税を上げれば、景気がさらに落ち込み、デフレスパイラルに陥ることは、過去の歴史が証明している。
 それでも、民主・自民・公明の3党は合意した。そうであるならば、自民党は公明党のように、筋を貫き通して採決を棄権すべきであった。誠に残念だ。
 これにより、自民党の支持率がまた落ちてしまう。

古谷 史旺

<12/7/25>弁理士法改正について ~「使命条項」と「秘匿特権」は、必ず入れるべき!~

弁理士法改正について
~「使命条項」と「秘匿特権」は、必ず入れるべき!~

 特許庁は、平成26年の弁理士法改正に向け、弁理士会を含めた検討会を行っている。弁理士会が要望する改正項目は特許庁に提出ズミであると聞く。
 ところが、その中で「使命条項」は、内閣法制局からクレームが付く。「秘匿特権」は、弁理士法に馴染まない。「農産種苗登録の代理」、「著作権の登録代理」は、行政書士と業際の問題があり規定は難しい、等々の見解が示され、弁理士会執行部は早くも優先順位を後退させている。
 弁理士法第56条には、「弁理士会は、弁理士の使命及び職責にかんがみ…」と規定されている。ところが、弁理士の「使命」とは何かの規定がない。我々の行動目標・指針が示されていない。
弁護士法、日本公認会計士法、税理士法には、それぞれ規定がある。
弁理士は、いったい何を心の拠り所に活動したら良いのか?
 私なら次のように規定する。
『弁理士は、国際的な視野に立脚し、知的財産の創造・保護・活用と、知的財産制度の健全な運用・発展に寄与することにより、社会の発展と国民生活の向上に貢献することを使命とする。』

 「秘匿特権」は、依頼者の利益だけでなく国益に直結する。
米国の訴訟において、我が国の弁理士と依頼者の検討書類が開示要求に曝され、米国の弁護士と依頼者の検討事項は秘匿が許される。このような不公平な関係を是正しないで何とする。民事訴訟法が改正された時(第197条及び第220条)、弁理士にも守秘義務が科せられたから心配ない、と言われた。
ところが、アメリカの裁判所では「秘匿特権」の明記がないとの理由でダメ出しされている。
 弁理士法に馴染むか馴染まないかの問題ではなく、米国の裁判に巻き込まれた日本の依頼者が日本の弁理士と侵害か否かを検討した検討記録まで開示させられる。この現実を目の当たりにして、依頼者の利益だけでなく国益に反すると思わない者はいない。法務省の部長に意見を求めたところ、障害を乗り越えて弁理士法に規定する以外にない、との感想を漏らしていた。
 正に、これは政治マター、外交マターであり、弁理士会が戦う以外に道はないと思う。

古谷 史旺

<12/6/1>自民党作成の憲法改正草案 ~憲法第29条 知的財産権について~

自民党作成の憲法改正草案
~憲法第29条 知的財産権について~

 自由民主党が、平成24年4月29日に公表した憲法改正草案は、平成16年に公表した憲法改正草案(第2次)を骨格にリニューアルしたものである。
私が注目したのは、憲法第29条の財産権のところだ。
現憲法第29条は、「財産権は、これを侵してはならない。」と規定するだけで、「知的財産権」のことは一言も触れていない。憲法から派生する刑法、民法でも有体物(目に見える物)を保護対象とし、無体物(目に見えない物)は保護の対象となっていない。かろうじて刑法第245条において「電気は財物とみなす。」と規定し、電気窃盗罪を法定刑化している。
発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物、その他の人間の創造的活動により生み出されたもの、商標、商号、その他の事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの、及び営業秘密その他の事業活動により有用な技術上又は営業上の情報といった「知的財産」(知的財産基本法第2条第1項)は、保護の対象が目に見えない無体物であるため、権利侵害も起こり易く、保護が難しい側面がある。
小泉内閣が誕生したのが平成12年であった。当時、日本の製造業は、台湾、韓国、中国などの新興国の価格面及び品質面での追い上げが厳しく、壊滅的打撃を受けていた。 私事で恐縮だが、職務の関係から国会議員との交流も多く、自民党の有力議員を通じて小泉首相に進言する機会を得た。曰く、日本は資源に乏しい。しかし、優秀な頭脳と勤勉さを持ち合わせた国民がいる。これからは「知的財産立国」を目指すべきだ。頭脳で世界と勝負すべきだ!小泉首相は国会における所信表明演説で私どもの提言を採り上げ、「知的財産立国」を宣言した。その後、凄まじい勢いで知的財産改革が進み、「知的財産基本法」が成立し、極めつけは「特許裁判所」の創設であった。

自由民主党内で憲法改正論議が活発になった平成14年頃、私どもは、知的財産権の意義を憲法に規定し、「知的財産立国」を広く社会に根付かせるべきとの考えから、猛烈な運動を展開した。その甲斐もあって、平成16年に公表された憲法改正草案(第2次改正草案)では、下記の如く、第29条の財産権のところで「知的財産権」が盛り込まれることとなった。ところが、平成24年4月29日に公表された憲法改正草案では、書き振りが変わってしまっている。
誰が修正指示をしたのか知る由もないが、私に言わせれば、幅の狭い解釈しか成り立たない意味不明の改悪である。残された審議の土俵は、民主党及び公明党との協議の場と考えられるが、私どもは、新たな運動を展開し、改悪された箇所を再修正させなければと強く思っている。

〔平成16年改正草案 (第2次改正草案) 〕
第29条
財産権は、保障する。
2 財産権の内容は、公益及び公の秩序に適合するように、法律で定める。この場合において、知的財産権については、国民の知的創造力の向上、及び活力ある社会の実現に留意しなければならない。
3 私有財産は、正当な補償の下に、公共のために用いることができる。

〔平成24年改正草案〕
第29条
財産権は、保障する。
2 財産権の内容は、公益及び公の秩序に適合するように、法律で定める。この場合において、知的財産権については、国民の知的創造力の向上に資するように配慮しなければならない。
3 私有財産は、正当な補償の下に、公共のために用いることができる。

古谷 史旺

<12/4/24>石原知事の尖閣諸島の買い取り発言は是か否か

石原知事の尖閣諸島の買い取り発言は是か否か

 米国を訪問していた東京都の石原知事が、現地時間4月16日に沖縄・尖閣諸島の3島を都の予算で買い取る手続きを進めていると記者会見した。
 東京都では、2億円を超える物件の購入には議会の承認が必要だとか、なぜ東京都なんだとか、石原新党結成のパフォーマンスだとか、さまざまな批判が起こる中で、中国漁船の狼藉事件に対する政府の弱腰外交へ良い薬になるとか、よくぞ言ったと拍手喝采の声であったり、賛否両論が渦巻いている。
 中国外務省は、すぐに反応し、「日本側が尖閣諸島に対して取る一方的な措置は全て違法で無効だ」、「尖閣諸島は中国の固有の領土で、争う余地のない主権を有する」と改めて中国の立場を主張した。
 これに対し、日本政府も藤村官房長官が記者会見で、「政府としても国が買い取りを含めて検討の用意がある」と発言し、野田総理も国会答弁で、同様のことを繰り返している。 しかし、本来は国がサッサと対応すべきことである。それを怠って来たことを石原都知事は怒っている。怒っているのは石原都知事に限らず私を含めた多くの国民が同じ思いだ。
 テレビの日曜討論を観ていたら、民主党の若手と覚しき防衛大臣政務官が「今騒ぎ立てれば中国の思うツボ」的な発言があった。
 菅直人氏が内閣総理大臣の時、尖閣諸島沖の中国漁船狼藉事件で逮捕した船長を、中国の脅しに屈し、裁判に掛けることなく帰還させてしまった。
 その後、大統領訪問を差し控えていたロシアは、北方4島の一つを大統領が強行訪問し実効支配を印象づけたことは、我々の記憶に新しい。
 日本は、なぜ毅然と出来ないのか、"良いことは良い、悪いことは悪い"とハッキリ言えないのか。丸く収めることが尊敬されると勘違いしていないか。何でも丸く収めようとすれば、弱腰、意気地なし、だらしがないの誹りだけが残る。時には毅然とすることこそ、信頼され尊敬されることを知るべきだ。
 最近分かってきたことは、外国人に私有地を売ってはならないとする法律が日本にはないらしい。そうであるなら、「日本の防衛上必要とされる私有地の売却は認めない」とする立法化を直ちに行うべきだ。
 大臣の罷免決議をやっている場合ではないだろう、優先すべきは上記の立法化だ、と強く申し上げたい。

古谷 史旺

<12/1/11>我が家の庭にくる野鳥

我が家の庭にくる野鳥

 私の家は、西武新宿線の新所沢駅から北へ約3キロの処にあり、新都市開発興業が40年前に開発したニュータウンの一角で
ある。
 ニュータウンは中心に高層マンションが3棟建ち、その周囲に5棟の中層マンション、それらを取り囲むように一般住宅が建っている。一般住宅は1200世帯、集合住宅と併せると2000世帯になるから結構大きな街である。しかし、冬は都心より2~3℃低いから寒がりの人には辛いかも知れない。
 私は35年前に中古物件を購入し、その後建て替えたり、土地を買い増したりして現在に至っている。
 詳しくは知らないが、このニュータウンは雑木林を切り開いて開発したのであろう。地盤が固く、ちょっとの地震ではビクともしないが、表面の土を入れ替えない限り畑には適さない。
 35年前には新所沢の駅頭からニュータウンが遙か彼方に見え、車窓から富士山も垣間見えたが、今はビルや家が建ち並び、全く見ることができない。

 家の周辺には沢山の雑木林や畑があり、姉の子供にせがまれてカブトムシやクワガタを捕りに行ったものである。
近くの雑木林から小綬鶏がチョットコイ、チョットコイと鳴いていたり、近くの畑ではキジが姿を見せたりしていたが、いまは滅多にお目にかかれない。
 感動的なのは、毎年6月を迎える頃になると、カッコウが飛来し、高層マンションのアンテナ線に停まり、朝早くから夜になるまで、“カッコー、カッコー”と鳴いていることだ。まるで八ヶ岳か蓼科にいるような錯覚になる。「日本の野鳥図鑑」によれば、カッコウは自分では卵を抱かず、他人の巣に産み落として育てて貰う。これを「托卵」というのだそうだ。それだけ、まだ野鳥がいることの証拠かも知れない。

私の子供がカブトムシやクワガタに興味を示す頃には、近隣の子供や大人たちが幼虫のうちに掘り起こしてしまうので、全く捕ることができない。
 それでも、雑木林が多少は残っているためか、我が家の庭には珍しい野鳥がやってくることがある。
 私は、もともと野鳥好きで、庭に餌台を作ったり、巣箱をかけたりしている。柿や椿、サザンカ等の樹木があるため、ときには名前の分からない野鳥もやってくる。
 名前が分からないと興味が募り、「日本の野鳥図鑑」を買い求め、名前を確かめて悦に入っている。
 スズメ、キジバト、ヒヨドリは普通に見かける鳥であるが、メジロ、ウグイス、エナガ、シジュウカラが良く顔を見せる。エナガの名前は「日本の野鳥図鑑」で知った次第。シジュウカラは今年2度巣作りをしていた。
 変わり種では、ジョウビタキ、シメといったところか。ひまわりが種を付ける頃になるとカワラヒワがついばみにくる。秋口にはモズの高鳴きが聞こえてくる。モズは目つきが鋭く、いつも電柱のてっぺんに停まり、天下を睥睨しているようで、好きな鳥の一つだ。

 「日本の野鳥図鑑」を買うきっかけとなったのは、インド周辺が原産のホンセイインコ。目の縁が赤くカラダ全体が緑色で尾が長く、飛んでくるサマは、まるで宇宙の彼方から帰還してくるスペースシャトル“ディスカバリー”みたいに綺麗で格好良い。しかし、鳴き声はギャギャギャと甲高く、いただけない。いつも餌台を占領し、怖くてスズメもキジバトも近づけない。
 圧巻はこれも外来種のガビチョウ。全体が茶色でムクドリぐらいの大きさがあり、つがいで行動している。鳴き声は聞いたことがない。初めて目撃したときには、ホントに興奮してしまった。こんな鳥がいるんだあ~、っていう感じ。この名前もシメも「日本の野鳥図鑑」で知った。

古谷 史旺

<11/12/26>外国法事務弁護士の法人化法案に反対する!
~特にB法人(混合法人)は国益を害する虞を加速させる~

外国法事務弁護士の法人化法案に反対する!~特にB法人(混合法人)は国益を害する虞を加速させる~

専門的な内容で恐縮ですが、この2年有余の間、標記の法人化法案を法務省が国会に上程する動きがあり、日本弁理士会は弁理士業務が浸食されることを理由に反対でした。
 私は日本弁理士政治連盟会長の役職にあり、この件で日本弁理士会から助けを求められましたが、既に法務省のパブリックコメント(パブコメ)は終了し、国会に法案を提出する直前でした。
 相談を受けた時、こんな土壇場になって頼まれても、無理だと一度は断りしましたが、話しをよく聞いてみれば、日本弁理士会がパブコメで提出した意見書に対し、意見徴収の機会もなく、また、意見が反映されることもなく、最終報告書が作成されていました。
 そのような理不尽を許してなるものかとムクムクと反骨精神が首をもたげ、法務省との間で猛烈なガチンコを開始しました。一昨年は、法務副大臣をはじめ民主党の主要人物に掛け合い、何とか法案提出に至らせず、昨年も法務大臣に直接陳情し、何とか阻止に成功しました。しかしながら、法務省は来年の通常国会には上程したい意志を鮮明にし、主要国会議員に働きかけている情報がもたらされました。
 この暮れから来年の一月初旬が正念場を迎えます。どうなるか予断を許しませんが、断固戦う覚悟でおります。
初めて耳にされる方のため、概要を以下に記しておきます。

〔外国法事務弁護士の法人化法案の内容〕
(1)A法人…外国法事務弁護士のみで組織する法人
(2)B法人(混合法人)…外国法事務弁護士と日本の弁護士とで組織する法人
※上記のいずれの法人形態も認める。

〔法務省が法人化を進める理由〕
日本の弁護士は、1人法人が認められている。外国法事務弁護士に認めないのは、不公平である。

〔我々が問題視している点〕
1)外国法事務弁護士は、自国の法律事務のみを扱える縛りが掛かっている。だから、A法人であれば、特に問題とはならない。
2)しかし、B法人(混合法人)の場合、日本の弁護士は、弁護士法第3条で弁理士と税理士の仕事ができる制度となっている。しかも、日本の特許庁は、法人代理出願を認めているから、B法人(混合法人)による特許出願が為された場合、外国法事務弁護士は、自国の法律事務のみを扱える縛りが掛かっているにも拘わらず、日本の特許法に基づく特許出願手続が実質的に行えることとなり、脱法行為を助長させる法律となる。
3)アメリカは弁護士が100万もいる。法と正義より「ビジネス」優先であろう。日本の弁護士が「法と正義」を振りかざしても、バックに控える巨大資本の「ビジネス」優先に敵うはずがない。したがって、対等な関係は築けず、外国法事務弁護士に牛耳られることになる。そうすれば、日本の国防に関する出願前技術情報、最先端の出願前技術情報が海外に流出することを加速させてしまうことになる。

古谷 史旺

<11/10/28>これ以上の円高を許すな!

これ以上の円高を許すな!

日本の債務残高は、遂に1,000兆円を抱えることが確実視されています。これは、ワースト順位で言えば、日本がダントツの1位、2位のイタリア、3位のフランスを大きく引き離した憂うべき事態となっています。
 平成23年度の国家予算は、40兆円にも満たない税収(歳入)に対し、90兆円を超える歳出なのだから、借金が増えて当然と言えば当然のことです。
 3.11の東日本大地震、それに伴う100年に一度と言われる大津波、加えて、スリーマイル島のレベル6やチェルノブイルのレベル7を上回る規模の原子力発電所の事故により、世界を震撼させました。経済的損失は30兆円を超えるとも言われています。
 それに追い打ちを掛けるように、タイの大洪水があり、450社を超える日本企業の工場が稼働不能に陥り、計り知れない経済的損失を被っています。
 そのような中にあっても、75円を割る勢いの円高です。円高の原因は二つあると考えられています。
 一つはギリシャの経済破綻でユーロ圏の経済不安が現実化していること。二つにはアメリカ経済がジワジワ右肩下がりになっていることです。
 世界の投資家は、日本の方が未だマシ、安全と考えているようですが、1,000兆円を抱える債務残高で明らかに財政破綻状態の日本が、なぜ買いなのか、理解に苦しみます。
 円高がこれ以上進めば、日本は間違いなく破綻します。財務省、OECDデータによれば、2015年には貿易収支が赤字に転落するという空恐ろしい試算が出ています。
 いま、日本の企業に限らず日本にある世界の企業が、工場の海外移転を加速させ、空洞化が益々進むことになります。働き場を失った労働者が街に溢れかえり、かつてのニューヨークのようにゴーストタウン化してしまいます。
 今日のニュースによれば、政府・日銀は円高に歯止めを掛けるべく5兆円規模の為替介入を実施したようですが、私に言わせれば、規模が小さ過ぎます。どうせやるなら、ドーンと大きくやらない限り、この円高は止まらないと思います。
 そして為替介入だけでなく、海外流出を食い止めるため、大胆な税制措置、技術開発援助、等々のあらゆる政策を確実に実行していくことです。

古谷 史旺

<11/9/30>野田佳彦内閣総理大臣に期待する!(その2)

野田佳彦内閣総理大臣に期待する!
(その2)

 総理大臣が菅直人氏に替わり、前総理との違いを期待されたが、鳩山総理の学習経験は全く生かされなかった。菅直人氏は、民主党の代表選で勝利を収め、高い支持率を本物と勘違いされたのか、内閣総理大臣に就任するや否や、十分な党内審議も国民のコンセンサスも得ないまま、唐突に消費税10%を打ち出して参議院議員選挙で大敗した。
また、尖閣諸島沖の密漁船拿捕事件では、中国の圧力に屈する形で船長を解放してしまい、日本の外交の弱さ・不甲斐なさを露呈させた。それに乗ずるように、ロシア大統領は北方領土の国後島を公式訪問し実効支配を世界に印象づけた。日本の固有の領土である竹島に対し、韓国は次々に頑強な建造物を構築して40名を超える自国民を住まわせ、実効支配を確実なものとさせている。これらの理不尽な行為に対し、政府は、何故、毅然とした態度で臨まないのか。国際社会に強く訴えないのか? 弱腰外交は全く理解できない。
 東日本大震災での対応の拙さは、生々し過ぎて多くを語りたく
ないが、衆議院と参議院が捻れた厳しい政局において、菅直人氏が総理大臣を辞する条件として掲げた ①第2次補正予算案の成立、②再生可能エネルギー特別措置法案の成立、③特例公債法案の成立を、成し遂げたことには賛辞を贈りたい。この3法の成立がなければ、与野党の不毛な争いが延々と続くところであった。四面楚歌の中で、よくぞ批判に耐えたものだと思う。

 三度目の正直という諺がある。党内融和も結構ではあるが、野田佳彦総理大臣には、強いリーダシップの下、東日本大震災の早期復興、福島原発事故の早期収束、併せて日本経済の立て直しに全力を傾注して貰いたい。そして大切なことは、日本のリーダーとして、誇り高い気持ちをいつまでも堅持して貰いたい。
 ドジョウはドジョウの話しは、それなりに説得力があり国内向けには喜ばれたが、国外に向けては何と発信されるおつもりか?
 攻撃されれば命がけで反撃するスズメバチの話しはどうであろうか、と思ってしまうのは、私一人ではあるまい。

古谷 史旺

<11/9/16>野田佳彦内閣総理大臣に期待する!(その1)

野田佳彦内閣総理大臣に期待する!
(その1)

民主党の代表選挙に逆転勝利を収めた野田佳彦氏は、菅直人総理の後を受けて、第95代の内閣総理大臣に指名された。
 まず、代表選挙後の党三役人事では、小沢一郎元代表の側近である輿石東参議院議員会長を幹事長に迎え、代表選を共に戦った前原誠司氏を政策調査会長、鳩山由紀夫元総理の側近である平野博文氏を国会対策委員長に据えた。
 そして、内閣の顔ぶれはサプライズのない常識的な布陣となっており、私どもの関係で言えば、経産大臣に鉢呂吉雄氏、文部科学大臣に中川正春氏、法務大臣に平岡秀夫、農水大臣に鹿野道彦氏、国家戦略担当・科学技術政策担当大臣に古川元久氏が任命された。また、松下忠洋氏が経産副大臣の続投となり、経産政務官に北神圭朗氏、衆議院の経済産業委員長に吉田おさむ氏、同じく衆議院の法務委員長に小林興起氏、科学技術・イノベーション推進特別委員長に松宮 勲氏、国家基本政策委員長に田中慶秋氏、憲法審査会長に大畠章宏氏が決まり、私どもと関係の深い議員が要職に就かれている。
 その他に、小沢一郎元代表の側近である山岡賢次氏を国家公安委員長に、奥村展三氏と森ゆうこ氏を文部科学副大臣にそれぞれ起用し、党内融和の腐心の後が窺われる。
※鉢呂吉雄経産大臣は、就任9日目にして問題発言で辞任の余儀なきに追い込まれ、後任に前官房長官の枝野幸男氏が就任した。

 思い起こせば2年前、民主党は劇的な政権奪取を果たし、鳩山由紀夫総理に大いに期待したが、鳩山総理は、国連総会の場で、国内コンセンサスを得ないまま、日本はCO2を含む温室効果ガスを2020年までに1990年比で25%削減すると宣言された。世界からは喝采を博したが、何の裏付けもない演説に日本国内、特に産業界の反応は極めて冷ややかであった。
 また、自民党が20年以上の歳月を掛けて住民合意に漕ぎ着けた「辺野古」への米軍基地移転問題を、いとも簡単に反故にして、ご自身の強い思いから「辺野古」以外、望ましくは国外移転と言い出した。アメリカに出向いて大見得を切って帰って来て、結局は暗礁に乗り上げて政権を放り投げてしまった。

(次号へ続く)

<11/9/9>『行政不服申立制度の改革方針に関する論点整理(第2版)』に対する意見(その2)

『行政不服申立制度の改革方針に関する論点整理(第2版)』に対する意見(その2)

○37/42~39/42ページ
(9)代理人制度の検討
 代理人の範囲をさらに拡大すること等についても、検討するものとする。
上記の論点整理では、“行政書士については、行政書士法に上記「別段の定め」がないが、官公署に提出する許認可等の申請書類の作成・提出等を行っており、これらに係る不服申立ても含め一貫して取り扱うことにより、国民の利便性の一層の向上を図ることが可能となることも考えられることから、行政書士の業務の実績、その専門能力の確保の状況等を踏まえつつ、不服申立ての代理権を行政書士に付与するかどうかについて、既に「別段の定め」がある上記資格者の代理権の範囲を配慮しつつ、議論を整理する。 ”と記述されている。

〔私の意見〕
弁理士については、弁理士法施行令第8条第1項第9号に、行政不服審査法に(昭和37年法律第160号)による審査請求に係る審査請求書又は同法による異議申立てに係る異議申立書の作成が専権事項と規定されている。これは、いわゆる産業財産権制度の専門性に由来しており、資格試験により裏打ちされている。
弁理士は、いわゆる産業財産権を取得するための書類の作成・提出等を行っており、制度を利用する国民の利便性・信頼性の観点から、これらに係る不服申立ても含め、一貫関与して来ており、この枠組みを壊すべきではない。

○39/42ページにおいて
関係団体からのヒヤリング
上記の論点整理では、関係団体からのヒヤリングを行い、改革の方向が示されている団体もある。

〔私の意見〕
37/42ページにおける「別段の定め」がある資格として「弁理士」も掲げられている。しかしながら、関係団体のヒヤリングでは、弁理士に対するヒヤリングはなく、したがって記述もない。その一方で、改革の方向が示されている団体もある。些かバランスに欠けた記述であり、是正されるべきではないか。

古谷 史旺

<11/9/1>『行政不服申立制度の改革方針に関する論点整理(第2版)』に対する意見(その1)

『行政不服申立制度の改革方針に関する論点整理(第2版)』に対する意見(その1)

 政府所轄の行政救済制度検討チームでは、平成23年8月に標記の『行政不服申立制度の改革方針に関する論点整理(第2版)』を公表し、来る9月15日期限のパブリックコメントに付しました。パブリックコメントは、公表の内容に関し国民が意見を述べる機会が与えられる制度です。
 行政不服申立制度は「行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民に対して広く行政庁に対する不服申立ての道を開くことによって、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする」(行服法第1条第1項)ものですが、昭和37年に制定されてから一度の改正もなく今日に至っていることから、改正しようとするものです。
 私は、弁理士ですから関係する省庁としては、特許庁、文科省、農水省、財務省、法務省ということになりますが、若い時分に特許庁の処分に対する「行政不服審査法に基づく異議の申し立て」を行った経験があります。そのとき以来、行政不服申立制度の中立性・公正性・信頼性に疑問を抱いておりました。
ここでは、私が関心のある点に絞って述べます。

○7/42ページ
4 審理官が置かれる行政庁、任命権者等
上記の論点整理では、"行政に関する高度の専門的な知識と十分な経験を有する者を各行政庁が実情に応じて任用する観点からは、審理官を審査長となるべき行政庁に置き、各大臣や普通地方公共団体の長が任命することが考えられる。
他方で、審理官の中立性・公正性・信頼性をより明確化する観点からは、例えば、国においては、内閣府に一括して審理官を置くなど、内閣・内閣府が任命に関与を行うことについて検討する。 "と記述されている。

〔私の意見〕
行政不服申立制度の改革方針が、"審理官制度の創設等により、公正さにも配慮した簡易迅速な手続の下で柔軟かつ実効性のある権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保すること"に基づくのであるから、審理官の中立性・公正性・信頼性をより明確にするため、内閣府に一括して審理官を置き、さらに内閣・内閣府が任命に関与して、独立性と身分保障を担保すべきである。
特許庁の公表データによれば、申立件数は平成20年が29件、平成21年が34件であった。驚くべきは「認容率」が、いずれの年もゼロであること。
審理官の中立性・公正性・信頼性をより明確にするため、内閣府に一括して審理官を置き、さらに内閣・内閣府が任命に関与して、独立性と身分保障を担保すれば、上記の異常事態は払拭される。

(次号へ続く)

<11/7/28>エアコンの「冷房」と「除湿」では、どっちが省エネ(エコ)か?

エアコンの「冷房」と「除湿」では、どっちが省エネ(エコ)か?

不覚にも、当然のことのように「除湿」だろう、って考えていた。
ところが、事実はどうも逆なようで、「冷房」の方が省エネ(エコ)であることが分かったので、記事を転載させて頂くことにする。
なお、弁解する訳ではないが、30人中25人もの人が、私と同じ勘違いをされているそうだ。しかし、理由を専門家に聞いてみれば、なるほど! ということになる。
「冷房は空気を冷やすと同時に水分を取り除き、湿度を下げているのに対し、除湿は冷房と同じ方式で湿度だけを下げ、さらに、冷えた空気を暖め直しているので、消費電力が多くなる。また、冷房の場合、いったん室温が下がると、その後の消費電力は減るが、除湿の場合は、消費電力は高いまま。これは、湿度よりも、温度を下げる方が簡単なためだ。」そうだ。

〔実験〕
大型人工気象室を、蒸し暑い真夏の気温32℃、湿度70%に設定し、最新のエアコンを設置して、28℃と26℃の冷房をかけ、2時間の積算消費電力を測定した。

〔結果〕
28℃の場合は390Wh(ワットアワー)、26℃の場合は606Whであった。
続いて、元の気温(32℃)と湿度(70%)に戻して2時間の除湿をしてみると、消費電力は708Whとなり、26℃で冷房したときの消費電力606Whを大きく上回る結果となった。

《出典…知識の宝庫!目がテン!ライブラリー 第1089回 2011年7月2日より》

<11/4/20>風評被害について

風評被害について

 かつて経験したことのない大惨事となった「東北地方太平洋沖地震」に対 し、弁理士として、日本弁理士会として、何ができるか、何を為すべきかを、 真剣に考え、行動すべきです。
 国から資格を与えられ、広い意味で国民に支えられて今日がある弁理士およ び日本弁理士会は、今こそ、被災地のため、国のために、役立つべきです。
 地震の後の大津波に襲われ、甚大な被害を引き起こしましたが、それだけで なく、福島原子力発電所の爆発事故で、放射能の流出がレベル5のスリーマイ ル島を超え、レベル7のチェルノブイリに匹敵する大事故となってしまいまし た。
 かてて加えて、今、日本は、福島原子力発電所の爆発事故によって引き起こ された放射能汚染、その汚染の拡大を遙かに超える勢いでダメージを受けつつ あり、しかもダメージは世界的規模で拡大しております。
 放射能汚染の拡大を遙かに超えるダメージとは、「風評被害」です。農作 物、海産物に限らず、あらゆる工業製品にまで放射能汚染の風評が拡大してい ることが報じられています。国によっては、放射能検査だけではなく、輸入禁 止の措置すら執っております。
 弁理士は、あらゆる国の弁理士・弁護士と仕事を通じて、若しくは仕事以外 での交流があります。ある意味で世界中の弁理士・弁護士とネットワークが構 築されていると言えるでしょう。
 このネットワークを使って、「風評被害」を打ち消す力になれたなら、これ に勝る活動はないと思います。
 そのためには、「風評被害」の実態を大雑把で良いから把握し、特許庁・経 団連・知財協との連携を深めながら、推し進めることが肝要です。
 連携を深めることにより、日本弁理士会の活動が外部に知れ、波紋のように 広がり、風評被害の拡大を食い止める一助になります。

古谷 史旺

<11/3/30>出願立体商標「ヤクルト容器」拒絶審決取消請求事件について(その4)

出願立体商標「ヤクルト容器」
拒絶審決取消請求事件について(その4)
~知財高裁平成22(行ケ)10169号・平成22年11月16日判決~


〔私の読後感〕
 立体商標が我が国の商標法に採り入れられたのは、平成8(1996)年のことである。一方、原告(株式会社ヤクルト本社)のプラスチック容器(上の図)は、昭和40(1965)年9月15日付で意匠登録出願され、昭和50(1975)年に設定登録(第409380号)されている。意匠権の効力は15年であるから、年金を全額収めても平成2(1990)年には消滅する。
 原告がプラスチック容器(上の図)の使用を開始したのは、昭和43(1968)年のことであり、平成2(1990)年までは意匠権で保護されるが、それ以降は民法上の不法行為若しくは不正競争防止法上の商品又は営業の混同行為で、侵害を阻止する他ない。しかし、上記の製造販売実績と宣伝広告実績があれば、裁判で争っても、高い確率で勝算はあったと思われる。
 ところが、何故か知らないが、原告は他人の侵害を排除する行動に出た形跡はなく、むしろ、ひたすら製造販売実績と宣伝広告実績を積み上げ、平成20年になって漸く立体商標出願するに至っている。
 そして、特許庁から「ありふれた形状」の判断が示されると、原告の独自商品形態であるにも拘わらず、「ありふれた形状ではない」ことでの徹底抗戦ではなく、使用による自他商品識別力獲得で判決を勝ち取っている。
 私は当事者ではないから、深い事情は知る由もないが、「ありふれた形状ではない」ことで徹底抗戦しても良かったのではないか、と訝しく思っている。
尚、判決で示された、その余のこと、即ち『本件容器の立体的形状は、本件容器に付された平面商標や図柄と同等あるいはそれ以上に需要者の目に付きやすく、需要者に強い印象を与えるものと認められるから、本件容器の立体的形状はそれ自体独立して自他商品識別力を獲得していると認めるのが相当である。』については、異論がないから論評しない。
(おわり)

古谷 史旺

<11/3/23>出願立体商標「ヤクルト容器」拒絶審決取消請求事件について(その3)

出願立体商標「ヤクルト容器」
拒絶審決取消請求事件について(その3)
~知財高裁平成22(行ケ)10169号・平成22年11月16日判決~

〔アンケート調査結果〕
①平成20年アンケート調査
 平成20(2008)年アンケート調査は、原告商品「ヤクルト」の無色容器の形状を一般消費者に提示したときのメーカー名等の想起状況を把握することを目的とし、「セントラル・ロケーション・テスト(会場テスト)」という調査手法により、東京4会場及び大阪4会場の合計8会場において合計8日間かけて実施されたものであり、本願商標と実質的に同一の立体的形状写真を提示し、容器から思い浮かべるイメージ(問1)、容器から思い浮かべる商品(問2)等の質問をした結果、問1及び問2のいずれかで、「ヤクルト」を想起したアンケート回答者の割合は98.8%であった。
②平成21年アンケート調査
 平成21(2009)年アンケート調査は、インターネットによる調査手法により、男女5000人を対象として実施され、平成20(2008)年アンケート調査結果と略同様の回答を得た。

〔裁判所の判断〕
 本件容器を使用した原告商品は、本願商標と同一の乳酸菌飲料であり、また、同商品は、昭和43年に販売が開始されて以来、驚異的な販売実績と市場占有率とを有し、毎年巨額の宣伝広告費が費やされ、特に、本件容器の立体的形状を需要者に強く印象づける広告方法が採られ、発売開始以来40年以上も容器の形状を変更することなく販売が継続され、その間、本件容器と類似の形状を有する数多くの乳酸菌飲料が市場に出回っているにもかかわらず、最近のアンケート調査においても、98%以上の需要者が本件容器をみて「ヤクルト」を想起すると回答している点等を総合勘案すれば、平成20年9月3日に出願された本願商標については、審決がなされた平成22年4月12日の時点では、本件容器の立体的形状は、需要者によって原告商品を他社商品との間で識別する指標として認識されていたと言うべきである。…(中略)…本件容器の立体的形状は、本件容器に付された平面商標や図柄と同等あるいはそれ以上に需要者の目に付きやすく、需要者に強い印象を与えるものと認められるから、本件容器の立体的形状はそれ自体独立して自他商品識別力を獲得していると認めるのが相当である。

(次号へ続く)

<11/3/16>出願立体商標「ヤクルト容器」拒絶審決取消請求事件について(その2)

出願立体商標「ヤクルト容器」
拒絶審決取消請求事件について(その2)
~知財高裁平成22(行ケ)10169号・平成22年11月16日判決~


 〔容器の誕生〕
 原告(株式会社ヤクルト本社)商品「ヤクルト」の包装用容器は、販売当初はガラス製であったが、昭和43(1968)年にプラスチック容器へ転換された。これは流通コストの削減、商品管理の徹底、労働力不足への対処及び労働環境の整備などの経営合理化や容器の衛生化、空容器の回収の煩わしさを無くす目的があった。
 本件容器の立体的形状は、著名なデザイナーによりデザインされた。デザインのコンセプトは、飲料容器の条件としての飲み易い口の形、飲み心地、持ち易さ、コンベアラインでのガイドへの適合性、及びガラス瓶との差のない量感等であった。
 本件容器は、平成20(2008)年度グッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞している。
〔商品の種類と使用商標の形状〕
 原告は、本願の指定商品である乳酸菌飲料を主力商品としており、使用商標に関しては、昭和43(1968)年以来、「ヤクルト」の横文字が入ったもののほか、平成11(1999)年からは「ヤクルト400」、平成20(2008)年からは「ヤクルト400LT」、平成21(2009)年からは「ヤクルトカロリーハーフ」という略同一形状の容器を使用している。
〔販売実績と市場占有率〕
 平成13(2001)年~平成21(2009)年「食品マーケティング便覧」の「上位ブランドシェア」によれば、原告商品の販売実績は、平成12(2000)年は約309億円、平成15(2003)年は約356億円、平成20(2008)年は約459億円であった。
また、「2009年食品マーケティング便覧NO.5」の「4.又は5.市場占有状況」によれば、原告は平成10年から平成19年迄の間、乳酸菌飲料の市場占有率が50%以上、平成20年は64.8%(見込み)、平成21年は66.2%(予想)となっている。また、原告商品のみでも、平成12年から平成20までの間、業界の約42%以上のシェアを有している。
〔宣伝広告の状況〕
 原告商品等に関する広告宣伝費及び放送宣伝費は、本件容器の使用が開始された昭和43年は約9億6000万円であったが、翌年の昭和44年には約20億円となり、その後、昭和48年には約34億円、昭和57年には約50億円、昭和62年には約67億円、平成元年には76億円、平成16年には86億円、平成17年には約95億円に達し、以後毎年90億円以上が費やされている。

(次号へ続く)

<11/3/9>出願立体商標「ヤクルト容器」拒絶審決取消請求事件について(その1)

出願立体商標「ヤクルト容器」
拒絶審決取消請求事件について(その1)
~知財高裁平成22(行ケ)10169号・平成22年11月16日判決~

 このブログは、商標制度の知識を持ち合わせていない方も読まれるから、私の独断と偏見で、可能な限りコンパクトに纏め、分かり易く説明したいと思う。

〔事件の概要〕
 今では、「ヤクルト容器」と言えば、上の図で示すように、上部に円錐台状の口を有し、その下に胴体部分を有し、胴体には括れ又は凹みを有するプラスチック製のワンウェイ容器(回収不要容器)のことと認識されている。
 出願人(株式会社ヤクルト本社)は、この容器を平成20(2008)年9月3日付で立体商標出願したが、特許庁の審査官は「ありふれた形状である」として「拒絶査定」を下した。そこで、上級審に当たる審判で再審査を受ける不服の審判を請求したが、「請求不成立」の審決を受けた。そこで、審決の取消を求めて知的財産高等裁判所(知財高裁)に出訴した。特許庁の審判が裁判所の地方裁判所と同格扱いであることから、審決取消訴訟は知財高裁の専属管轄とされている。
 ※特許庁の審査では「出願人」、審判では「請求人」、裁判では「原告」と呼び方が変わる。

〔審決のポイント〕
 特許庁の審決では、以下の判断が示された。
①本願商標は、単に商品の収納容器(形状)を表示するに過ぎないから商標法第3条第1項第3号が規定する「その形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当する。
②請求人(株式会社ヤクルト本社)が使用する包装用容器には「ヤクルト」「Yakult」の文字商標が入っていて立体的形状のみが独立して自他商品識別力を獲得したものとは認められないから、商標法第3条第2項が規定する「使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識できるもの」には該当しない。

(次号へ続く)

<11/1/13>新年のご挨拶

新年のご挨拶

新年おめでとうございます。
政治の混沌が日本経済の回復を遅らせている。そんなことを言っている間に、世界はドンドン前に進み、日本は取り残されていく。
政治への過度の期待は諦め、我々は自らの手で明日を切り開いていく他ない。
知的財産の世界で言えば、国力のバロメータと言われる特許出願件数は3年連続の前年割れが確実で、中国にも抜かれ、アメリカ、中国に次ぐ世界第3位となってしまった。
その最大理由が、日本経済の回復の遅れであることは間違いないが、特許制度に対する魅力が失われてきていることも看過できない。
日本の特許出願件数がダントツ世界一を走り続けていたとき、日本特許庁はアメリカの圧力に屈して、審査処理促進と称してファーストアクション24ヶ月を目標に掲げ、様々な審査優先施策を講じてきた。出願されたもの全件を審査する全件審査主義を捨て、審査請求料を払ったもののみを審査する審査請求制度を導入し、AP70、AP80と称して企業のトップを呼び出し、出願の抑制を促し、それでも効果がないと審査請求料を倍額にした。更には、ファーストアクション12ヶ月、分割・補正の制限、特許法104条の3の創設等々を打ち出し、審査優先施策を実行してきた。これにより、権利を取得し難く、取得できても権利行使がし難く、といった魅力のない制度になってしまった。
これからは、特許制度の魅力を取り戻すべく、審査優先から出願人(発明者)優先に改革の舵を切らせなければならない。その改革の力は、特許制度を利用する出願人はもとより、野にあって特許制度を支える弁理士一人びとりが声を上げていかなければ為し得ない。
私は、弁理士の一人として、特許制度の魅力を取り戻すべく、審査優先から出願人(発明者)優先に、改革の舵を切らせる努力を継続したい。

弁理士 古谷 史旺

<10/12/3>研究開発促進税制の廃止に反対!

研究開発促進税制の廃止に反対!

資源の乏しい我が国は、資源を世界に求め、その資源を使って安くて品質の良い製品を作る。それを世界に供給する。そんな日本の勝ちパターンは、既に20年前に崩れた。
小泉純一郎氏が総理大臣のとき、"遅ればせながら日本もプロパテント(特許重視)!"に国策を大転換し、技術立国、知的財産立国を宣言した。つまり、もの作りではなく、新技術の開発によって知的財産権を獲得し、その知的財産権で我が国の産業を護り、国を興すことにした。
そのよって立つ国策は、現在も全く変わる理由がないにも拘わらず、政府税制調査会及び民主党税制改正PTは、法人税引き下げの替わりに研究開発促進税制を含めた優遇税制の廃止を打ち出している。
"民主党よ、何を血迷ったか!"と憤りを禁じ得ない。企業の側からみれば、法人税の引き下げが行われても、研究開発促進税制の廃止が行われるのであれば、プラマイゼロではないか、ということなる。経済団体連合会の米倉会長が憤慨するのも当然である。
私が懸念するのは、研究開発促進税制が廃止されることにより、技術開発投資が減ることである。それにより、新技術の開発にブレーキが掛かり、知的財産権の獲得が減ることである。
かつての日本は、第2位のアメリカを遙かに凌ぐ特許大国であった。特許の保有件数の多寡は、その企業の技術のバロメーターであり、国力のバロメーターでもある。
我が国のよって立つべき技術立国、知的財産立国の道を閉ざして国が栄える訳がない。
確かに、歳入に対する歳出の大きさは、ギリシャ、アイルランドに匹敵する債務超過国であることに違いないが、目先の増収を目論むのではなく、どうすれば国策が全う出来るのかを真剣に考え、実行して貰いたい。
国会では、足の引っ張り合いをいい加減に止め、前向きで真剣な議論をして欲しい、と思う毎日である。

<10/10/26>国家戦略を考えるなら、「知的財産権省」の創設を真剣に検討せよ!

国家戦略を考えるなら、「知的財産権省」の創設を真剣に検討せよ!

資源の乏しい我が国は、資源を世界に求め、その資源を使って新しい製品を作り、販売して利益を得る以外に、生きる道はない。
その資源が、ひとたび国家間の政争の具に使われ、輸入の道が閉ざされたなら、我が国の製造業はアッという間に大ピンチになる。中国のレアアースが良い例ではないか。
このような事態を惹起させないためには、我が国も何らかのカードを持たなければならない。幸いなことに、我が国には、他国に負けない優秀な国民の頭脳がある。その優秀な頭脳から生み出された知的財産を、武力に勝るカード(知的財産権)として使わない手はないではないか。

今、我が国の知的財産は、発明などの産業財産権を特許庁が所轄し、農産物などの新品種の登録は農林水産省が所轄している。科学技術の振興は文部科学省が所轄し、著作権の登録は文化庁著作権課が所轄、知的財産権の侵害品の輸出入の差し止めは財務省が所轄している。
例えば、新品種の苗を作っても、その苗が労働力の安い国へ持ち込まれてしまえば、やがて実った農産物は逆輸入されてしまう。これこそ無為無策の典型であり、国家的損失と言うものだ。
バラバラな所轄行政では、このような問題の迅速な処理・決定は望むべくもなく、ただ茫然自失しているだけである。

国難が降り掛かっている今こそ、バラバラな所轄行政を一本化し、確かな国家戦略に基づく知的財産行政が行える省庁を構築すべきときである。
主題にある「知的財産権省」とは、そのことを意味する。当然のこと乍ら、担当大臣を配し、政府と一体であることを世界に知らしめることが、正に重要である。(以上)

<10/9/27>一に雇用、二に雇用、三に雇用ではなく、先ずは"経済優先"であろう!

一に雇用、二に雇用、三に雇用ではなく、先ずは"経済優先"であろう!

民主党の代表選で菅直人氏が小澤一郎氏を大差(議員票では僅か6票差)で破り、再選されたことは誠に喜ばしいが、就任後の第一声は、ハッキリ言って気に入らない。
日本国のリーダーが、先ず取り組むべきは、経済の立て直し以外に何があるというのだ。雇用は経済が回復基調に転じて初めて生まれて来る。経済の回復ナシに雇用の創出は、あり得ない。こんなことは誰だって知っている。なのに、何故、敢えて" 一に雇用、二に雇用、三に雇用"なんて馬鹿げたことを言ったのか。
民主党が労働組合との関わりが深いことは先刻承知している。しかし、受け狙いの発言としか思えない" 一に雇用、二に雇用、三に雇用"は、内閣総理大臣の言葉としては、軽くて、全く気に入らない。
内閣の顔ぶれも一新し、いよいよ外洋に漕ぎ出したが、弁理士である菅直人内閣総理大臣殿に敢えて申し上げたい。
今度こそ、廻りの評判に一喜一憂することなく、経済の立て直しに全力を傾けて欲しい。
そのためには、一時的な債務超過は目を瞑ることだ。思い切った財政出動をしない限り、冷え切った経済は回復しない。消費税・環境税論議はその後でシッカリ行えばよい。私はそのように思うし、殆どの国民の声でもある。(以上)

<10/8/16>菅直人総理大臣が民主党の代表選に再選されることを望む!

菅直人総理大臣が民主党の代表選に再選されることを望む!

菅直人総理大臣は弁理士である。私も弁理士だから身びいきになるのかも知れないが、来る9月14日に行われる民主党の代表選に再選され、内閣を大改造して自前の内閣を築き、強い姿勢で日本を牽引して欲しい。

国民の多くが期待する菅直人像は、厚生大臣の時に、情報を隠蔽する官僚に対し、敢然と闘いを挑み薬害エイズ問題を解決へ導いた心の強さである。近くは、「小澤さんは暫く静かにしていて貰いたい、それが本人のためでもある。」と言った勇気である。
それが故、内閣支持率がV字回復したことを、思い起こして欲しい。

総理大臣になって、消費税10%引き上げを言ったため、支持率は急降下し、参議院議員選挙に大敗したと言われている。
そして次には、本来は庇うべき身内(民主党内)から、"菅はダメだダメだ!"の大合唱となりつつある。
誠におぞましい限りで、何故、身内(民主党内)が足を引っ張るのか、と叫びたい気持ちでいっぱいだ。
民主党に対する期待が大きかっただけに、その反動での失望も大きい。

冷静に考えてみて頂きたい。本年度の国家財政は、歳出が90兆円を超えているのに対し、歳入は37兆にも届かない。赤字国債は900兆円を超えると言われている。景気が悪いから税収も増えて来ない。
一般の家庭であれば"自己破産"であり、企業であれば“倒産”であろう。菅直人総理大臣は、ギリシャの例を挙げて消費税の引き上げに理解を求めたが、そのことって、非難囂々(ヒナンゴウゴウ) になる程、ホントに悪いのだろうか?
勿論、景気を回復させて税収を増やす政策、税金の無駄遣いを徹底的に排除する事業仕分けは必要であろうが、それでも圧倒的に税収の足りない現実を前にしたら、誰だって「消費税」、「環境税」に目を向けざるを得ない。

参議院議員選挙前のタイミング悪さを問題にする声も聞かれるが、敢えて選挙前に、鬼門と言われる「消費税」論議を、真っ向から挑んだ菅直人総理大臣の勇気を讃えたい。その自信と勇気を失わないで貰いたい。
民主党の代表選に是非とも再選され、内閣を大改造して自前の内閣を築き、強い姿勢で日本を牽引して欲しいと思う。

<10/6/8>特許出願の減少に国が政策的な歯止めをかけよ!

特許出願の減少に国が政策的な歯止めをかけよ!

特許は技術のバロメーターであり、特許の保有数がその企業の技術力と評される。
一時期、日本の特許出願件数は第2位のアメリカを凌ぐ年間40万件を数え、ダントツ世界一を誇っていた。経済も活況を呈していた。
ところが、今や特許出願件数はアメリカに大きく水を空けられ、30万件をやっと超える程度であり、中国にも追い越されて世界第3位に甘んじている。経済の勢いの差がそのまま特許出願件数の差に現れている。
特許出願件数の減少は、経済の勢いの差、技術力の低下が原因だと、簡単には片付けられない。
アメリカは、特許出願件数が10万件から15万件に伸び、審査の遅れが出始めたとき、それまでの2500名審査体制から4600名に審査官の大増員をやって対応した。
それに対し日本は、1500~1600名の審査官で24万件の審査請求件数を捌いていたから、審査が遅れるのは当然で、そのことが貿易の不均衡と叩かれた。
アメリカと同様に日本も審査官を大増員すれば良いのに、「国家公務員総定員法」があって審査官を増やせない事情があった。
そこで日本の特許庁は、出願の厳選を打ち出し、企業トップを呼んで出願減らしを断行した。それだけでなく、特許法等を改正し、審査請求料を倍増したり、新規事項の追加禁止、補正の制限、分割の制限など、出願人の為の政策ではなく、審査促進の為の政策を次々と実行した。
経済の勢いの差が特許出願件数の差に繋がっていることも確かに違いないが、それだけでなく、上記の出願減らしの政策が拍車を掛けていることは間違いない。
特許は技術のバロメーターであり、特許の保有数がその企業の技術力と評されるだけでなく、国力のバロメーターでもある。
国家戦略を考えるなら、特許出願の減少に国が政策的な歯止めをかけよ!と言いたい。

<10/4/28>シッカリせよ、民主党!

シッカリせよ、民主党!

歴史的な政権交替で鳩山総理が誕生して8ヶ月。その後の迷走ぶりは呆れるばかりで、ホントに腹が立つ。
麻生前総理の迷走ぶりも相当に酷かったが、これもそれも、日本の政治の貧困さと、それを選挙で選ぶ私を含めた国民の不見識さが招いた結果であろう。
90兆円を超える歳出に対し、歳入は40兆円にも届かない。それであるにも拘わらず、高速道路の何処まで走っても一律千円をやってのけたり、子供手当を一律に支給したり、財源の確保もなく滅茶苦茶なことばかり。
経済が上向けば税収も増えるが、具体的な経済対策は一向に示されず、普天間基地移設先も未だに見つからない。自民党が10年以上かけて辺野古移転を決めたものを僅か8ヶ月で決められる訳がない。住民の同意が得られると思っていたのか。
高速道路の一律千円を見直そうとすれば、小沢幹事長の鶴の一声でグラグラ揺れまくる。民主党よ、「いい加減にしてくれ」と叫びたくなる。
一方の自民党も、民主党の支持率の下降に追従する形で支持率が下がり続けている。それもそのはず、総務大臣、財務大臣、厚生大臣の経験者といった重鎮であるべき方々がサッサと見限って離党してしまったのだから。
しかし、その方々も自民党を凋落させた責任の一端があっただろうに…。

<10/3/30>外国人の参政権と夫婦別姓について(No.2)

外国人の参政権と夫婦別姓について(No.2)

○夫婦別姓について
最近は毎日のように殺人・傷害事件が起きている。それも半数近くが家族の間で起きている。家族愛、夫婦愛、親子愛が薄れてしまったとしか思えない。
その上、夫婦でありながら別姓を認めたら家族の結びつきはどうなるのか。
亀井静香氏がある会合で言っていた。“今ですら希薄になり勝ちな家族の結束が更に揺らいでしまう。まるで、他人どうしが一つのアパートに住まうようなものだ。”
私も全く同感で、法律をそこまで緩めて良いのか、と思っている。仕事上、旧姓を使っている方は世間に幾らでもいるのだから、その限りで良いではないか…。

以 上(完結)

<10/3/3>外国人の参政権と夫婦別姓について(No.1)

外国人の参政権と夫婦別姓について(No.1)

政権与党となった民主党は、外国人の参政権と夫婦別姓を認める法案を今時の国会に上程すると明言している。
これって、ホントに良いことなの?って、考えさせられる。

○外国人の参政権について
 日本は四方を海に囲まれ、幸いなことに単一民族で構成されている。しかし、アフガニスタン、アルジェリア、キプロス、スーダン、スリランカ等々を例に取るまでもなく、外国の多くの国は、複数の民族から国家が構成され、宗教を絡めた民族間の血で血を洗う紛争が後を絶たない。
 日本も様々な宗教が存在するが、歴史を辿れば類することはあったのかも知れない。しかし、現代日本では血で血を洗う紛争は起こり得ない。これは偏に単一民族の故であろう。
 しかるに、外国人に参政権を与えればどうなるか。
一触即発の危機にある韓国との領有権問題、海底油田を巡る中国との領海問題、択捉・国後・歯舞・色丹に関するロシアとの北方四島返還問題、等々の国際問題に介入を許すことになり、国益が守れなくなることはないのか。
国内に目を転じても、宗教を絡めた民族間の血で血を洗う紛争の火種とはならなのか。教育、経済、福祉、介護といった問題に民族間の利害対立が起こり得ないのか、等々の心配は尽きない。
 民主党は、心底、そこまで検討した上で結論を出したのであろうか。大いに疑問が残る。
誰かの鶴の一声で“それで良い”と決めたのではないのか。

《次号に続く》

<10/1/8>新年のご挨拶

新年のご挨拶

新年おめでとうございます。
所沢に居を構えて35年になりますが、車で20分位の狭山湖畔に「狭山不動尊」という神社があります。
 以前は「狭山不動尊」の隣りにユネスコ村があり、正月の間は入園料が無料ということもあって、また、子供たちが小さかったこともあり、お詣りの後には必ず立ち寄り遊ばせて帰ったものです。

 我が家が迎える元旦の朝は、家族が全員集まったところで、私が偉そうに訓辞を垂れ、その後、お年玉を子供たち一人ずつに手渡し、妻が作ったおせち料理と雑煮を食べることから始まります。
食事の後、揃って「狭山不動尊」に向かい、先ずは昨年一年間のお礼、今年一年間の健康祈願、家内安全、商売繁盛、その他諸々のお願いを、おさい銭一つで済ませておりました。
  今年も同じように済ませたところで、相田みつをの詩集の一節が脳裏をかすめ、思わず苦笑いしてしまいました。
  『おさい銭
百円玉一つ
ポンと投げて手を合わす
お願いごとの多いこと』

 昨年は100年に一度の大不況、政権は自由民主党から民主党に移り、それこそ正念場を迎えます。
 政権が正念場を迎えるだけでなく、日本の経済が崖っぷちから這い上がれるか否かの正念場でもあります。
 みんなの力で経済を復興させ、住みよい日本、環境に優しい日本を作りたいものです。

<09/11/2>知的財産は石油に代わる資源だ!(No.2)

知的財産は石油に代わる資源だ!(No.2)

第1次小泉内閣が発足した2001年4月、泥沼に喘ぐ不況から脱出させるため、私どもは弁理士の立場から“日本もこれからは「知的財産立国」を目指すべき”ことを進言し、小泉首相の所信表明演説に盛り込ませることに成功した。
 それにより、内閣総理大臣が本部長を務める「知的財産推進本部」が設置されて精力的な審議が行われ、その成果として「知的財産推進計画」が発表され、シンボリックな「知的財産高等裁判所」も創設された。加えて、特許法、不正競争防止法、著作権法を始めとする各種法律が強化・整備されると共に、弁理士に対する「侵害訴訟代理権の付与」も認められ、ハード及びソフトの両面での強化が図られた。

 長いトンネルを抜け、景気は漸く浮揚し好況期を迎えたが、アメリカに端を発したサブプライムローンの焦げ付きによって大手証券会社のリーマンブラザーズの経営破綻が起こり、あっという間に100年に一度と言われる規模の世界同時不況に突入してしまった(2008年)。
 これは、明らかに経営者の安易な金稼ぎ(マネーゲーム)が原因しており、大き過ぎる代償である。同じ過ちを二度と繰り返してはならない。

資源の少ない日本には、石油に代わる資源として知的財産がある。地道な研究開発によって得られる知的財産を石油と考え、深く掘り起こして利益を得ること以外、日本の拠って立つ道はない。
 「技術立国」、「知的財産立国」の初心に立ち戻り、日本経済の再興を図りたいものである。

以 上(完結)

<09/9/28>知的財産は石油に代わる資源だ!(No.1)

知的財産は石油に代わる資源だ!(No.1)

資源の少ない日本は、他国から資源を輸入し、それを製品にして輸出で国を興してきた。
 当時の安い労働力と知恵を活かした精巧な製品は、“安くて品質の良い物づくり”日本として、その競争力は世界一を誇り、一時は強大なアメリカの製造業に壊滅的な打撃を与えるに至った。それは今から僅か30年前のことである。

 1980年、第39代アメリカ合衆国の大統領に就任したレーガンは、その2年後に出されたヤングレポートに基づき、製造業重視の政策から知的財産重視の政策へ大転換(プロパテント政策)を図った。
 そのため、日本の製造業、特に自動車、半導体、通信は、特許権侵害、不公正貿易等の誹りを受けて数百億円に及ぶ賠償金を支払わされた。
 それだけでなく、日本のお家芸であった“安くて品質の良い物づくり”の地位は、その後台頭してきた台湾、韓国、中国、インドといった後進国に奪われ、日本の国際競争力に急ブレーキが掛かり、バブルは完全に弾けてしまった。それは1990年のことである。

《次号に続く》

<09/8/17>地球温暖化対策について(No.4)

特許法の目的を改正し「地球温暖化防止の一翼を担う」ことを明言せよ。

地球温暖化防止に関わる特許法等の細則
(〓決めるべき主要点)

第1条(目的)
この細則は、特許法第1条で規定する「地球温暖化防止の一翼を担う」ことを実現する具体的規則を定める。

第2条(定義)
〓〈地球温暖化対策の推進に関する法律〉
「地球温暖化」とは、人の活動に伴って発生する温室効果ガスが大気中の温室効果ガスの濃度を増加させることにより、地球全体として、地表及び大気の温度が追加的に上昇する現象をいう。
この法律及びこの細則で用いる「地球温暖化防止技術」とは、温室効果ガスの排出の抑制並びに吸収作用の保全及び強化に係わる発明をいう。

第3条(地球温暖化防止技術か否かの審査)
〓特許法第48条の7及び第195条の2関連
特許出願等に係る発明等が、地球温暖化防止技術に該当するか否かの審査を特許庁内に設置する「認定機関」によって行う。
※そのための規定を設ける。

第4条(強制的実施権の裁定)
〓特許法第93条関連
地球温暖化防止技術であれば、実施を希望する第三者に経済産業大臣の裁定で通常実施権を許諾する。通常実施権の対価は無償とする。通常実施権の再許諾は認めない。

第5条(補償金)
強制的実施権を裁定された特許権者等に対し、通常実施権の対価に相当する補償金を国が補償する。
※国若しくは特許特別会計から支出
第6条(外国における権利の取得と実施する場合の措置)
(所定の規定を設ける。)
※地球温暖化対策の推進は、一国の努力によって成り立つものではなく、各国の一致した理解と協力が不可欠である。
※排他独占権である特許権等の取得と技術の普及とは一見相容れない考えに見えるが、温暖化対策の一環と捉えれば、刃物の使いようと似ている。
※日本の政治的・外交的手腕に期待するところが大きい。

以 上(完結)

<09/7/15>地球温暖化対策について(No.3)

特許法の目的を改正し「地球温暖化防止の一翼を担う」ことを明言せよ。

〔提  案〕
【改正の方向(主要点)】
○第1条(目的)
この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与すると共に、地球温暖化防止の一翼を担うことを目的とする。

○第48条の8(文献公知発明に係る情報の記載についての通知)

○第48条の7(優先審査)
特許庁長官は、特許出願に係る発明が地球温暖化防止技術に関するものと認めるときは、審査官にその特許出願を他の特許出願に優先して審査させることができる。

○第195条の5(地球温暖化防止技術に関する手数料の免除)
特許庁長官は、特許出願に係る発明が地球温暖化防止技術に関するものと認めるときは、出願審査請求の手数料及び特許料を免除する。

○第93条(公共の利益のための通常実施権の設定の裁定)
特許発明の実施が公共の利益のため、地球温暖化防止のため、特に必要であるときは、その特許発明の実施を使用とする者は、特許権者又は専用実施権者に対し通常実施権の許諾について協議を求めることができる。
(以下省略)  

《次号に続く》

<09/6/17>地球温暖化対策について(No.2)

特許法の目的を改正し「地球温暖化防止の一翼を担う」ことを明言せよ。

3.日本では、1999年4月8日に「地球温暖化対策の推進に関する法律」を作り、JCCCA(全国地球温暖化防止活動推進センター)を発足させ、2008年6月13日には「地球温暖化対策の推進に関する法律」を改正し、「地球温暖化対策推進本部」を内閣に設置させる等の活動をしている。
また、「知的財産推進計画2008」でも、環境技術の普及に言及している。
さらに、経済産業省をはじめとする各省庁、全国都道府県でも様々な施策が進行中ではある。 

4.地球温暖化対策は、もとより一国でなし得ることではなく地球規模で各国の協力のもとで取り組むべき課題である。
地球温暖化対策の立場からすれば、地球温暖化防止に役立つ新技術は、個人や一国が独占するのではなく、あまねく開放されるべきであるし、一方、産業財産権制度を堅持する立場からすれば、一定期間の排他独占権の付与は、発明意欲の増進の観点から欠かせない事項となる。

5.肝心なことは、現在の産業財産権制度を堅持しつつも、地球温暖化防止に対する我が国の強い意思を内外に表明することである。
その端的な形は、特許法等の目的に「地球温暖化防止の一翼を担う」ことを明言し、それに伴う関係条項を改正することである。
その他の施策を含めて下記に提案するが、各国との関係をどのように調整するかは、正に日本の政治的・外向的手腕にかかっている。今こそ主導的役割を担うべきときである。

《次号に続く》

<09/5/18>地球温暖化対策について(No.1)

特許法の目的を改正し「地球温暖化防止の一翼を担う」ことを明言せよ。

1.スーパーコンピュータによる地球シミュレーターでの2100年の温暖化予測では、1.1℃~6.4℃温度が上昇するという。
これは我々が住まう地球にとっては重大なことで、砂漠化が一層加速化し、熱帯雨林のアマゾン流域でさえ、その例外ではないことを意味している。
このことにより何が起こるか。やがて地球から緑が消え、人類を含めた生物滅亡の危険を覗わせている。

2.1997年12月11日に議決された、気候変動に関する国際連合枠組み条約の「京都議定書」では、2008年から2012年までの期間中に、先進国全体の温室効果ガス6種の合計排出量を1990年に比べて少なくとも5%削減することを目的と定め、日本は6%の削減義務を負って条約を批准した。

☆温室効果ガス6種とは、以下のものを指す。
(1)二酸化炭素CO2、(2)メタンCH4、(3)亜酸化窒素N2O、(4)ハイドロフルオロカーボン類HFCS、(5)パーフルオロカーボン類PECS、(6)六フッ化硫黄SF6

☆京都議定書の署名・締約国数
署名及び締結を行った国:81ヶ国
日本、カナダ、韓国、中国、ロシア…

署名のみの国:3ヶ国
アメリカ、カザフスタン、クロアチア

締結のみの国:92ヶ国
インド、パキスタン、北朝鮮…

※世界最大の温室効果ガス排出国であるアメリカは、国内事情により条約の締結を見送っている。
※中国・インドなどが、その後順調な経済発展を遂げ、非効率的なエネルギー政策で大量に温室効果ガスを発生させ、世界有数の排出国になっているにも拘わらず、何らの削減義務を負っていない。
※日本は、2006年時点で、京都議定書で負うことになった削減レベルから12~13%程度も超過している。

《次号に続く》

<09/3/16>はじめに

何が出来るかを考え、行動する

アメリカのサブプライムローンの焦げ付きに端を発した
世界同時不況の嵐、迅速・適確な対策を講じて、どの国がいち早く脱却するか、に注目が集まっています。

アメリカのオバマ大統領は、ことあるごとに“日本を見習え”と演説しています。
最初は日本の経済復興を誉めているのかと思いましたが、
良く聞いてみると、“日本の失われた10年をみよ、”と言っているのです。
迅速・適確な対策をしないと、日本のように10年の歳月を要すると警鐘を鳴らしていたのです。

昨今の麻生首相の迷走ぶりは、“日本の失われた10年”の経験が少しも活かされていない、と言わざるを得ません。
しからば、私は何をすべきか、何ができるか、を考え、行動を起こさなければと思っております。